こんにちは(^^)
経営者の資産を最大化し、お金と時間のゆとりを創る資産形成のプロ、ファイナンシャルプランナーの小川です。
5/11のNHKニュースにて、表題のような話題が登場しましたので、この件について解説したいと思います。
記事全文
日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す昨年度1年間の経常収支は、黒字額が前の年度の半分以下に落ち込みました。エネルギー価格の高騰や記録的な円安で輸入額が膨らんだことが要因です。
財務省が発表した国際収支統計によりますと、昨年度1年間の経常収支は、9兆2256億円の黒字でした。
黒字額は、前の年度よりも10兆9265億円減りました。
減少幅は過去2番目で、黒字額は前年度の半分以下の水準まで落ち込みました。原油などエネルギー価格の高騰に加えて記録的な円安で円に換算した輸入額が大幅に増加したのが要因で、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は18兆602億円の赤字と、過去最大の赤字額となりました。
一方、日本企業が海外の子会社から受け取った配当や利子などの収支状況を示す「第一次所得収支」は35兆5591億円の黒字となりました。
黒字額は前の年度よりも6兆5508億円増え、過去最大となりました。
エネルギーや資源価格の上昇で総合商社の子会社の業績が好調だったことなどが要因です。
また、合わせて発表された、ことし3月の経常収支は2兆2781億円の黒字でした。黒字額は去年の同じ月よりも9573億円減りました。
ことし3月の旅行収支 過去2番目の黒字
外国人旅行者が国内で宿泊や買い物に使った金額から、日本人旅行者が海外で使った金額を差し引いた、ことし3月の「旅行収支」は過去2番目の黒字額となりました。
財務省が11日発表した国際収支統計によりますと、ことし3月の旅行収支は2820億円の黒字でした。黒字額は、国内で新型コロナの感染が拡大する直前の2020年1月に記録した2962億円の黒字に次ぐ過去2番目の水準です。
新型コロナの影響で落ち込んでいた外国人旅行者の数が、大幅に増えていることに加え、円安で日本での消費が割安になったこともあり、外国人旅行者1人当たりの消費額がコロナ前より増加傾向にあることが要因です。
一方で、燃料費の高騰などにより、日本から海外への旅行者の数は回復が遅れていることも、旅行収支の黒字の増加につながりました。
松野官房長官は、午後の記者会見で「経常収支はさまざま要因で影響を受けるもので、今後の確たる見通しを申し上げるのは困難だが、輸出を通じた成長は引き続き重要で、政府としてもしっかり支援していく。かぎは生産基盤強化のための国内投資であり、経済界からの要望も骨太の方針などに反映することで、さらなる投資拡大の取り組みを実行していく」と述べました。
昨年度の経常収支 9兆2256億円 黒字額は前年度の半分以下に | NHK
・・・という内容なのですが、それぞれ解説していきます(^^)
つまり、どういうことなの???
まず、このニュースからどういうことが言えるのかを解説しましょう。
「経常収支」っていうのは、要は日本からどれだけのお金が出入りしたかって言う数値です。
海外に輸出をしたり、輸入をしたり、外国に投資したお金や貸したお金から得られる配当や利子を受け取ったり、反対に外国から日本に対して投資したお金、借りたお金の配当や利子を払ったり・・・
そんなお金の出入りどのくらいプラスマイナスしているかということですね。
今、電気代が上がってたり、色んな輸入品の価格が上がったりしてますよね?
その理由は、ロシアのウクライナ侵攻により原油価格や天然ガスの価格が上がっていることです。
なので、日本から出て行ってるお金が多くなっているんですね。
そして、輸入と輸出のバランスを「貿易収支」と言います。
その貿易収支の推移はこのようになっていて、2022年はマイナスに
このようにマイナス幅が大きくなっています。
日本から輸出した金額に対し、輸入した金額が大きくなっていることがわかりますね。
「そんなに日本からお金が出て行って、大丈夫なの・・・?」
って、思われた方も多いでしょう。
貿易収支赤字は大丈夫なのかどうかについては後程解説しますが、大きくマイナスする貿易収支に対し、第一次所得収支が日本は巨大なのです。
第一次所得収支は、主に外国に対して投資したり貸したお金から得られた配当や利子の合計のことです。
つまり、日本は外国に対して多額のお金を投資したり、お金を貸しているということです。
ですので、貿易収支が大きくマイナスしていても、第一次所得収支がそれを打ち消し、経常収支がプラスになっているのです。
物価により昨年より経常収支が前年よりも黒字幅が縮小しているものの、まだまだプラスですよという状態です。
経常収支が黒字、赤字だとどう影響するの?
一般的に、経常収支黒字は円高の要因となり、反対に経常収支赤字は円安の要因になると言われています。
なので、過去40年も経常収支黒字が続く日本は、経常収支だけを見れば円高の傾向にあるとは言えますね。
ですが、黒字だから良い、赤字だから悪いという訳でも無いのです。
仮に今回のように原油価格や輸入品の価格が上がって輸入が増えたとしても、国内の経済が活性化していて、その結果原油や天然ガスなどの輸入品の需要が増え、経常収支の黒字が縮小していたとしたならば、むしろ国内経済にとっては良い状態と言えます。
反対に、日本のように巨額の経常収支黒字が過去40年間続いていても、残念ながらその間失われた30年と言われるような状態で、決して良い状態とは言えませんでしたよね。
なので、この数値自体については会社の利益などとは異なりますので特段何か悪影響を及ぼすものはないのです。
この記事からどう考えるか?
既にお伝えした通り、経常収支の黒字幅が小さくなったからといって、あまりこの数値自体を気にする必要はありません。
ただ、問題なのはこの数値を構成している要素の一つである、輸入品の価格上昇の問題です。
これは貿易収支や経常収支が赤字になるから問題なのではなく、私達の生活費や企業のコストが増大し、負担が増えてしまうことが問題なのです。
元々景気が悪い状態のときに輸入品の物価上昇が起きている現在のような状況は「スタグフレーション」と言われる状態で、その原因の一つに原油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸入コストが大幅に上がっていることがあります。
そして、問題なのは日本は原油、天然ガスといったエネルギー資源を輸入に頼り切ってることなのです。
すると、今回のようにエネルギー資源の価格が高騰すると生活や経営に対し大きなダメージとなります。
そのため、こういった場合のエネルギー価格が高騰してる際に備え、輸入自体を抑える工夫を私達は考えていかなければなりません。自国で化石燃料の輸入の依存度を下げるため、地熱発電の拡大や、バイオディーゼル燃料の普及拡大など、国内でもできることはありますよね。
また、今回ロシアに対し経済制裁を行い、ロシアとの取引を停止していますが、経済制裁により不利益を被ってるのはどちらかと言えばその結果高騰している資源を輸入に頼ってる日本の方でしょう。
国際法を犯しウクライナに侵攻したロシアの行為は確かに責められるべき行動ではありますが、自国の経済への悪影響を考えるとロシアへの経済制裁の見直しというものも選択肢の一つとして検討する余地はあるとも言えるのではないでしょうか。
・・・・といったようなことがこのニュースから考察することができます。
ニュースに対して、まずは正しく現状を分析すること。
そして、なぜその状況になり、そのことから今後どう考えていくべきかを考察していく・・・
こんなことを考えるために、こういったニュース解説も今後行っていきたいと思います。
ニュースの内容を知り、深堀して考えることで情報を正しく知ることができる。
情報を正しく知ることで自分で考察し、視座が上り視野が広がる。
特に経営者の方やビジネスマンには大事なスキルになるかと思いますので、また今後もこういった内容を配信していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。