南九施設様|iDeCo+(イデコプラス) 導入事業者の声

事業者情報

事業者名南九施設株式会社
導入制度iDeCo+(イデコプラス)
社歴40年未満
加入時期2019年8月
従業員数15名
業種建設業
所在地鹿児島県
Webサイトnankyu-shisetsu.jp/
※インタビュー時の情報になります。

インタビュー

「お金持ちじゃないかもだけど、小金持ちにはなれる」って答えました(笑)

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

御社のことを教えてください

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

うちは建設業です。会社を興したのは主人です。私はもともと住宅メーカーに務めていました。そこで知り合った主人の会社に入り、経理を手伝っていました。その後、義父が亡くなり、主人は自分の父親の会社に、役員として入ることになったんです。

それで、代表としての名義を私に変えることにしました。最初は「ただ名義を変えるだけ」なんて軽い気持ちでした。そしたら主人がそのまま向こうの会社の役員を続けることになりまして。

はじめは逃げ隠れしながらやっていましたよ。でも、ある瞬間から「がんばってみよう」という気持ちになったんですよね。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

どのような経緯で投資に興味を持たれたのでしょう

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

実家が商売をやっていました。だから、お金のことをあまり隠さない家庭だったんですよね。それこそ父の借金のこととか、赤裸々に話すんです。お金のことにフルオープンな家でしたね。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

会社はいつから始められましたか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

主人が会社を興したのは1985年です。今現在で36期目ですね。従業員は15名です。実際に工事に入るときは左官さんを外注します。4組くらいいらっしゃるかな。うちの専属って感じで来ていただいています。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

注文を受けるのは一般の方の住宅が多いですか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

弊社は当初、95%は大手企業の下請けとして働いていました。でも、下請けってどうしても想いが伝わらない、こだわりたくてもできない部分があります。プランナーの社員たちは、私よりも欲求不満だったかもしれません。自分の力を出し切れていないって。

そんな気持ちからいろいろやってきたところ、2021年には直接取引のお客様が50%になりました。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

社員さんはどのような内訳でしょう?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

プランナーが5名、工事の現場に出る者が6名、事務職はパートさんが1名います。あとの3名は役員ですね。役員は私と主人と長男です。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

パートさんは厚生年金に入られていますか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

入っていません。ご本人と話し合ったところ、子どもさんがまだ小さいので、103万円の範囲でやりたいとのことでした。だから、弊社では14名が厚生年金に加入している状況です。5人のプランナーは全員女性です。20代が2人、30代が2人、40代が1人です。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

お若い方にとって、iDeCoは楽しみな福利厚生になるのでは

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

そうなんです。以前、西日本新聞さんにインタビューを受けたとき、投資の話をしました。そのとき、うちの若い子が「iDeCoを始めたらお金持ちになれるんですか?」みたいなことを言ったんです。そこで私は「お金持ちじゃないかもだけど、小金持ちにはなれる」って答えました(笑)

最初、iDeCo+は大反対されました。「投資は怖い」って。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

企業年金や退職金はありますか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

中退共(中小企業退職金共済制度)と建退共(建設業退職金共済)があります。現場の子たちは、みんな建退共に入っています。設計女子社員は中退共に入っていますね。掛金はどちらも一律8,000円です。一人で両方の制度には申し込めないので。

退職金としては、どちらもだいたい300万円くらいでしょうか。8,000円×12か月×30年で288万円になりますから。これと併せてiDeCo+を準備したという感じです。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

ご自身は以前からiDeCoを始められていたんですよね

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

はい。投資の経験もあるので、この商品が出たときに「いいな」と思ったんです。それで、長男が大学を卒業したことを機に、満額で掛け始めました。iDeCo歴は8年くらいになりますかね。投資信託は20年くらいやっています。

でも、本腰を入れて投資に向き合ったのはしばらくしてからです。最初は貯蓄でした。自分は会社員ではなく自営なので、「会社の運転資金の2年分は貯めよう」と心に誓っていました。それが貯まり、長男も大学を卒業して教育費を用意するのも終わりました。そこから全力で投資をやるようになりました。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

iDeCo+はどのようにしてお知りになりましたか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

新聞ですね。一時期、日経新聞を開くとiDeCoのことがたくさん書いてありました。そのときに知ったと思います。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

iDeCo+以外に導入を検討した制度はありますか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

はい。私としては従業員への還元は現物支給であるべきと思っています。業務で使う携帯電話やカッパや雨靴、休憩時間に飲むジュースなど会社の経費で落とせるものはすべて経費化し、社員のお財布からできるだけ出ないように、つまり可処分所得を増やす工夫をこれまでもたくさんしてきました。

その上で、企業型DC(企業型確定拠出年金)は検討したものの、掛金が大きくて、経費がかかるからやめました。

中退共を積み増すのも考えたんですけど、自分の投資のリターンが沢山増えていた時期だったので、面白くないというか夢がないと思いまして。

社員たちともたくさん話し合いました。保険もあるよ、投資もあるよって感じで。最初、iDeCo+は大反対されました。「投資は怖い」「60歳まで引き出せないのは遠すぎる」って。

今でも覚えているんですが、私は最初、社員たちを脅してしまったんですよね。「年金じゃ絶対に暮らせないんだからね」って、騎馬戦のイラストまで出して「こんな風になるんだよ」とか。

そしたらある社員が、「社長のお話はすごくよくわかった。でも、つまり私たちはこの国に生まれて、老後のために貯金ばかりしなきゃいけないってことですね」って言ったんです。そのときのことは、今でも忘れられません。

当時はiDeCo+をいい制度だと思っていたから、「ありがとう」って言われるとばかり考えていました。だから、社員がそんな風に捉えるなんて、もう返す言葉も見つかりませんでした。一旦は導入を諦めましたよ。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

切実なことを言えば言うほど、みんなが話を聞かなくなってしまう

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

夢がなくなっちゃうんですよね。自分が言いたかったことって、そっちじゃないのに後ろ向きなことを先に伝えたことが、裏目に出てしまいました。「投資って、複利ってすごいんだよ」ってことを言いたかったのに、そうではない説明を私がしちゃったんです。

(iDeCo+のシミュレーションを見た社員が)「老後2,000万円問題」はクリアしているんだと驚いていました

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

最初の入り口で少しつまずいてしまいましたが、どうやって変わられたのでしょう

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

私もその瞬間は「せっかく言ってるのに」という気持ちもありました。それで「もういいや。社員の老後の心配なんて」ってなりましたね。主人にも「さすがに社員の老後の心配までは」と言われました。

でも、きちんと話せば伝わると思いました。つまずいたのは、私のせいだと思ったので。それで導入を諦めるのは、あまりにももったいない。

まずは本を買い漁りました。年金や投資、経済の本も読んで、もう一度勉強したんです。最後には、池上彰さんの「伝える力」も読みましたね。私には言い方というか、伝える力がなかった(笑) 相手をやる気にさせる説明の仕方ではなかった気がします。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

社員たちへ伝えたときは、全員を集めて話したのでしょうか

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

そうですね。全員に「ちょっと集まって」って感じでやりました。プランナーたちは女性社員なのもあって、お昼はみんなで食べていました。食べながら雑談の中で話したという感じです。現場を担当する男性社員とは、遠方に行く車の中で話しました。

一番驚いたのは、金利の話を聞いたある社員が「え! 銀行に預けてたらお金って増えるの?」って真顔で言ったことです。その子はいつもATMでお金を下ろすので、銀行はお金を取るところだと思っていたんです。ああ、これが今の日本の金融教育かとびっくりして、言葉になりませんでした。

私は金利をかなり意識しています。仕送りを送金した長男が、ATMからお金を下ろすとき、100円の手数料が引き落されていたら、速攻で電話をかけます。それで「今後、この100円を使ったら仕送りは止めます」って言っていました。

私は自分の子供には教育するのだから社員の金融教育もして行かないといけないと思った瞬間でもありました。
社員はかわいい子供と同じですから、、

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

社員たちと対話を重ねるなかで、変化はありましたか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

はい、ありました。最後は一人ひとりの源泉徴収票を用意して、「iDeCo+に掛金を出したら、あなたの税金はこれだけ減る」と説明しました。お財布から出るお金を1,000円でもいいからiDeCo+に回せないか見つけてみよう、節税したらいくらになるよって。

あと親の面倒を見ている子には、親の所得証明取っておいでって言って、過去5年分の税金を取り戻しましたよ。私も別居だとできないと思い込んでいたんですが、本を読んで勉強し直したことで、「この子にはこの制度が使える。あの子にはあの制度が使える」ってわかったんです。自分の中にたくさんの引き出しができた気持ちです。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

そういったやり取りで社員さんたちも変わっていったと

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

一番インパクトがあったのは、複利のシミュレーションを見せたときですね。
うちは最初、会社掛金4,000円なので、社員は1,000円出せばiDeCoが始められます。また社歴が上がると会社負担が6,000円になります。別途、退職金が8,000円なので、まあまあの金額になります。この会社負担分とは別に個人でも掛金を出せるのがiDeCo+です。

例えば会社負担6,000円に加えて個人でも6,000円掛金を拠出し、合計12,000円を45年間、5%で回すようシミュレーションしたところ、2,400万円になったんです。この結果を社員全員に見せました。20代の社員でも、すでに「老後2,000万円問題」はクリアしているんだと驚いていましたね。

逆を言えば、それ以外のお金は貯める必要はありません。人生を楽しむために使っていいんです。

大和証券さんがいなかったら、導入できなかったでしょうね。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

iDeCo+を導入したプロセスを教えてください

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

私はすでに証券会社の口座を持っていましたが、「うちみたいな小規模企業がiDeCoを導入しても、証券会社は儲からないんだろうな」と考えていました。そのとき、大和証券さんのDMがポストに入っていたんです。儲からない取引相手だと嫌々で相手にされるかなあ思いつつ、電話してみたんですよね。

そしたらその担当者さん、iDeCoは知っていたんですがiDeCo+のことは知らなかったんですよ(笑) でも、すごく一生懸命で「はじめてですが、私でよければお手伝いさせてください」って言ってくれたんです。

大和証券さんは、たった15名の会社相手に東京からiDeCoのプロを連れてきてくださいました。現場担当の社員が戻ってくる18時にあわせて、制度を説明しに来てくれたんです。案内してくれた担当者さんと、説明に来てくれた方のお二人に対しては、ものすごく好感度が上がっちゃいましたね。

iDeCo+の書類を作る際は、書き間違えが多くて何度もやり直しました。印鑑を押そうにも、会社印が必要なのか個人印が必要なのかがわかりにくい。金額書くところも事業主掛金なのか、本人掛金なのかわからない。そのたびに私も担当者さんに「ごめんね、ごめんね」って言って、担当者さんも「すみません」ってなって、随分とご迷惑をおかけしました(笑)

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

会社がiDeCo+を導入するのと、社員さんが加入するのと手続きは別々ですよね

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

はい。それもすべて大和証券さんにお願いしました。書類の送付ひとつでも「これは国民年金基金連合会に送ってください。こっちは大和証券の本社です」って、すごく丁寧にしてくださいました。

そこまでやっても書き間違いで書類が戻ってきたのは大変でしたけどね(笑) レ点の記入漏れくらい、そっちで誰か書いてよって。当時は、なんでこんなに面倒くさいのよって思いました。たった十数名の会社でこれですよ。もし従業員が30名とかいたら、導入なんて考えられません。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

早いデジタル化が望まれますね。iDeCo+は「300人以下」が対象ですけど・・・

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

300人もいたら無理ですよ(笑)ただ、デジタルにしたらオンラインでの手続きにつまずく人もいると思うので、どっちがいいんでしょうね。私としては社会保険と連携して、全部iDeCo側で準備してよって考えです。社会保険に入っているデータはあるんだから、在籍も就業状況も全部わかるじゃないですか。

本当に大和証券さんの担当お二人がいなかったら、導入できなかったでしょうね。感謝しています。

素晴らしい金融リテラシーを身につけたねって嬉しくなりました

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

iDeCo+を導入するにあたっては、社長ご自身の「相手と対話する」という部分が大きいですね

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

iDeCo+を導入した当時は、米中の対立やコロナショックで相場が下落した時期でした。みんな「うわ、下がった」って驚いていましたが、すぐ回復したのがよかったです。自分のお金が増えていることがわかるなど、勉強になって資産運用への自信もついたみたいでした。

30代の社員がいるんですが、その子はすごいんですよ。ある日、「退職金は8,000円が限度ですか?」って私に言ってきたんです。よく話を聞いてみたら「私の基本給、2万円下げていいので全部、退職金に入れてください」って言いだしたんです。

私は普段から「基本給の15%は社会保険料として払っている。給料1万円のうち、手取りって7,500円だよね」って口酸っぱく言っているんですよ。そしたらその子も「その理屈でいくと、退職金には社会保険料が掛かっていないってことですよね」って。素晴らしい金融リテラシーを身につけたねって嬉しくなりました。

社労士にも確認しましたが、この方法に問題はないとのことでした。だから私は本当にその子の基本給を2万円下げたんですよ。その子はiDeCo+とNISAもしているので、運用が5%で回ったら、将来は小金持ち決定ですよね。千万円単位で貯まります。

FP相談ねっと代表 山中 伸枝
FP相談ねっと代表 山中 伸枝

iDeCo+を導入してよかったと思いますか?

代表取締役 有村様
代表取締役 有村様

私は自分の親の商売が大変になっている時期も見てきました。昔、母親に「人生で一番嫌なことはなに?」と尋ねたら「資金繰り」って返ってきましたよ(笑) でも、だからこそお金が無い苦労っていうのは身に染みているかもしれません。

社員たちも一人ひとりの事情は違います。私も50代の社員に伝えることと、20代の社員に伝えることの内容は変えています。50代は老後の備えとして全力で頑張れますが、若い世代は今を生きるのに必死でしょう。でも、「お節介ババア」って思われていたらどうしましょう(笑)

ただ、私には自分の中に、投資に対する腹落ちがありますからね。私はiDeCo+を始めてよかったと思っています。社員のみんなもそう思ってくれていると信じています。

今回インタビューをしたFPについて

山中伸枝(やまなかのぶえ)
www.nobueyamanaka.com

心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP®)
米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆など多数。