2016年10月19日付 日経新聞の記事
「個人型DC 受給に一工夫」はいよいよ普及期に入った確定拠出年金において、とても大切な記事です
確定拠出年金は、税制優遇があるので「ずっと税金がかからない」と勘違いしている方もいますが、受け取り時は全額非課税で受け取れるわけではなく、受け取り方によっては課税されます
通常「一時金」を選ぶ方が得です
なぜなら、確定拠出年金は加入期間を「勤続年数」と読み替えて退職所得控除が使えるからです
1年あたり40万円、20年を超える期間については1年あたり70万円ですから30年加入ともなれば1,500万円までの資産については非課税となります
また資産がこの非課税枠を超えても、課税対象となるのはその半分です
2,000万円であれば退職所得控除からはみ出した500万円のうち、250万円が課税対象となります
さらにこのお金は他の給与などとは分離され単独で課税されますので、超過累進課税である所得税においては、めちゃめちゃ有利になります
しかし今回の日経記事での指摘は、会社からの退職金(中退共含む)、自営業者の小規模企業共済などその他退職金扱いとなるお金があれば同年の受け取りは合算されますよという点です
合算されると、非課税枠を超える可能性が高くなります
課税の状況によっては、確定拠出年金を年払いとする方法もあります
年金払いにすると公的年金控除の対象となりますが、原則60歳前半は控除枠があっても公的年金の受給がありませんから、この期間を確定拠出年金でうめるのも得策です
詳細は日経記事で確認していただくとして、覚えておきたいポイント以下5つを念頭に税務署等に相談することです
1、退職金とDC、同年に一時金でもらう ⇒ 合算されても非課税枠内ならOK、課税額が大きければ他の方法も検討
2、退職金とDCを分けてもらう ⇒ 原則 DCファーストで!ただしDC加入期間が退職金の勤続年数より長い、分離課税のメリットを活かすなど、検討するに値するケースもあります
3、DCを先にもらう場合は次の退職金は5年以上あける ⇒ 特に経営者の場合金額が大きくなる可能性があるので計画的に
4、65歳未満の年金で受け取る⇒ DCは在職老齢年金の対象とならないので、相乗的に効果があることも
5、65歳以降の公的年金と合わせて受け取る⇒在職老齢年金の対象となるような方なら、メリットがあります
上記は半ば教科書的なプロセスですが、現場の相談でいうと、一時金として大きなお金を受け取ってもその後の運用が分からない、良く分からないセールスを受けてかえって不安という声も大きいですから、受け取ったあとのお金の使い方をしっかり検討すべきでしょう
また当たり前のように、「一時金と年金払い」の併用も可能というようにほとんどの場合解説されていますが、記録関連機関の扱いによっては一時金払いまたは年金払いの2択であることもあります
私が知っている限り記録関連機関のSBIベネフィットシステムズは併用ができません
なんどか問い合わせをしたことがありますが、退職金控除枠を超えるようなケースはあまり想定していないからとの回答でした
確定拠出年金のすそ野が広がると、いろんなケースが出てくると思いますので、法律上認められている併用での受け取り方についても、そうそうに対応していただきたいと思っています