幼児期の英語教育って、ホントはどうなの?

2006/6/28発行

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国際人になる!24のエピソード ことば編 : 第3号

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◇◆◇ 幼児期の英語教育って、ホントはどうなの? ◇◆◇

こんにちは、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝です。
「国際人になる!24のエピソード」第3号をお届けします。
よろしくおつきあい下さいませ。

私も英語が自由に話せたら・・・でも今からいくら頑張っても無理だろうな~
じゃあ、せめて子どもには、英語で困らないようにしっかり学ばせよう!

 

そんな親の切実な(?)思いを受け、子どものための英語教育が大人気。

赤ちゃんのための英語教室、
英語でリトミック、
キッズイングリッシュスクール、
エトセトラ・・・
小さいうちに、異文化に親しむことは大いに結構だと思います。

肌の色、目の色、食べ物、言葉など、自分とは違う人々と交流し、友達になり、様々なことを学ぶのはとても大切で、私も自分の娘にはできるだけそんなチャンスを与えたいと考えています。

でも、子どもの英語教育となると、内容にもよりますが、正直、本当にそこまで必要なのかな、と疑問に思うこともあります。
今回は、「幼児期に外国語を学ばせること」の子どもへの影響を、目の当たりにしたエピソードをご紹介しましょう。

 

☆☆ エピソード3 ☆☆

 

Aちゃんはアメリカにお引越しした当時6歳でした。
幼稚園の年長さんでしたが、年の割にはとてもしっかりしたお嬢さんでしたので、自分で考え判断し、それを言葉で表現するということがきちんと出来ていました。

Bちゃんは当時3歳。
幼稚園に入ったばかりで、舌足らずのしゃべり方がなんともかわいらしいお嬢さんでした。
まだ言葉はオウム返しも多く、自分の気持ちは言葉より感情と身振り手振りで伝えた方が早い感じです。

そんな2人が揃って現地の幼稚園に入りました。
2人とも英語は全く分かりません。

すぐに新しい幼稚園になじんで、先生とのコミュニケーションがとれるようになったのはBちゃんです。

“I wanna pee.”

「おしっこしたい」なんて、最重要語は速攻マスターです。
お友達との遊びも、問題なし。
YES、NOを巧みに使い分け、楽しそうに遊んでいます。

でもAちゃんはそうは行きません。
頭の中で言葉を整理して話すということが習慣となっていたAちゃんは、パニック状態です。
先生の言うことを一生懸命理解しようと思いをめぐらせているうちに、とても疲れてしまうようです。

この2人の違いは「年齢」が大きな原因であることは間違いありません。
英語教育をスタートした時点で、その子がどの程度「言葉」について認識があるかによって、新しい言葉に対する免疫力が違ってくるのが明らかです。

 

では、生まれると同時に2か国語で教育したらどうでしょう。

エピソードは変わって、私のカンバスエーションパートナーであったJ君の話になります。
J君は大学のボランティアで、私の英語スキルを向上させるために週に1~2度、学校のカフェテリアで一緒にランチをしてくれる友人です。

彼から初めて電話をもらった時、ラストネームを聞いても彼が日系だとはちっとも思いませんでした。

日本人としてもごくありふれた彼の苗字は、彼が発音すると全く聞きなれない言葉となっていました。

彼の両親は日本人。結婚して間もなくアメリカに来たそうです。
彼と兄はアメリカで産まれました。
祖父母は日本に居ますので、それまでに何度か日本を訪れたことがあったそうです。

でも、彼は日本語を全く話せません。 なぜ?
ご両親も日本人なので、なんか不自然だな~と思って、彼に尋ねてみました。
すると彼は、「バイリンガルをギブアップしたんだよ」と。
彼の家庭では、兄弟が生まれてから小学校に入学する頃までは、日本語と英語両方を使っていたのだそうです。

仕事で英語を使うご両親は、子ども達が英語で苦労しないように、そしてふるさとの言葉である日本語も忘れないように、と2か国同時に教えていたのだそうです。

でも、子ども達が近所の友達と頻繁に遊ぶようになると、子ども達自身の中で、英語で話すことの「フィット感」が増し、どんどん日本語を敬遠するようになったのだそうです。

友達同士で遊びながら使う言葉には、自ずと感情や興味が絡まりながらドンドン広がっていきます。
でも、家庭というあまり変化のない日常生活の中で使われる日本語は、それほど生き生きとした言葉ではなくなってきたのでしょう。

結局いつの間にか家庭で日本語を使うことを家族全員やめてしまったそうです。
両親がそれぞれ違う母国語を話すという環境であれば、別かも知れませんがそうでなければ、幼い子どもにネイティブのように話すことを目指しあえて英語を学ばせる、というのは、どこまで有効なのかと疑問を抱くのです。

なぜならば、人間にとって感情を表現する「母国語」をきちんと話せるということは、とてもとても大切なことだと実感するからなのです。

アメリカで過ごし、公立の小学校で英語講師として1年間小学生500名程に英語を教えていた経験もした私は、あらためて「母国語」への愛情が沸いてくるのです。

次回は、「母国語の大切さ」をご紹介します。

どうぞご期待下さい!

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※このコラムは2006年3月から2008年5月の間にメールマガジンで配信していたものです。

 

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