こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。
本日(2016/12/20)の日経新聞でもiDeCoの記事が掲載されていますね。記事はこちら「1兆円市場」争奪戦 個人型確定拠出年金、17年に対象拡大」
野村総合研究所の試算によると941万人が加入を望んでおり、その場合の拠出額は年間1兆円程度になるのだそうです。なるほど、金融機関がやっきになるのもそれなりに理由があるのでしょう。
さらに金融機関のサービスが充実してきたとの記事が続きます。
手数料の引き下げ、窓口対応など確かにこれは良いことですね、これまであまりにもiDeCoのサービスはひどすぎましたから・・・
しかし第一生命は面白いですね、資産残高150万円以上になった管理手数料を無料にするのだそう。会社員の掛金上限額は月23,000円ですから150万円まで資産残高を増やすには65ヶ月かかります。公務員は上限12,000円ですから125ヶ月です。何を目的にしているのでしょうか?ひょっとして、一時金でお金が入れられるとでも思っているのでしょうか?
確かに金融機関が一生懸命iDeCoに力をいれようとしているのは良いと思うのですが、正直「本人は加入者なんだろうか?」って疑うような表面的な情報だけを発信していたり、「本当にお客様コンサルをしているのだろうか?」って疑うような話だったりするのが気になります。
本当は加入者サイトの使い勝手も私としては比較したいのですが、手数料と運用商品、および信託報酬の情報はあっても加入者サイトのデモもなければキャプチャーもない。なんか実態が見えにくい情報ばかりなんですよね。
iDeCoは良い制度ですが、正直トラップはいくつかあります。それはこれまでたくさんの加入希望者あるいは加入者の相談を受けてきたからこそ感じること。今回の法改正では、中身は全く変わっておらず間口が広がっただけなので今後の混乱がさらに心配です。
またいろんな情報発信をみると、どうも「ふるさと納税チック」な傾向がみえかくれするのも嫌な感じです。ふるさと納税は本来地方自治体への寄付であるはずなのにお取り寄せになっている、かついくらするのが、最大2000円の自己負担で節税ができるのかのような近視眼的な損得。
iDeCoもいくらの掛金で節税効果を最大化するのか、みたいな議論が多くとても残念です。
iDeCoは節税のためにするのではありません。老後資金作りです。従って、老後の資金としていくら必要なのかそのゴール設定をしたうえで逆算していまいくらの掛金をかけるべきなのかを考えないと・・・30年後、40年後になんの成果もない、結果節税効果だけをうたい年末調整で返ってきたお金はその場で使っていると「タンス預金」と違いのない状況となってしまいます。
正直これまでも運営管理機関だった金融機関の人で確定拠出年金をしっかり理解して本人も活用している(老後の資産形成のための長期分散投資という意味で)方にはほとんどお会いしたことがないなか、今「流行りだから」一生懸命宣伝しているっていう人もいるんじゃないかと疑ってしまいそうな局面もあります。ひどい時には「これは売れる!」と公言する人もいますから、なんかとっても残念な気持ちになります。
iDeCoは腰を据えて加入者サポートをしていかないと意味がないです。いま日経紙面をにぎわしている金融機関さんたちはまず社内の方たちが本当の意味で「iDeCo LOVER」となっていただき、愛をもって加入者への情報提供をしてほしいです。
正直iDeCoには、加入から1年間はクーリングオフを付けた方が良いのではないかと思うくらい、最近表面的な言葉で加入を急ぐ方がいらっしゃるので危機感も感じます。
ぜひ、ライフプランコンサルを行っているファイナンシャルプランナーの方々にも積極的にiDeCoを学んでいただき一生を掛けたサポートに取り組んでいただきたいと思います。iDeCoだけで老後の資産形成が完結するわけではありません。たかがiDeCoです。
でも、iDeCoに出逢うことで資産形成の必要性を始めて意識する方も多く、入り口としてはとても有効なきっかけです。やはりされどiDeCoです。