こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。
最近こんなご相談がありました。
23歳の息子さん、就職がうまくいかず現在はバイト暮らし。収入も安定せず、仕事もちょっと不満があるとすぐにやめてしまいます。せめて国民年金は払ってあげたいとご両親が経済的な支援をされているそうです。そんな息子さんを心配するお母さんからのご相談です。
息子の将来が心配です。iDeCoは老後の備えと聞きましたが、私たちが息子の名前でかけてあげようと思っていますがどうでしょうか?
お気持ちよく分かります。自分の希望通りの暮らしが必ずしも手に入るわけではなく、どう気持ちの折り合いをつけ前向きに頑張っていくのか、若い息子さんの将来をご両親はとても心配されているわけです。お金を出し過ぎるのも息子さんのために良くないだろうけれど、せめて年金だけはというお考えです。
でも、だからといってiDeCoというわけではないと思います。
まずは、今後のキャリアを息子さんがどう考えているのか、そしてそのために今どんな行動をしているのか、あるいはしなければならないのかをしっかり考える方が先だと思います。そんなことをお話しました。
国民年金に40年加入すると65歳から約80万円の終身年金が支給されます。終身ですからありがたい年金ですが、アルバイトであればこれだけです。
しかし給料が仮に25万円であったとしても厚生年金に加入できる会社で社員として採用されると40年働くことで国民年金に上乗せで約66万円の年金が作れます。国民年金を合わせると146万円の年金です。
そうなんですよ、日本の年金制度は「働き方」によって将来の年金が大分変ります。月の収入が同じであったとしてもアルバイトなのか正社員なのかによって福利厚生が大分違うんですよね。
確かにアルバイトの息子さんの国民年金に上乗せでiDeCoというお考えは理解できます。でも、まずは「稼いでいくこと」をしっかり考えるべきではないかと思います。
まだ23歳と若い息子さん、ご両親の支援があればきっとこれからの自分のキャリアにも希望がもてるよう生活を立て直していけるのではないでしょうか?そしてご自身の将来設計のために自らiDeCoを希望され加入されるのもきっとそれほど遠くないと思います。そうなったらまたご相談承ります!
もしお母さんが月3万円出して息子さんのiDeCoを始めてあげようと思っていらっしゃるのであれば、そのお金で資格をとる勉強をするとかなにか将来につながることをした方が良いのではないでしょうか?
そんなお話をしました。
国民年金は、お父さんが息子さんの分の保険料を支払うとお父さんが「社会保険料控除」を受けることができますが、iDeCoは「小規模事業主掛金控除」というまた別の種類の税の優遇なのでお父さんが控除を受けることはできません。今回のご相談はお父さんの節税メリットを見込んでのご相談ではありませんでしたが、それもお伝えしました。
ましてiDeCoは「長期での運用」をしていく制度なので、だれかが変わってお金を出すというよりご本人の意思で始め、資産形成をしていくことがとても大切です。従って今はiDeCoより、息子さんがしっかり稼いでいけるような道筋をつけることが一番だと思います。