こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 代表の山中伸枝です。
2017年6月10日付の日経新聞朝刊にこんな記事が掲載されていました。
近年相続に対する関心が高まっているので、ご興味のある方はぜひ記事をご覧ください。
相続への関心が高まっている背景には、相続の非課税枠の縮小が挙げられます。
以前の相続税の基礎控除枠は5,000万円+1,000万円x法定相続人の数でしたが、今は3,000万円+600万円x法定相続人の数となってしまいました。
例えば、夫婦と子供二人という家族であれば、夫が亡くなった際の法定相続人は妻と子供二人の3名です。
つまり、以前までの非課税枠は5,000万円+1,000万円x3人=8,000万円までが相続財産から控除されたのですが、法改正により非課税枠が、3,000万円+600万円x3人=4,800万円まで縮小になったのです。
4,800万円は確かに高額ですが、それでも都内に家を持ち現預金で2,000万円から3,000万円程度持っているご家庭であれば、結構な確率で「相続税負担」を強いられるようになったので、生前贈与などを利用して相続税の課税を抑えようと相続対策への関心が高まっているわけです。
生前贈与は原則年間110万円までが非課税で贈与が可能です。しかし毎年決まった額を決まった時期に贈与していると「計画的贈与」となってしまい、(課税逃れであるとの疑い・・・でも生前贈与ってそういうことなのですが^^;)課税されることもあるそうなので、毎回金額を変更したり、贈与の度に贈与契約書を取り交わしたりとみなさん工夫されているようです。
生前贈与の他比較的取り組みやすい相続対策としては「保険を使う」方法も有効です。
保険には、500万円x法定相続人の数という、別枠の非課税枠があります。例えば前述の家庭であれば、法定相続人は3人ですから1,500万円が保険を使った場合の非課税枠です。
これはどういうことかというと、銀行にあずけた1,500万円は相続税の対象となる相続財産になるが、保険金として受け取る1,500万円は非課税で税金の対象となることなく受取人(この場合受取人が法定相続人であるため)に支払われるということです。
しかもこの記事にあるように、この保険は受取人固有の財産なので、あとから財産分与の対象として協議分割されることはありません。協議となると、場合によってお金の行き先が決まるまで時間がかかったりしてしまいますが、受取人固有の財産となる保険は、いろんな意味で「使い勝手が良い」のです。
また記事では、同じように受取人固有の財産となるものの一つとして死亡退職金を挙げています。
あまり知られていませんが、iDeCo、確定拠出年金の死亡給付金も死亡退職金扱いとなります。さらに受取人の指定も可能です。
会社の退職金は、自分の意思で自由になりませんし、そもそもどの程度当てにできるのかも今の世の中分かりません。しかしiDeCo、確定拠出年金なら自分自身がしっかり管理運用することができます。
元気で60歳を超えると自分の意思で受取時期を決められる、受取方法も決められるiDeCo、確定拠出年金。
万が一、積立期間中に加入者が亡くなると、遺族が資金を受け取れる。その際は死亡退職金として500万円x法定相続人の数の非課税枠があり、かつ受取人指定もできる。
お金は受取方などによって税制が異なりますから、受け取り方に選択肢があるというのはとても大きなメリットになります。