こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。
少しずつですが、iDeCoの情報が一般の方にも伝わっていき、加入者が増えています。これは間違いのない変化で、ものすごいことです!!
これからiDeCoの加入者がどんどん増えることで、見えてくるのが「企業型」確定拠出年金の弱点だと思います。残念ながら、すぐではないです。iDeCo加入者がiDeCo投資家に変わる頃です。
なにかというと、iDeCoの良さは「自発的な加入」であることです。
また「能動的な姿勢」があって初めて運営管理機関を決め、掛け金額を決め、運用商品を決めることができます。これは今までの日本人があまり経験したことのないプロセスです。
少し大げさかもしれませんが、これからの人生を考え、今何をすべきか考えた方がとりうる行動といえるのです。
このiDeCo加入者がだんだん経験を積むことで、資産運用についての知見も深めていきます。投資信託とはなにか、運用とはなにか、ポートフォリオとはなにか・・・
月々5,000円から12,000円、23,000円あるいは68,000円と上限はありますが、身銭を切って投資をするという行動を選ぶ人が増えてくることにより、投資と真剣に向き合う人が増えてきます。
これ、ものすごく大事なんですよね。自ら考え、決断するって。それにより損を被る、これも良い勉強です。時間があるからこそ、学びに価値が生まれます。
iDeCo投資家から見ると、企業型確定拠出年金、特に企業が掛金を拠出するタイプの制度は魅力がなく見えます。
なぜかというと、まず「会社からもらうお金」って最初はいいですが、だんだんありがたみがなくなるのです。そう思いませんか?
その証拠が、企業型確定拠出年金は2001年から多くの会社で導入されていますが、そこの加入者の意識は残念ですがとっても低いです。会社からお金が出ているのにも関わらず、ほりっぱなしの人がたくさんいます。
そんなもんなんですよ、人間って。
他人からもらったものより、自分でつかんだものの方に価値を感じてしまうのは当たり前のことです。
だからこそ、自分が頑張って稼いだお金の中から掛金を拠出するiDeCoの方が、モチベーションがあがります。
また、iDeCoでは掛け金額は自分で選べますが、企業型の場合、企業が掛金を決めます。
確かにお金がでるだけありがたいのですが、ほとんどの会社は社歴が短いと掛金も少ないです。またマッチングができたとしても、会社の掛金を超えての拠出はできませんから、意欲がわきません。
さらに、企業型の商品ラインナップは残念なものが多いです。可もなく不可もなしというとこならまだいいです。どーすんのこれ!というところもあります。
そう思うとiDeCoは価格競争もさることながら、運用商品もだいぶ良くなりました。これは企業型は情報が全く出てこない(会社マターなので)ため、社会の評価を受けないのに対し、iDeCoはオープンなので社会の評価を受ける違いでしょう。
なので、iDeCo投資家が増えると、企業に就職・転職した際、企業型確定拠出年金に対し不満を持つ人が今後増えてくるのです。
企業型確定拠出年金の担当者さんは、そのあたり心しておいた方が良いと思います。
これから企業型を導入しようと考えていらっしゃる経営者さん、担当者さんについては、そうならないよう少なくとも「選択制」を導入しましょう。
「選択制」確定拠出年金は、従業員全員加入を前提としないので、iDeCoを続けたい人も継続という選択肢を与えることができます。(選択制じゃないとこんなことが起こります 「会社員のiDeCoは転職の際が最もリスキーになる!」)
選択制とは特別なものではなく、企業型確定拠出年金の「制度設計」の一つです。単なるバリエーションですから、これから導入を考える場合、運営管理機関にそういう制度設計ができるかどうか聞いてください。一部取り扱わない運営管理機関もありますが、ちゃんと対応するところもあるでしょう。
これが、まず一つ。
つぎに商品ラインナップはちゃんと考えましょう。コスパの良いインデックスファンドで国際分散投資ができるのは当たり前ですが、アクティブファンドもいれましょう。また質の良いバランスファンドはマストです。バランスファンドといいつつ、日本株にどっぷり投資をするファンドは、バランスとは言えませんし、社員の資産形成にとってマイナスです。
自社で運用商品を選べるところは良いですが、中小企業となるとセミオーダータイプの「総合型」にどうしてもなってしまうでしょう。ここはちょっと注意ですね。コスト以外にも運用商品も比較してみてください。
私がお勧めしている「総合型」は商品ラインナップについても自信をもってお勧めできる内容です。コストも十分競争力があります。
企業型確定拠出年金は、とても良い制度です。
iDeCoよりも人生に与えるインパクトは大きいです。少なくとも、人間が最も多くの時間を過ごす会社という組織の中で学び、資産形成ができるチャンスは本当に素晴らしいものなので、ぜひ多くの会社に企業型確定拠出年金を導入してもらいたいと思っています
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