こんにちは、確定拠出年金相談ねっと 代表の山中伸枝です。
iDeCoのセミナーをあちこちでさせていただいている中で感じることは、税制優遇が強調され過ぎるあまり誤解されているなってことです。
例えば、掛金拠出の際の「所得控除」。
所得から掛金全額を「経費」として差し引くので、その分所得税、住民税が安くなるのですが、「それって結局所得が高い人が得するんですよね、金持ち優遇ですよね」なんて言葉を聞くことがあるんです。
確かに負担している所得税率は、所得の高い人は税率も高いんですね。だから、控除により節税効果も高いので、間違った解釈ではないのですが、だからと言って「金持ち優遇」ではないですよ。だって所得が高い人は、常に高い所得税を支払っているのですから、課税対象となる部分がiDeCoの掛金分少なくなったとしても、他でたくさん税金払っています。
所得控除の目安は以下の通りですが、所得によって得する税金の計算「率」が上がっていても、それがそのまま金持ち優遇だとは思わないで下さいね(笑)
所得控除効果の計算方法(例)
年収500万円の会社員の方なら・・・
iDeCo掛金 x 10% = 年末調整で還付される額
iDeCo掛金 x 10% = 翌年の住民税が安くなる額 ※住民税はどこにお住まいでも10%
つまり、月々2万円、年間24万円のiDeCo掛金なら、24万円x(所得税率10%+住民税率10%)=24万円x20%=48,000円が節税メリットということです
確かに年収1000万円になるとiDeCoの節税メリットは所得税23%、住民税10%の合計33%となりますから、「お金持ち優遇」に見えなくはありませんが、なにかとそういう方は税金払ってますからね^^
なによりここで理解して欲しいのは、iDeCoの税制メリットは他の仕組みと「比較して」非常に有利であるということです。例えば自分のための老後の仕送りを定期預金で準備したらなんの税制メリットもありませんね。個人年金保険だと、上記年収500万円のケースだと節税額は6,800円です。これは掛金の「一部」しか控除が認められていないからです。
掛金が所得控除になるという税制メリットは「やった人が得をする」とても単純明快な税制優遇です。
iDeCoの税制優遇のすごいところは掛金に対する税制優遇だけではないところです。
例えば運用益が非課税になるというメリットは「リスクをとった人が得する」仕組みです。もちろんiDeCoで定期預金といった選択肢もありますが、それでは得られる利息はごくわずか。そこに対する税制優遇も本当にわずかなメリットです。
しかし、リスクをとってお金を「元本変動型」に振り向けた人は、相応の運用益が得られるはずです。すぐにではないにしても・・・
そうなった時のご褒美がiDeCoの「運用益非課税」という税制優遇です。
iDeCoの3つめの税制優遇が、受取時のメリットです。特に一時金で受け取ると「退職金扱い」となります。
退職金扱いは何がすごいかというと、「早く始めた人、長く続けた人が得する」仕組みだからです。
ここで大きな役割を果たすのが退職所得控除です。退職所得控除はiDeCoを始めると1年毎控除額が積みあがっていきます。
1年経過すると、受取時の税金のかからない枠が40万円できます。
5年経過すると、税金のかからない枠が20万円できます。
20年経過すると、税金のかからない枠が800万円できます。つまり1年ごとに40万円ずつ「控除額」が増額されていくわけです。
でもここからがスゴイところですよ。
21年経過だと、控除額が870万円となります。
そうです、継続20年を超えると1年毎70万円ずつの増額に変わるのです。
25年継続すると、20年までの控除800万円に加算が350万円(70万円x5年)、あわせて1150万円の控除枠です。
30年継続すると、800万円+700万円ですから、1500万円の控除です。
さらに!!
いきますよ(笑)
退職金扱いのお金は、そこから1500万円の控除額を差し引き、それを半分にして分離課税なのです。
仮にiDeCoで2000万円お金をためたとしますね、加入期間は30年です。
すると課税対象となるのは、2,000万円-1,500万円=500万円→この半分だから250万円→分離課税なので支払うべき税金は152,500円だけとなります。
19,847,500円が手取りです。
よくね、iDeCoは結局最後に税金がかかるだろう!って言う人いますが、ここまで税制優遇が受けられる制度はないですよ、マジで!
これ、給与でもらったら相当課税されますよ。
税金が得する仕組みは人によってその「得する額」はことなります。
確かに所得控除は所得が高い人がより得します。
運用益非課税については、リスクをとった人が得します。
受取時の退職所得控除は、早く始めた人が得します。
それだけのことです。でも十分なんじゃないでしょうか?
得する額に差があることが「iDeCoをやらない」理由にはなりません。
なぜなら現状日本にある「老後資金作りの仕組み」でiDeCoがもっとも税制優遇が大きい仕組みであることには間違いがないからです。