相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

従業員への投資教育は何をやったらよいですか?

ご相談者様 DATA

 

【年齢】42歳

 

【職業】従業員数100名規模の製造業・総務係長

 

【性別】男性

 

【家族構成】妻、子2人

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

 

昨年取引のある金融機関の勧めもあり企業型確定拠出年金を導入しました。その際は、担当の方が会社にきて制度について説明をしてくれたのですが、それ以来特に何もしていません。いろいろ調べてみると厚生労働省は「投資教育」というものを推奨しているとか。自分自身も確定拠出年金の加入者でもあり、確かにそういった話には興味がありますし、社員に提供できたら福利厚生や職場定着という面で充実するのではないかと思っています。総務部としても働きがいのある職場環境づくりを求められているので、今年度は実行できないかと思い、渡辺さんのところでは企業型確定拠出年金のサポートもしているとのことで相談にまいりました。

ご相談内容

 

1年前に選択制の確定拠出年金を導入しました。制度開始にあたって、導入の窓口となった金融機関の担当者が制度説明会を行ってくれました。システムの使い方や確定拠出年金の概要をお話頂いたと思います。ですが、実際に制度を利用している従業員は少ないのが現状です。若い社員も多いので、制度をもっと利用してもらいたいと考えています。同じような立場の別会社の知人から、継続して投資教育を行っていると聞きました。自社でもやってみたいと思っていますが、何をしたらよいのか教えていただけないでしょうか。

 

 

ご相談でお話しした内容

 

確定拠出年金制度の投資教育をするにあたって、大きく分けてふたつのお話をしていくことになります。ひとつは「制度のしくみ」もうひとつは「資産運用の基本的な考え方」です。

ご相談者様の会社は100名程度の従業員がいらっしゃるということですので、可能であれば一度にしようとせず、グループ分けをして数回に分けて行われてはいかがでしょうか。

人数が多いとなかなか自分事として受け取れなかったりするものです。

投資教育は、テーマごとにお話を進めていくとわかり易いでしょう。

例えば

  • ライフプランを考えてみる
  • 確定拠出年金ってどんな制度
  • 資産運用の基礎知識
  • 商品選択のポイント
  • 制度を利用するためにこれから行うこと

 

ご相談者様の会社が確定拠出年金を導入された理由は何だったでしょうか。従業員の退職後の資金を有利な方法でつくっていきたいと考えられたからではないでしょうか。

まずは従業員にライフプランについて考えていただき、人生における一般的なイベントとだいたいの時期、費用の大きさをイメージしていただきます。

 

そして人生の3大支出である「教育資金」「住宅資金」「退職後の資金」中で、もっともお金がかかるのが「退職後の資金」であることをご認識頂き、退職後の生活費を公的年金だけでカバーするのは難しいので、会社が用意してくれた確定拠出年金制度をひとつの方法として、自助努力で備えることを考えていきます。

 

次のテーマでは確定拠出年金の全体の流れを押さえておきます。お給料口座とは別に掛金がどのような流れで専用口座に入るのか。また原則60歳まで引き出すことができないこと。口座に入ったお金は、あらかじめ用意された複数の商品から自分で選んで運用すること。60歳以降受け取る場合は、一時金として一括か年金として分割か選択できることなどの特徴をお話します。また制度の大きなメリットである3つの税制優遇についての説明も大切です。シュミレーションなどをして具体的な数字で税制メリットの効果をお伝えするとイメージし易いと思います。

 

特に「選択制」は、従業員が財形貯蓄のように希望により給与から掛金を拠出することになります。掛金は給与から切り離しになるので、所得税・住民税・社会保険料のかからないお金となり非常に大きなメリットを享受できるのですが、そういった知識のない方にとってはなかなかその良さがつたわりません。源泉徴収票を用いたワークショップなどを用いて、研修を行うなどは従業員の理解を深めるためにもお勧めです。

 

資産運用の基礎知識では、「貯めるお金」と「殖やすお金」のすみ分けや物価上昇リスクについて考えて頂き、お金にも働いてもらうという資産運用の効果について数字で表してみましょう。少しでも利回りの高いものに長期間預けることによって大きな差がうまれます。

またどんな投資対象があるのか、株式や債券とはどういう仕組みなのか、値動きはどうか、金融商品においてのリスクは‘危険’ではなく‘ブレ幅’です。投資対象のリターンとリスクの関係を相関的に捉えておきましょう。そのうえでリスクとどうやって付き合っていくのか。リスク許容度はおひとりおひとり違いますが、分散投資というリスクを平準化する考え方は必ず伝えていきたいものです。また資産配分も一度決めたらそのままにするのではなく、定点チェックしてどう変化しているか確認することも大切です。

 

ここまでは教科書的なお話しですが、実際商品を自分で選ぶとなると躊躇するものです。だって自分のお金が減ってしまうかもしれないのですから。それでもこれだったらいいかな~と根拠を持って選べるように商品のリスクやリターン、運用スタイル、かかってくる手数料を確認するポイントをお伝えしていきます。よくどれがいいのですか?という質問を受けますが、将来のことは誰にもわかりません(笑)が、時間をつくって一緒に考えていきましょうってことです。具体的に過去のある時点に遡って、あの時この資産に運用していたらどうなっていた?などグループワークしても楽しいでしょう。知識を得ても行動しなければ同じことなので、資産運用は特別なものではなく、身近だということを体感していただきたいです。

 

制度を導入して1年経過していますので、この1年を振り返って自分の運用はどうだったのか、他の商品だったらどうだったのかなど、より具体的な研修も満足度が高まるかと思います。1回目の投資教育のタイミングとしては悪くないと思いますよ。

 

そして最後のパートは、盛り上がってきた従業員が、今後何をしたらよいかお伝えし、次の行動が起こせるようなご案内となります。専用口座の管理はご自身でして頂くことになりますので、手続き書類や提出期限なども説明が必要です。掛金の増額などのご案内も一緒にしたいですね。制度の理解が進むと、掛け金額も増える傾向にあります。選択制の場合、従業員の掛金が増えると結果会社が負担する社会保険料が減額します。社会保険料の削減が目的の制度ではありませんが、法定福利費の減少を従業員の福利厚生の拡充に振り向けられるのも一考です。

 

投資教育というと何だか難しそうですが、基本的な考え方を身に付けて、お金を銀行に預けたら、そのお金がどのようになるのか。では、株などに投資したらどうか。戦争や原油価格、国の政策によって、世の中の変化により、経済や株価、為替がどう変化するのか。そんなことを考え興味を持ちながら、ご自分の投資スタイルを見付けていくことなのかなと思います。

 

まとめ

 

ご相談者様とは楽しく能動的に、お金について考えていくスタンスで投資教育をやってみたいという、前向きなお話しとなりました。厚生労働省のガイドラインでは投資教育とは必ずしも「投資」の話だけではなくライフプラン教育が大切であるとの文言があります。また個別商品の推奨はできないので、長期、積立、分散投資という資産形成の基本を丁寧にお伝えすることが求められています。今後は年に1回の研修開催をめどに会社にお邪魔して投資教育を担当させていただくことになりました。

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渡辺 和子
気軽に相談できるFPとしてお一人おひとりの夢の実現、不安の解消に貢献します。

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