子どものいないおばから、財産をあげるから面倒みて!と言われます。どうしたら良いでしょう?

この記事を書いた人
山中 伸枝

山中伸枝(やまなかのぶえ)FP相談ねっと 代表

ご相談者様データ

(お名前)高橋 美樹様 (仮名)40代

(職業)会社員

(家族構成)夫と子ども2人の4人暮らし

相談しようと思ったきっかけ

私の親のことではなく、おばのことなんですが相談できますか?

おばは1年前に夫を亡くしました。最近になって、ようやく気持ちも落ち着いてきたようです。おじはしっかり財産を遺してくれたので、生活に困ることはないと聞いています。

おばは私の母の兄の妻にあたります。私とは昔から馬が合い、子どものいないおばは、私のことをとてもかわいがってくれています。

そんなおばが最近、「ひとりになって心細い。財産はあなたにあげるから、これから私の面倒をみてほしい」と言うようになりました。

おばには姉と妹がいて、それぞれ子どももいるようですが、私は面識がありません。そのため、おばの気持ちはうれしいけれど、私がおばの財産をもらうことになってもよいのだろうか、と少し気になっています。

もちろん、おばのことは大切ですし、できる限り力になりたいと思っています。でも、私にも夫や子どもがいます。財産をもらうからといって、二つ返事で面倒をみると約束してよいものなのでしょうか。

大切なおばを支えたい。その気持ちを大事にしながら考えましょう

私たちは、「親のお金と暮らしを考えるFP研究会」という名称なので、おばさんのことを相談してよいのだろうか、そんなふうに思われたのですね。もちろん、問題ありません。むしろよく相談にきてくださいました。

年齢を重ねてひとりになったとき、心細さを感じるのは親に限りません。長年親しくしてきた親族に、これからの暮らしを支えてほしいと願うこともあるでしょう。

今回の相談者とおばは、もともと仲がよく、お互いに信頼関係があるようです。おばにとって、かわいがってきた姪の存在は、これからの人生を考えるうえで大きな安心につながっているのかもしれません。

一方で、相談者には自分の家庭があります。おばを大切に思う気持ちと、自分の家族の生活を守ること。その両方を大事にしながら、今後のことを考えていく必要があります。

まずは、「面倒をみる」という言葉が具体的に何を意味するのか、おばと話し合ってみてはいかがでしょうか。

定期的に連絡を取り合ったり、通院に付き添ったりすることなのか。それとも、病気になったときの手続きや財産管理、介護が必要になったときの対応まで期待されているのでしょうか。

元気な今と、将来、介護が必要になったときとでは、必要な支援も大きく変わります。相談者ひとりですべてを担うことが難しい場合には、介護サービスや専門家など、ほかの人の力を借りることも考えなくてはなりません。

おばの希望を聞くと同時に、相談者自身がどこまでなら無理なく支えられるのかを整理しておくことが大切です。ここは、あいまいにせず、具体的にお話をすすめてみましょう。

相談者は、おばの姉妹やそのこどもたちと面識がないとのことですが、おばの姉妹やその子どもたちがどのような人たちで、今どのような関係にあるのかを知ることも大切です。今後、おばになにかあった場合に、連絡をとらないわけにもいかないでしょう。

またおばに支援が必要になったとき、おばの身内の誰かに相談できるのか、協力を得られる人はいるのか。財産の話だけでなく、おばを取り巻く人間関係も含めて理解しておきたいところです。

おばから若い頃の話を聞きながらでも、姉妹との関係性も聞けるとよいでしょう。もしかしたら、一緒におばを支える頼れるパートナーになれるかも知れません。

財産をもらうことと、面倒をみることは分けて考える

おばが「財産をあげるから」と言っていることも、気になる点です。

財産を遺したいというおばの気持ちは、これまでの感謝や、今後も自分を支えてほしいという願いの表れなのかもしれません。ただし、財産を受け取ることと、身の回りの世話をすることは、いったん分けて考えてみましょう。

相談者が財産を受け取ることに遠慮を感じる必要はありませんが、財産をもらうのだから、どんなことでも引き受けなければならないと思う必要もありません。

また、おばの財産を将来どのように承継するかは、おば自身が決めることです。姉や妹、その子どもたちがいるからといって、必ずしも財産を分けなければならないわけではありません。ただ、親族間で誤解や行き違いが生じないよう、本人の意思を確認し、必要に応じて専門家に相談しながら進めることが望ましいでしょう。

相続についても、少し知っておきたいことがあります。

相談者は、おばの配偶者や子どもではなく、血縁関係のある姪でもありません。法律上は、姪にあたる人でも、今回のように姻族関係にある場合、通常は法定相続人にはなりません。そのため、おばが相談者に財産を遺したいと考えるのであれば、遺言書を作成し、相談者に遺贈する意思を明確にしておくことが重要です。

口約束だけでは、希望どおりに財産を承継できるとは限りません。遺言書の作成にあたっては、おば自身の意思を十分に確認したうえで、公正証書遺言なども選択肢に入れ、専門家に相談すると安心です。

元気なうちから、これからの暮らしを一緒に考える

財産の承継だけでなく、おばが今後も安心して暮らすための準備も考えておきたいところです。

たとえば、定期的に連絡を取り合う見守りの仕組みをつくること。必要に応じて、日常の支払いや手続きなどを支援する財産管理等委任契約を検討すること。そして、将来、判断能力が低下したときに備えて、任意後見契約を考えることもできます。

任意後見契約は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来の財産管理や生活に関する事務を任せる相手と契約しておく制度です。実際に任意後見人としての活動が始まるのは、本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任してからです。

さらに、亡くなった後の葬儀や各種手続きなどについては、死後事務委任契約という方法もあります。

こうした契約をすべて一度に決めなければならないわけではありません。おばが元気な今だからこそ、どのような暮らしを望んでいるのか、誰に何を頼みたいのかを少しずつ話し合い、必要な準備を進めていくことができます。

ただし、契約の内容によっては、相談者が継続的に責任を負うことになります。任意後見などを引き受ける場合には、役割や費用、将来の負担についても事前に確認しておきたいところです。

親のお金と暮らしを考えるFP研究会より

今回の相談者は、おばのことを大切に思うからこそ、財産を受け取ってよいのか、どこまで引き受けてよいのかと悩んでいます。

その気持ちは、おばにとってもうれしいことではないでしょうか。

だからこそ、今すぐにすべてを引き受けると約束する必要はありません。まずは定期的に会ったり、連絡を取り合ったりすることから始めてもよいでしょう。そして、おばの希望や財産の状況、将来必要になりそうな支援について、少しずつ話し合っていけばよいのです。

相談者の夫にも事情を伝え、家族としてどのような支援ができるかを考えておくことも大切です。必要に応じて、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門家に相談し、相談者ひとりに負担が集中しない仕組みをつくることもできます。

身近な人がひとりになったとき、支えになれる人がいることは大きな安心です。ただし、支える側にも生活があり、できることには限りがあります。

財産を受け取ることを前提に支援を約束するのではなく、おばが望む暮らしと、相談者が無理なくできることを一緒に考えていく。 その積み重ねが、お互いにとって安心できる関係を長く続けることにつながるのではないでしょうか。

執筆:親のお金と暮らしを考えるFP研究会 代表 山中伸枝
事例提供:FP相談ねっと 山中伸枝FP

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山中 伸枝

山中伸枝(やまなかのぶえ)FP相談ねっと 代表

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