2027年の子どもNISAを待つべきか、今日から親NISAで始めるべきか――35歳共働き夫婦が”子ども2人×600万円”の教育資金を非課税で育てる設計図

この記事を書いた人
青山 創星

会社と個人ダブル節税効果の国の制度確定拠出年金導入を銀行での運用経験をもとにフルサポート!!!

ご相談者様 DATA

【年齢】ご主人35歳、奥様33歳

【職業】ご主人:地方銀行行員(年収550万円)、奥様:保育士(年収350万円)

【性別】ご夫婦(男性・女性)

【家族構成】ご夫婦、長男5歳、長女2歳の4人家族

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

「2027年から子どもNISAが始まるというニュースを見て、これだ!と期待していたんです。でも、よく調べてみると、まだ法案の段階で確定していないとも聞きました。
長男が大学に進学するまであと13年、長女はまだ16年あります。子どもNISAが始まるのを待っていていいのか、それとも今すぐ私たちのNISAで教育資金を積み立て始めるべきなのか、判断がつかなくて……。
銀行員のくせにお金のことがわかっていないなんて、お客様には絶対言えませんよね。でも正直に申し上げると、自分の銀行の商品しか知らないんです。投資信託も自行のものは手数料が高いような気がしますし、かといって自行の窓口で『他社の商品を使いたい』とは相談できません。
子ども2人の教育費をどうやって準備すればいいのか、どなたか第三者の専門家に相談したいと思っていたところ、こちらのFP相談サービスを見つけました。」

ご相談内容

【ご相談でお話しした内容】

目次

ご相談者様は地方銀行にお勤めの行員の方ですが、ご自身の資産形成、特にお子様の教育資金について強い不安を感じていらっしゃいました。新しく始まる制度を待つべきか、今ある枠を使うべきか、銀行員ならではの葛藤も含め、最適な「設計図」を一緒に描いていきました。

「銀行員が銀行に相談できない」というジレンマ

ご相談者様から最初にお話しいただいたのは、銀行員としての立場ゆえのお悩みでした。
「自分の銀行で相談できないんです」

このお気持ち、実はご相談者様だけではありません。金融機関にお勤めの方から同様のご相談をいただくことは少なくありません。地方銀行や証券会社にお勤めの方々は、お客様に金融商品をご案内する立場でありながら、ご自身の資産形成については自社の商品ラインナップの中からしか選べない、あるいは「他社の商品のほうがいいのでは」と薄々感じていても、職場では口に出せないというジレンマを抱えていらっしゃいます。

ご相談者様の銀行で取り扱っているNISA向け投資信託を確認させていただきましたが、確かに信託報酬が比較的高い商品が中心でした。一方、ネット証券で購入できる低コストのインデックスファンドの中には、信託報酬が年率0.1%未満のものもあります。

この差が20年、30年という長期投資でどれほどの金額差になるかは、後ほど詳しくご説明させていただきました。まずは、ご相談者様が最も関心をお持ちの「子どもNISA」について、2026年4月時点での情報をお伝えすることから始めました。

子どもNISA制度の概要(2026年4月時点の最新情報)

制度の基本設計

ご相談者様がお聞きになった「子どもNISA」は、令和8年度(2026年度)税制改正大綱に盛り込まれた制度です。その後、関連法案が2026年の通常国会で審議され、2026年3月31日に特別国会で可決・成立、同日公布されました。この制度は、0歳から17歳までの未成年者を対象とした少額投資非課税制度として設計されています。

【子どもNISA制度の概要(2026年4月時点の情報)】

項目内容
対象年齢0歳〜17歳
年間投資枠60万円
非課税保有限度額600万円(総枠)
投資対象商品成人NISAのつみたて投資枠と同じ
非課税保有期間無期限
引出し12歳未満は原則として引出し不可。12歳以上は災害等の事由に加え、子のための教育費・生活費の払い出しとして子の同意を得たことを証明する書類を提出した場合に引き出しが可能
施行日2027年1月1日

重要なのは、関連法はすでに成立しているものの、施行は2027年1月1日であるということです。現時点(2026年4月)では、子どもNISA口座の開設・投資はまだできません。

成人NISAとの違い

2024年から始まった新しい成人NISAと比較すると、子どもNISAにはいくつかの特徴があります。

項目成人NISA子どもNISA
年間投資枠合計360万円60万円
非課税保有限度額1,800万円600万円
引出しいつでも自由一定の年齢制限あり

重要な注意点:関連法は成立済み、施行は2027年1月

ご相談者様にお伝えした時点(2026年4月)の状況を整理すると、子どもNISAを含む令和8年度税制改正法は、2026年3月31日に国会で成立し、同日公布されています。

この法律は原則として2026年4月1日に施行されましたが、子どもNISAに関する部分の施行日は2027年1月1日とされています。したがって、法律としてはすでに確定しており、制度の大枠が変更される可能性は基本的にありません。

つまり、現時点(2026年4月)では、子どもNISAの法的基盤は確立しましたが、実際の投資はまだ始められないのです。ネット上には「子どもNISAがもう始まった」かのような誤解を招く情報もありますが、施行は2027年1月です。

「待つ」コストを計算する

2027年から始めた場合のシミュレーション

ご相談者様の長男は現在5歳。大学進学を18歳と仮定すると、2039年(13年後)に大学受験を迎えます。子どもNISAが予定通り2027年1月に施行されたとして、その年から積立を始めた場合のシミュレーションを行いました。

【長男用:2027年〜2036年の積立シミュレーション】
積立期間:10年間(長男6歳〜15歳)
年間投資額:60万円(毎月5万円)
想定利回り:年率5%(安全重視のGPIFの実績利回り4%程度、世界株の過去の平均運用利回りなどを勘案)

この条件で計算すると、2036年末時点での資産評価額は約755万円となります。投資元本600万円に対して、10年間の運用益約155万円が非課税で得られる計算になります。

いうまでもないことですが、想定利回りは過去の実績利回りを参考にしていますが、固定利回りではありません。リスクを十分に認識しておくことが必要です。

2026年から親NISAで始めた場合との比較

一方、「子どもNISAを待たずに、今すぐ親のNISAで教育資金を積み立てる」という選択肢もあります。ご相談者様ご夫婦は、現在NISAをほとんど活用していないとのことでした。成人NISAの非課税保有限度額はご夫婦2人合わせれば3,600万円の枠があります。

仮に2026年4月から、お子さん2人分の教育資金として月10万円(年間120万円)をご主人名義のNISAで積み立て始めたとします。10年後の2035年末時点での資産評価額は約1,508万円となります。

「1年の差」が生む金額の違い

ご相談者様が最も驚かれたのは、「たった1年の差」が生む金額の違いでした。同じ年間60万円を積み立てる場合でも、開始時期が1年違うだけで、最終的な資産額に差が生まれます。これは「複利効果」の威力です。

【1年の開始時期の差がもたらす影響】

開始時期想定資産額(年率5%)
2026年4月(11年積立)約850万円
2027年1月(10年積立)約755万円
差額約95万円

「子どもNISAを待つ」という選択は、「1年分の複利効果を捨てる」という選択でもあるのです。

親NISA+贈与スキームの実務

基本的な考え方

「親のNISAで積み立てたお金は、親のものですよね。子どもの教育費として使うときはどうすればいいのでしょうか」というご質問をいただきました。

結論から申し上げると、親名義のNISAで運用した資産を、子どもの教育費に充てることは問題ありません。そして、お子さんが成人した後に資産を移す場合は、「贈与」という形で行うことになります。親から子への贈与には、年間110万円の基礎控除(暦年贈与)があります。

名義預金と判定されないための3条件

ただし、注意が必要なのは「名義預金」と判定されないようにすることです。税務署から名義預金と判定されると、相続時に贈与者の財産として相続税の課税対象になる可能性があります。

名義預金と判定されないための3条件

  • 贈与契約書を作成する: 贈与の都度作成し、双方が署名押印します。
  • 受贈者名義の口座で管理する: 贈与を受けたお金は子ども名義の口座に入金します。
  • 実質的な財産の移転を行う: 贈与後は、贈与者が自由に使えない(受贈者が管理・処分できる)状態にします。

具体的な実行手順

ご相談者様のケースでは、以下のような手順をご提案しました。

【ステップ1:親NISAでの積立期間(2026年〜)】
施行前は親名義のNISAで教育資金を「先行投資」します。

【ステップ2:子どもNISA施行後の対応(2027年1月〜)】
施行後は、お子さん名義の口座を開設し、そこでの積立に切り替えます。

【ステップ3:教育費として使用する際の対応】
親が子どもの教育費を直接負担することは「扶養義務の履行」として、通常贈与税の対象にはなりません。

子ども2人×600万円=1,200万円の配分計画

教育費のピークを時間軸で確認

ご相談者様のご家庭では、長男と長女の年齢差が3歳あります。これは計画を立てる上で重要なポイントです。2039年〜2045年の7年間が教育費のピークとなります。

長男用の資金計画

長男用として、子どもNISAの非課税保有限度額600万円をフル活用します。2027年から10年間で600万円を積み立て、大学入学(2039年)時点で約870万円程度になる試算です。

長女用の資金計画

長女は現在2歳のため、積立期間をより長く取れることがメリットです。10年間で限度額に到達した後も運用を継続でき、大学入学(2042年)時点で約1,070万円程度になる試算です。

親NISAからの移行タイミング

2026年4月から12月までの9ヶ月間は、親名義のNISAで合計90万円を先行投資します。2027年1月からは子どもNISAへ切り替え、「早く始める」ことで時間を味方につけます。

「銀行員だからこそ」のネット証券活用術

信託報酬の差が生むコストインパクト

ご相談者様の銀行の投資信託と、低コストインデックスファンドの差を比較しました。信託報酬の差だけで、20年間で約365万円もの差が生まれる可能性があるのです。

「銀行員なのに他社の商品を使うのは気が引ける」とのことでしたが、お子さんの教育資金を守るという観点では、コストの低い商品を選ぶことは極めて合理的な判断です。

iDeCoも同様に検討を

老後資金についても、iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用をご提案しました。iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となるため、税制メリットが大きい制度です。こちらも自行の商品だけでなく、手数料の低いネット証券等のプランと比較検討されることをお勧めしました。

子どもに残す最大の遺産は「お金の教育」

最後に、ご相談者様にお伝えしたかったことがあります。「子どもに残す最大の遺産は、お金そのものではなく、お金の教育である」ということです。

子どもNISAの制度設計では、12歳以上の子どもの引き出しにあたって本人の同意が必要とされています。これは中学生くらいの年齢から「自分のお金」について考え、意思決定する機会を提供する意図も含まれています。

親が毎月コツコツ積み立ててきた記録を見せながら、「なぜ投資をするのか」を親子で話し合うことは、何よりも価値のある金融教育になるはずです。銀行にお勤めのご相談者様だからこそ、お子様に伝えられることは多いのではないでしょうか。

ご相談を終えて

ご相談者様からの感想

「正直、こんなに頭の中が整理されるとは思っていませんでした。一番の収穫は、『待つことにもコストがある』という考え方でした。1年早く始めるだけで、複利で何十万円も変わってくる。これは目からウロコでした。それから、自行の投資信託と低コストファンドの手数料の差。20年で365万円の差というのは衝撃的でした。子ども2人の将来のために、今日からスタートします。ありがとうございました。」

FPからのコメント

今回のご相談では、「正確な制度把握」「待つコストの可視化」「コスト意識の徹底」の3点をお伝えしました。地方銀行員というお立場ゆえの悩みもありましたが、最終的には「お子様のために最も合理的な選択をする」という決断をされました。教育資金の準備は時間が武器になります。焦る必要はありませんが、早めの一歩が将来の大きなゆとりにつながります。

この記事を書いた人
青山 創星

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