“会社の掛金の同額まで”ルールが消えた日――38歳会社員が企業型DCマッチング拠出の新制度で年12.6万円の節税を掴むまで

この記事を書いた人
青山 創星

会社と個人ダブル節税効果の国の制度確定拠出年金導入を銀行での運用経験をもとにフルサポート!!!

ご相談者様 DATA

【年齢】38歳

【職業】大手電機メーカー・技術開発職(年収680万円)

【性別】男性

【家族構成】妻36歳(育休中)、長女3歳、次女0歳

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

「会社の企業型DC(確定拠出年金)に入社以来ずっと加入しているのですが、事業主掛金が月1万円で、マッチング拠出も“事業主掛金以下”というルールがあったので、自分で出せるのも月1万円が上限でした。正直、物足りないなと思いながらも『まあこういうものか』と諦めていたんです。
ところが先日、総務部から『2026年4月から制度が変わります』という通知が届きました。読んでみたのですが、専門用語が多くて正直よくわからなくて……。上限がいくらまで増えるのか、iDeCoに入り直した方がお得なのか、育休中の妻はどうすればいいのか、まとめて教えていただきたいと思い、相談を申し込みました。」

ご相談内容

【ご相談でお話しした内容】

目次

「月1万円しかできなかった」時代の終わり

企業型DC(企業型確定拠出年金)のマッチング拠出制度には、長らく「従業員が出せる掛金は、会社が出してくれる掛金(事業主掛金)以下でなければならない」というルールがありました。つまり、会社が月1万円しか出してくれなければ、自分で上乗せできるのも月1万円まで。年間でわずか12万円しか、自助努力で老後資金を積み立てる余地がなかったのです。

「もっと出したいのに出せない」「iDeCoの方が上限高いのに、会社の制度があるから加入しづらい」――こうした声は、私のもとにも数多く届いておりました。
しかし、 その制約がついに撤廃されました 。

2026年4月1日、企業型DCのマッチング拠出に関する法改正が施行され、「従業員掛金≦事業主掛金」という上限ルールがなくなりました。ご相談者様がおっしゃった「やっとスタートラインに立てた」という言葉、まさにその通りです。
これから、新しいルールの詳細と、ご相談者様のケースで具体的にどれくらいメリットがあるのか、一緒に確認していきましょう。

新ルールの全体像を30秒で理解する

2026年4月施行:マッチング拠出の上限撤廃

まず、今回の制度改正のポイントを整理させていただきます。

区分改正前(2026年3月まで)改正後(2026年4月から)
マッチング拠出の上限従業員掛金 ≦ 事業主掛金制限を撤廃(自由度向上)
合計拠出限度額(月額)5.5万円5.5万円(※12月より6.2万円)

つまり、 「会社の掛金以下」という縛りがなくなった ということです。ただし、事業主掛金と従業員掛金を合わせた合計上限は、現時点では月5.5万円です。

なお、2024年12月1日の改正(DB他制度掛金相当額の個別反映等)と今回のマッチング拠出上限撤廃は別の改正です。この点は混同しやすいので、ぜひ押さえておいてください。

具体的にいくらまで出せるようになったのか

ご相談者様の場合、事業主掛金は月1万円とのことでした。

  • 【改正前】従業員掛金上限:月1万円(合計2万円)
  • 【改正後(2026年4月〜)】従業員掛金上限:月4.5万円(合計5.5万円)

「ええっ、4.5万円も出せるようになったんですか!?」
はい、その通りです。 従業員掛金の上限が月1万円から4.5万円へ、実に4.5倍に拡大 しました。年間で見ると、12万円から54万円へ、42万円も拠出枠が増えたことになります。

さらに2026年12月には拠出上限そのものが引上げへ

もう一つ注目していただきたいのが、2026年12月1日からの改正です。DB等の他の企業年金制度がない場合、企業型DCの拠出限度額が月5.5万円から 月6.2万円 に引き上げられます。

施行日改正の内容
2024年12月1日DB等の他制度掛金相当額の算定方式変更、iDeCo上限2万円に統一等
2026年4月1日マッチング拠出の「従業員掛金≦事業主掛金」制限撤廃
2026年12月1日企業型DC・iDeCoの拠出限度額を月5.5万円→月6.2万円に引上げ

年間節税額を計算する――税率30%の衝撃

ご相談者様の税率を確認する

ご相談者様の年収は680万円。配偶者控除等を考慮した課税所得はおおよそ400〜450万円程度と推定されます。この場合の実効税率は以下の通りです。

  • 所得税率:20% (課税所得330万円超〜695万円以下)
  • 住民税率:10% (一律)
  • 合計の実効税率:約30%

つまり、企業型DCに拠出したお金はその30%が税金として戻ってくる(課税されない)計算になります。

具体的な節税シミュレーション

【改正前の節税額】
年間拠出額:12万円 × 30% = 3.6万円/年

【改正後の節税額(2026年4月〜、上限まで拠出した場合)】
年間拠出額:54万円 × 30% = 16.2万円/年

節税額の増加分:年間12.6万円

「年間12.6万円も節税が増えるんですか!」
はい、月額で見ると約1万円、毎月の手取りが実質的に1万円増えるのと同じ効果があります。

長期で見た節税効果

ご相談者様は現在38歳。60歳まで22年間、上限まで拠出を続けた場合の節税総額を(保守的に月5.5万円ベースで)試算すると以下の通りです。

  • 改正前の上限で継続:約79万円
  • 改正後の上限で継続:約356万円
  • その差額:277万円以上

「制度が変わったことを知らずに放置していたら、277万円以上も損するところだったんですね……」
その通りです。これが「制度を知る」ことの価値であり、知らずに放置することは大きな機会損失となります。

マッチング拠出 vs iDeCo併用、どちらを選ぶべきか

比較のポイント

企業型DCにマッチング拠出制度がある場合、主な選択肢は「マッチング拠出の活用」か「iDeCoへの加入」です。

【マッチング拠出のメリット】
手数料が会社負担(自己負担ゼロ)、給与天引きで手間いらず。

【iDeCoのデメリット】
手数料が自己負担(毎月最低171円〜)、自分で口座開設の手続きが必要。

ご相談者様へのご提案

ご相談者様の会社の運用ラインナップには低コストのインデックスファンドが含まれていました。そのため、私からの提案は「マッチング拠出を最大限活用する」という方向です。

育休中の奥様のiDeCo――意外な盲点

育休中でもiDeCoの拠出は可能ですが、一点重要な注意点があります。
「育休中は所得控除のメリットが得られない」という点です。

iDeCoの最大のメリットは掛金の全額所得控除ですが、育休中で給与収入がなければ、そもそも引くべき税金がありません。節税メリットがない期間の拠出を無理に続けるよりは、「育休中は拠出を一時停止し、復帰後に再開する」ことで家計のキャッシュフローに余裕を持たせるという選択もあることをお伝えしました。

子どもの教育費と拠出額のバランス

「上限まで出したいけど、教育費も心配……」という方には、「DC+NISA」の二刀流を提案しています。

  • 【DC】:目的は「老後資金」。節税メリットは最大だが、60歳まで引き出し不可。
  • 【NISA】:目的は「教育費等」。いつでも引き出し可能な流動性が魅力。

今回は、貯蓄可能額8万円を「DC:3万円」「NISA:3万円」「預金:2万円」といった配分でご提案しました。ライフステージに合わせて無理なく調整していくことが、長期継続のコツです。

「制度を知らない」という最大のコスト

「制度を知らない」ということ自体が、最大のコストになり得ます。
今回のご相談で、年間12.6万円の節税への道が拓けましたが、もし1年間放置していたら投資で言えば「確実に得られるはずだった利回り」を逃したことと同じです。

「制度を知り、行動すること」が、最も利回りの高い投資である
この言葉を、ぜひ心に留めていただければ幸いです。

ご相談を終えて

ご相談者様からの感想

「正直、DCとかiDeCoとか、制度が複雑でずっと苦手意識がありました。でも今回、具体的な数字で『年間12.6万円の節税』『22年間で277万円以上の差』と見せていただいて、本当に驚きました。これって、黙っていたら損するお金だったんですよね。
マッチング拠出の変更手続きは来週中にやります。子どもの教育費とのバランスについても、NISAとの二刀流という考え方がすごくわかりやすかったです。ありがとうございました!」

FPからのコメント

2026年4月のマッチング拠出制限撤廃は、企業型DC加入者にとって大きなチャンスです。しかし、このチャンスを活かせるかどうかは「知っているか、知らないか」で決まります。ご自身の会社の規約を一度確認し、最大限のメリットを享受できる設定になっているか見直してみることをお勧めします。

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青山 創星

会社と個人ダブル節税効果の国の制度確定拠出年金導入を銀行での運用経験をもとにフルサポート!!!

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