自営業です。国民年金基金とiDeCoの違いを教えて下さい。

ご相談者様 DATA

【年齢】 40代前半

【職業】 自営業

【性別】 男性

【家族構成】 配偶者、子供1名、

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

若い時からずっと自分で事業をしてきており、国民年金を払っています。しかし、様々な報道などから老後の年金が国民年金だけなので不安に感じており、会社員のような上乗せ部分を用意したいと思っています。先日、国民年金基金連合会から「国民年金基金」のパンフレットが届きました。最近新聞などでよく見かけるようになった「iDeCo」との違いを教えてもらいたいと思い、セミナーに参加してみました。セミナーでiDeCoのことは分かったのですが、会社員向けの話が多く、もっと国民年金基金について知りたかったので、個別相談を申し込みました。

ご相談内容

ご相談者は、私が主催するiDeCoセミナーに参加されました。セミナーはどうしても会社員さん向けの内容が多い構成になっており、セミナー後の質問で国民年金基金との違いを聞かれました。この時に老後の資産形成は、制度の中身が分かっているだけでは足りず、現状を把握した上でしっかりとした計画を立てることが大切とお話をさせていただいたことからご相談にお見えになりました。

ご相談でお話しした内容

国民年金基金とiDeCoの違い

会社員(第2号被保険者)の場合には、1階部分である国民年金(基礎年金)の上に、2階部分として厚生年金があります。
さらにその上に、3階部分として企業年金がある場合もあります。

これに対して、Nさんのような自営業者(第1号被保険者)の場合は、1階部分である国民年金のみです。

20歳から60歳になるまで満額掛けても80万円弱(平成28年度は780,100円)です。

Nさんがお察しのように、「国民年金基金」も「iDeCo」も、第1号被保険者がゆとりある老後を過ごすために国民年金に上乗せするのには、適した制度です。

よりNさんにぴったりの「自分年金」を作るために、「国民年金基金」と「iDeCo」の違いを比べていきましょう。

国民年金基金とは

国民年金基金制度は、まさに第2号被保険者と比べて将来受け取る年金額に生じる大きな差を解消するために、生まれました。平成3年4月のことです。

国民年金基金には、都道府県ごとに1つずつある「地域型国民年金基金」と、職種ごとに全国規模で設立されている「職能型国民年金基金」があります。

 

 以下、国民年金基金の特徴を述べます。

国民年金基金は確定給付型年金

確定給付型は給付建て、つまり将来の「給付」を約束する制度です。

よって、将来受け取りたい年金額をもとに掛金額を決めます。

国民年金基金の加入は、年金給付の型を「口数」で選択して組み合わせ、自分で将来の年金額を決めます。

以下のような留意点があります。
1.掛金の上限は1ヵ月68,000円まで
個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出額と合算

2.終身年金の支給額が確定年金の支給額を上回ること
年金給付の型を組み合わせる場合、終身年金であるA・B型の年金支給額の合計が、確定年金であるI~V型の年金支給額を上回る組み合わせとなるとようにすること

Nさんの場合、40歳前半なのでA・B型の年金支給額は1口15,000円、I~V型の年金支給額は1口5,000円です。たとえばA型に1口入った場合には、I~V型からは合わせて3口までしか入れないということですね。

3.掛金の変更はできるが、制約あり

・加入後、掛金を口数単位での掛金の増減額が可能

・1口目を減額して掛金を0(ゼロ)にすることは不可
   1口目は必ず、終身年金であるA型かB型を選びます。この1口目を0(ゼロ)にすることはできません。2口目からは終身年期、確定年金にかかわらず減額して0(ゼロ)にすることができます。

国民年金基金の税制メリット

負担した全額が、社会保険料控除として所得控除を受けることができます。

国民年金基金から支給される老齢給付も、公的年金と同様、公的年金等控除を差し引いた金額が雑所得として課税されます。

国民年金基金加入資格喪失理由

第2号被保険者や第3号被保険者になった場合および以下の場合には、国民年金基金の加入資格を喪失します。

1.海外に移住した場合
    国民年金に任意加入した場合は加入可能

2.国民年金の保険料免除や納付猶予の適用を受けている場合

3.60歳になった場合
    60歳以降65歳まで、国民年金に任意加入している間のみ加入可能

途中の引き出しはできない

支給開始年齢に達するまでは、途中で現金を引き出すことができません。また、Ⅲ1~3の資格喪失理由に該当しない限り自由に解約することはできません。

 

iDeCoとは

iDeCoとは、個人型確定拠出年金の愛称です。

確定拠出年金とは、国の年金だけでは不足する老後資金を、強力な税制優遇を受けながら自分で作りあげていく制度です。

国の年金制度は「賦課方式」といって、現役世代の負担する保険料が、そのまま高齢者の生活保障として「年金」の形で支払われる仕組みです。

昨今の少子超高齢化社会では、現役世代が負担する保険料は上がり、年金受給年齢は引き上げられています。

この公的年金制度の先細りを見越して、わが国では2001年に確定拠出年金制度ができました。

確定拠出年金制度には、個人型と企業型とがあります。

「企業型確定拠出年金」には第2号被保険者が加入し、「iDeCo」には第1、第2、第3号すべての被保険者が加入します。

「国民年金基金制度」が第1号被保険者だけのための制度であるのに対し、「iDeCo」はすべての被保険者のための制度であるというのは、大きな違いですね。

 

国民年金基金制度と対比させながら説明していきます

iDeCoは文字通り確定拠出型年金

確定拠出型年金とは、確定給付型年金とは反対の概念で、掛金建て、つまり月々の「掛け金」を約束する制度です。

よって、確定しているのは拠出する掛金額で、給付額は運用する商品によって変わります。

iDeCoの場合は、先ず運営管理機関を選び、その運営管理機関が示す商品の中から運用商品を特定し、配分を決めます。

1.掛金の上限は働き方によって異なる

ⅰ.第1号被保険者:68,000円 国民年金基金および付加年金と合算

ⅱ.第2号被保険者
    勤め先に企業年金がない者:23,000円
    勤め先に企業年金がある者:12,000円
    公務員など:12,000円

ⅲ.第3号被保険者:23,000円

2.掛金の下限は5,000円
1,000円刻みで指定する。

3.運用商品はいつでも配分変更可
単なる「配分変更」と積み立てた運用商品の全部または一部を売却し、他の商品に預け替える「スイッチング」がある。

4.掛金の変更可
1年度内に1回

iDeCoの税制メリット

拠出金は全額、小規模企業共済等掛金控除として所得控除が受けられます。

年金として受け取る場合には、公的年金等控除が受けられます。

さらに、一時金として受け取る場合には、退職所得控除が受けられます。これは退職時のみに限られません。60歳以上70歳までの任意の受け取り時に適用されます。

iDeCo加入資格喪失理由

1.海外に移住した場合

2.国民年金の保険料免除、納付猶予の場合

3.60歳になった場合

に資格を喪失するのは、基本的に国民年金基金と同じです。

ただ 1.海外に移住した場合3.60歳になった場合には、iDeCoの場合には国民年金に任意加入しても加入資格は発生しません。

途中の引き出しはできない

これはiDeCoも同じです。ただしiDeCoのほうがさらに要件は厳しく、

1.海外に移住した場合

2.国民年金の保険料免除や納付猶予の適用を受けている場合

でも、途中の引き出し(脱退一時金の受け取り)はほとんどできません。

 

iDeCoのメリット

では、iDeCoのメリットには何があるでしょうか?

一時金として受け取れば退職所得控除が受けられる

・加入者個人が運用方法を決めることができる。

・加入者の自立意識が高まる。

・経済・投資への関心が高まる。

・運用が好調であれば年金額が増える。
  (国民年金基金は予定利率が下がり続けている)

・一定の要件を満たせば、離転職に際して年金資産の持ち運びが可能。

・第3号被保険者も加入することができる。

 

iDeCoのデメリット

反対に、iDeCoのデメリットとは?

・投資リスクを加入者が負うことになる。

・老後に受け取る年金額が事前に確定しない。

・運用するために一定の知識が必要。

・運用が不調であれば年金額が減る。

・60歳までしか拠出ができない。
  (国民年金基金の場合は国民年金の任意加入で65歳まで可)

・海外に移住した場合には加入できない。
(国民年金基金の場合は国民年金の任意加入で加入可)

・掛金の変更は1年度内に1回のみ。

・受け取り時や転職時のスイッチングの準備次第で資産が減額し、損失を被ることがある。

 

ご相談者N様は、国民年金基金は加入時の年齢によって年金支給額に差がつく(35歳までの加入のほうが多い)ことが気になられているようでした。また、国民年金基金のシミュレーションよりは、ご自身で資産運用をすることに魅力をお感じになるとのことで、iDeCoを選ばれました。
法人成りをした場合の確定拠出年金について詳しくお知りになりたいとのことで、次回のご予約をいただきました。

 

監修:FP相談ねっと 代表山中伸枝 (2021/3/1追記)

自営業の方の場合、公的年金の少なさが最も懸念されるところです。iDeCoなのか国民年金基金なのかという選択については、上記で解説の通りですが、他にも小規模企業共済もありますし、法人成をして厚生年金加入ということも考えられます。またいつまでも現役で働くことが理想ですが、病気のリスクなどもやはりしっかりと備えたいとこです。
俯瞰して人生設計をするためには、FP相談がとても有効です。ご検討下さい。

この記事を書いた人
FP相談ねっと

全国に確定拠出年金相談に強いFPが所属するネットワーク「FP相談ねっと」

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