相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

相談事例集|確定拠出年金(企業型・iDeCo・個人型)の相談事例をまとめました。

2017年 02月 05日

NISAもやってます、商品の選び方のポイントは?

ご相談者様DATA

【年齢】40歳

【職業】会社員

【性別】男性

【家族構成】配偶者、(春に第一子誕生予定)

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

最近NISAよりもiDeCoのほうが目に付いてきて何なのか気になってきて、今やっているNISAをやめてiDeCoにしたほうがいいのかなと思い始めた。近所にiDeCoについてブログを書いているFPがいることを発見し向藤原さんに相談しようと思った。

 

ご相談内容

 NISAが始まった最初の年から毎月5万円を投資信託に積立てている相談者様ですが、iDeCoの報道が盛んになってきたので気になり始めたとのことです。今のままNISAを続けた方が良いのか、iDeCoに切り替えるほうが良いのか、どんな投資をしたら良いのか知りたいとのことでお会いしました。

 

ご相談でお話した内容

 ご相談者様は勤務先では厚生年金に加入されていますが、他の私的年金等の制度はなく、月額23,000円(年間276,000円)のiDeCo加入が可能な状況です。まず、現在5万円の投信積立をネット証券で継続されている場合と、iDeCoを利用した場合の比較から始めました。5万円の積立の内、iDeCoに積み立て可能な23,000円の部分について考えてみます。残りの27,000円部分については、NISAは利用できますが、iDeCoは利用できません。したがって27,000円の部分についてはNISAの圧勝です。

 掛金の上限比較

 

NISA

iDeCo

掛金上限

年間120万円

年間276,000円

 

NISAとiDeCoの税制の違い

 23,000円の部分について加入の前後を比較すると、iDeCoに加入することにより、年収が800万円なので所得税率20%、住民税10%と仮定すると276,000円が所得控除(小規模共済等掛金控除)され、計算上82,800円の税金が軽減される計算になりました。今年の所得に対する所得税が減り、さら来年度支払う住民税が軽くなります。23,000円部分については、NISAをやっていると所得控除の対象にはならず、iDeCoを利用すると年間8万円強節約できます。iDeCoにしたらご褒美をもらえる感じでしょうか。いきなり大きなメリット出現です。

 資金積立時の所得税・住民税のメリット比較

 

NISAで276,000円

iDeCoで276,000円

所得税の節税メリット

0円

55,200円

住民税の節税メリット

0円

27,600円

節税メリット合計

0円

82,800円

 

次に運用中の税金のコストです。どちらも運用益非課税なのですが少し違いがあります。現在のNISAは1年あたり120万円の非課税運用枠が与えられ、5年間の間で一度だけ非課税で売却できます。売却した資金を使って次に非課税の恩恵を受けるためには、その年に使っていない非課税枠が残っていることが必要になります。そして2023年(平成35年)の買付分までの適用予定となっています。(税制改正により一定の条件を満たした積立商品を年間40万まで積立て、最長20年間非課税のままおいておける制度が検討されています。)

iDeCoはどうでしょうか。NISAとの大きな違いになるのですが、一旦積立てた資産は、途中引き出せない代わりに、どんなに増えても何度でも商品を非課税で入れ替えていくことが出来ます。経済状況がどんどん変化する中でより投資成果が上がる投資対象はめまぐるしく変化しています。もちろんそれをうまくあて続けることは至難の業なので推奨はしませんが、あまりにも行き過ぎた水準になったと気づいたときには多少売買することは考えてよいと思います。NISAの運用枠は使い切ると年を越さなければ恩恵はありませんが、iDeCoについてはこれを気にする必要はありません。運用期間中、引き出すまで非課税で運用できる素晴らしい仕組みです。

 非課税期間

 

NISA

iDeCo

非課税期間

5年間

60歳までずっと(70歳まで運用期間の延長可能)

商品の入替

不可

何度でも可能

 

今あるまとまった資金を非課税の恩恵を受けたいならNISAに、こつこつとためて長期に膨らまして途中絶対に使わず老後に備える資産はiDeCoにと考えうまくバランスをとれば良さそうです。ただ、一点税制面での注意点があります。NISAは換金して手元に引き出しても課税される心配はありませんが、iDeCoは課税の対象になります。一時金で受け取るときは退職金課税、年金で受取るときは公的年金等控除を受けたあと総合課税の対象となります。ご相談者様は会社に退職金制度があり、公的年金も受給される見込みであるため、会社からの退職金を受取るタイミングや年金の受取額、iDeCoの運用成果状況に応じて有利な受取り方を選択できるよう60歳に近づく段階で検討されるようお話ししました。基本的には一時金で受取り、退職所得控除を受け、その1/2が課税対象になり他の所得と合算しなくて済む分離課税を利用して無税もしくは小額の納税で済むようにします。確定拠出年金においては掛け金の拠出期間を退職所得控除の対象期間として計算してくれるので、将来一時金で受け取る際の退職所得控除額を少しでも多くするために月々の払い込みは小額(最低5,000円)でも継続しておきたいものです。

 受取時の税金比較

 

NISA

iDeCo

受取時

課税はされず

課税対象(ただし税制優遇あり)

一時金:退職所得控除

年金:公的年金控除

 

 

手数料、信託報酬などの比較

 ご相談者様はインターネットを通じSBI証券でレオス・キャピタルワークスの「ひふみプラス」をNISA口座で積立てています。SBI証券でのインターネット口座の買付手数料は不要で、「ひふみ投信マザーファンド」に投資するファンドであることを確認しました。日本株を中心にマーケット状況に合わせ機動的に運用する方針の投資信託です。解約時の信託財産留保額も不要で、信託報酬が年率1.0584%(税込)差引かれるようです。そこで同じSBI証券が運営管理機関である個人型確定拠出年金を調べると「ひふみ年金」という商品が存在します。確定拠出年金向け説明資料を見ると「ひふみプラス」と同じく「ひふみ投信マザーファンド」に投資するファンドです。買付手数料はなく、解約時の信託財産留保額も不要です。ただ、信託報酬は0.8280%(税込)と少し安くなっています。その差0.2304%、276,000円を一年間非課税で運用すると636円ほど「ひふみ年金」の方が安いコストで運用できます。小額のようですが20年置くことや毎年同額貯めていくことを考えると意外と小さくない金額です。

 ひふみ投信のコスト

 

NISA

ひふみプラス

iDeCo

ひふみ年金

信託報酬

1.0584%

0.8280%

276,000円に対するコスト

 2,921円/年

2,285円/年 

 

 次にiDeCoに加入することによる費用を確認しました。SBI証券について調べると加入時の手数料として国民年金基金連合会へ2,777円、SBI証券へ1,080円の合計3,857円がまず必要です。そして積立を続ける間、毎月次のコストがかかります。国民年金基金連合会へ103円、資産管理サービス信託銀行へ64円、SBI証券へ324円(残高50万以上になると0円になる)です。12ヶ月で合計5,892円/年かかります。残高が50万円以上になると2,004円/年です。(2017年1月現在はキャンペーンで割引があります)他に年金資産の給付を受ける際、1回当たり432円、他の金融機関に運営管理機関を変更する場合、4,320円が必要になることを考慮に入れておく必要があります。NISAであれば金融機関や投資商品を選べばこのようなコストはかかりません。200社以上あるといわれる運営管理機関の中から、管理手数料が安く、運用成果が信託報酬等に見合った商品があり、かつ自分に合った運用が出来るところを1社(複数の選択は出来ません)選ぶことが重要になります。NISAにはなくてiDeCoにはある手数料が最低年間2,004円はかかることは考慮に入れる必要があります。

 今回はネット証券との比較をお話ししたのでiDeCoの管理手数料が重く感じられました。NISAの開設先が大手総合証券などであれば、買い付け手数料が3%程度必要な商品が多いため、ご自身のNISA口座をどこに置くかも重要な選択になります。

 口座管理のコスト比較

 

NISA

iDeCo

加入手数料

投資信託の商品選択、金融機関選択により購入金額の0~3.5%程度の買付手数料がかかる

2,777円(国民年金基金)      +運営管理機関手数料

年間手数料

 0円

 2,004円             +運営管理機関手数料

 

商品選びのポイント

  実際に運用成果に信託報酬の差は出ているのでしょうか。「ひふみ年金」の運用スタート日である2016年10月3日を100として2017年1月22日現在「ひふみプラス」は108.89(2016年10月3日27,128円、2017年1月22日29,540円)、「ひふみ年金」は108.58(2016年10月3日10,000円、2017年1月22日10,858円)と若干「ひふみプラス」の方が上回っています。同じマザーファンドに投資していてもその組み入れ比率など多少差があるからでしょうか、現段階では信託報酬の差分は投資成果には結びついていないようです。ただ、長期的に見ればじわじわとコスト差が反映されてくるのではないかと推察しています。

 一般的にiDeCoに採用されている商品は買い付け手数料がなく、信託報酬も安いといわれていますが意外と高い商品も存在するので注意が必要です。また、同種の金融商品を運用対象とする商品の中でiDeCoに採用されている商品と証券会社等で一般に販売されているNISAで買うことの出来る商品を比較した場合、明らかにiDeCoに採用されている商品のパフォーマンスが悪いケースがあります。積立の場合長期にわたり低迷しておいて換金するときにあがってくれさえすれば良いとする意見もありますが、やはりインデックス並みか、それ以上のパフォーマンスを続け、途中の換金の機会の多い商品を選ぶべきと考えます。

下の表はインド株式を投資対象とした2つのファンドの基準価格を指数化した数値です。AファンドはNISAでの買い付けが可能で、Bファンドは確定拠出年金で買い付け可能です。リスクリターンは5年間の月次ベースでのデータです。

銘柄

2012年2月

2016年12月

リスク

リターン

A(NISA)

100

229.74

25.45

25.35

B(iDeCo)

100

132.15

27.48

14.71

                        出所:QUICK

(A)ファンドは約68.3%の確率で-0.1%~+50.8%のリターンが得られる

(B)ファンドは約68.3%の確率で-12.77%~+42.19%のリターンが得られる

あなたならどちらを選びますか?せっかく制度上有利でもこれだけ収益性が違うと台無しですね。勿論その逆もあるわけで、過去の運用状況をよく吟味し、パフォーマンスに期待をもてるしっかり運用できているファンドがある運営管理機関やNISA口座を選ぶべきです。また、繰り上げ償還等の可能性の低い、ある程度純資産額の多いファンドを選んでおく必要もあります。

 まず長期的に考え60歳まで絶対に換金しないと決めて積み立てできる資金をiDeCoに積立て長期的に値上がりの期待できる国内外株式投資信託を中心に積立てるのがポイントです。5年程度のスパンで換金することも考えたい中期的な運用をNISAで組んで全体的なポートフォリオとしてのバランスを考えると良いでしょう。

資金的に余裕があれば課税口座での運用も加え、全体として国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、オルタナティブといった商品の配分を考え、状況によっては新興国への投資も組み入れることも検討して良いと思われます。個別株投資は基本的にiDeCoの品揃えにはないので、NISAもしくは課税口座で対応する必要があります。

 

 

 今回のご相談では、ご相談者様の将来の資金収支をキャッシュフロー表で詳細に想定した結果、月額23,000円をiDeCoで積立て60歳まで運用し続ける決定をされました。運営管理機関については管理コストの低めの会社を中心に、ご自身の興味のある投資対象のコストや過去のパフォーマンスを比較し決定されました。ここでは個別商品を何に決定されたかは報告できませんが、当面日本株投信と外国株投信に積立てる積極的な運用をiDeCoについては行うそうです。一本はコストの安いインデックス連動ファンドで一本は過去の運用実績のあるアクティブファンドです。マーケットが加熱してくるようであれば一旦資産の何割かをiDeCo内の定期預金に待機するなどして時期を見て再投資していく方針の様です。NISAでの積立て部分は、月額27,000円に減額し、全体のバランスを考えて配分し直すことにしました。

この春には第一子誕生予定でもあり、今後の家計収支を年1回は私とともに確認し、方針変更が必要かどうかは確認していきたいとの意向です。

 

 

 

 

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向藤原 寛
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