こんにちは、企業型確定拠出年金の導入に特化したFP×社会保険労務士の白井章稔です。
2023年も1ヶ月が終わろうとしています。(早いですね・・・)
せっかく迎えた新年にも関わらず、私の周りでも年明け早々新型コロナウイルスに感染している方が多く見受けられました。
(当社もお子様からの感染が2名、濃厚接触者1名です・・・)
コロナ発生から3年が経過しますが、未だに終息しないコロナ。
今回は、企業にお務めの方がコロナに感染したときに利用できる社会保障制度について解説をしたいと思います。
社会保障の内容は感染理由が「業務上」なのか「業務外」なのかによって変わってきます。
ケース別に見ていきますので、是非、参考にしてください。
本人がコロナウィルスに感染(業務上)
感染経路が業務によること(職場での感染)が明らかな場合は、労災保険から給付を受けられます。
感染経路が不明の場合であっても、仕事内容から考えて感染リスクが高く、
その業務が原因で感染したことが証明できれば、給付の申請をすることができます。
例えば、病院やクリニックにお務めの医療従事者、介護事業所にお務めの方は原則として労災保険の対象になります。
これ以外でも、複数の感染者が確認された職場内で業務を行っていたなど、
コロナに感染した「業務上の理由」が明確に証明できれば、給付の申請ができる可能性がありますので
会社最寄りの労働基準監督署に問い合わせをしてみましょう。
対象になる方
正社員、契約社員、パート・アルバイトなど雇用形態に関わらず、すべての労働者が対象になります。
実は、ここが重要なポイントです。
労災保険料は給料から引かれていないので、「私は加入していない??」と思う方もいますが、
労災保険は事業主が保険料を全額負担していますので、勤務先から給料をもらっていれば対象となります。
受けられる給付は次の2つになります。
療養補償給付
医療機関での治療費が無料になります(労災指定医療機関で受診の場合)。
まずは、受診をするときにご自身のお仕事の内容や感染経路をお伝えして、
労災が適用できるかどうか確認をしましょう。
※受診した医療機関が労災指定医療機関でない場合は
一旦、医療費を支払った後、申請をすることで、医療費の還付を受けることができます。
受診された医療機関が労災指定かどうかは、医療機関ホームページか受付窓口に直接問い合わせをしましょう。
休業補償給付
コロナに感染した場合、出勤停止となり仕事をすることができませんので(休業)
原則、勤務先から給料は支給されません。
その所得補償として、労災保険から休業補償給付という給付金を受けることができます。
給付対象日 休業開始4日目からの休業について
受給金額 休業1日あたり、給付基礎日額の8割(特別支給金の2割を含む)
(給付基礎日額とは休業前3ヶ月に受け取った給料の総額を暦の日数で割った金額となります。)
なお、休業1日目~3日目については勤務先が60%の補償をすることになります。
本人がコロナウィルスに感染(業務外)
感染経路が業務外の理由により、ご本人がコロナウイルスに感染した場合は、労災保険は利用できません。
この場合は、ご本人が加入している健康保険から給付を受けることができます。
※こちらは健康保険に加入しているご本人のみ申請ができます。被扶養者の方は申請ができません。
対象者
健康保険に加入している被保険者本人が対象となります。
健康保険は
都道府県が運営する「協会けんぽ」(会社役員・会社員が加入)
企業が単独、あるいは共同で運営する「健康保険組合」(大企業にお務めの方が加入)
社会保険組合が運営する「共済組合」(国家公務員や地方公務員、私立学校の職員が加入)
各市区町村が運営する「国民健康保険」(個人事業にお務めの方が加入 個人事業主は除く)
同じ種類の職業に就いている人を組合員とする「国民健康保険組合」(医師・弁護士・美容師等が加入)
に大きく区分されます。
傷病手当金
療養のために仕事を休まなければならないため、原則として勤務先から給料は支給されません。
この場合は、健康保険から傷病手当金を受けることができます。
ここでは、協会けんぽの傷病手当金を例に挙げます。
給付対象日 休業開始4日目から(連続した休業であること)
受給金額 休業1日あたり、標準報酬日額の3分の2
(標準報酬日額とは、賞与を含まない1日あたりの給与の金額とお考えください。)
労災保険と異なり、休業開始から3日間の欠勤については所得補償がありません。
そのため、年次有給休暇が付与されているのであれば、有給休暇の申請も検討しましょう。
健康保険組合の加入者の場合は、傷病手当金に加えて「付加給付」と呼ばれる
上乗せの給付を行っている組合もあります。
詳しくは会社の人事・総務や健康保険組合に問い合わせをしてみましょう。
国民健康保険の場合は、傷病手当金は任意給付となっているため、原則、傷病手当金の支給はありません。
しかし、新型コロナウイルス対策の一環として
国民健康保険加入者で給与の支払いを受けている方も特例として給付対象となっていますので
該当する方は忘れずに申請をするようにしましょう。(令和5年3月31日まで)
その他:小学校休学等対応助成金について
コロナに感染したのがご本人ではなく、小学校に通うお子様だった場合、
お子様の病院への付き添いや看病のために、仕事を休まなければならない。。。
このような時はどうしたらいいでしょうか?
令和4年10月1日から令和5年3月31日までの間に
保護者としてお子様の世話をする必要になった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇を
取得させた事業主に対して、「小学校休学等対応助成金」という助成金が支給されます。
対象となる子どもは
①新型コロナウイルス感染症に関する対応として、臨時休業などをした小学校など(保育所等を含みます)に通う子ども
②新型コロナウイルスに感染した子どもなど、小学校などを休む必要がある子ども
となり、助成金の金額として日額上限8,355円が事業主に支給されます。
休暇取得期間が令和4年12月1日~令和5年3月31日の場合、令和5年5月31日(水)が申請期限となります。
小学校休学等対応助成金のリーフレットはこちら
有給休暇とは別に会社から特別休暇が与えられ、給料は全額補償されます。
従業員にとっては収入減少の心配をすることなく、安心してお子様の世話をすることができます。
一方で、企業側の手間が増えるため、対応を渋る可能性もゼロではありません。
ポイントは勤務先の経営者や人事がこの助成金を申請してくれるかどうか、です。
この場合の対処法ですが、
都道府県労働局『小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口』に問い合わせをしてみましょう。
相談窓口より勤務先に対して、この特別休暇制度の導入や、助成金活用の働きかけをしてくれます。
→ 小学校休業等対応助成金 特別相談窓口はこちら
『働きかけをされると、自身の職場での立場が悪くなる、、、』などご心配がある場合は
その旨も相談窓口に伝えましょう。
相談者の意向を踏まえて対応をしてくれますので、まずは相談をしてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
改めてコロナに感染したときの社会保障についてまとめてみました。
感染防止に努めることはもちろん大事ですが、万が一のときに活用できる補償をしっていると安心ですね。