林 智慮

【メディア実績】ファイナンシャルフィールド『年金改正で年金はどう変わるの?受取開始時期の選択肢が拡大するって本当?』

「仕組みや制度を知っている」ことは、資産を形成する上で大切なことです。
知っていれば【貯められる】、知っていれば【殖やせる】、知っていれば【騙されない】。

FP相談ねっと林です。

令和2年の年金制度法改正により、老後の生活の基盤である年金制度がどう変わるのでしょうか。

今回の改正では、以下の見直し追加が行われます。

1.被用者保険の適用拡大
① 短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、段階的に引き下げる(現行500人超→100人超→50人超)。
② 5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。
③ 厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用する。

2.在職中の年金受給の在り方の見直し
① 高齢期の就労継続を早期に年金額に反映するため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額を毎年定時に改定することとする。
② 60歳から64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度について、支給停止とならない範囲を拡大する(支給停止が開始される賃金と年金の合計額の基準を、現行の28万円から47万円(令和2年度額)に引き上げる。)。

3.受給開始時期の選択肢の拡大
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大する。

4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
① 確定拠出年金の加入可能年齢を引き上げる(※)とともに、受給開始時期等の選択肢を拡大する。
※ 企業型DC:厚生年金被保険者のうち65歳未満→70歳未満 個人型DC (iDeCo):公的年金の被保険者のうち60歳未満→65歳未満
② 確定拠出年金における中小企業向け制度の対象範囲の拡大(100人以下→300人以下)、企業型DC加入者のiDeCo加入の要件緩和など、制度面・手続面の改善を図る。

5.その他
① 国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え
② 未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加
③ 短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ(具体の年数は政令で規定)
④ 年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者の見直し
⑤ 児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し 等

施行期日 令和4(2022)年4月1日
(ただし、1①は令和4(2022)年10月1日・令和6(2024)年10月1日、1②・③は令和4(2022)年10月1日、4①は令和4(2022)年4月1日・同年5月1日等、4②は公布日から6月を超えない範囲で政令で定める日・令和4(2022)年10月1日等、5②・③は令和3(2021)年4月1日、5④は公布日、5⑤は令和3(2021)年3月1日 等

以上、厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要       www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf
より引用

その中でも、年金の受け取り時期についての改正は知りたいうちの一つだと思います。
3.受給開始時期の選択肢の拡大 
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から75歳の間に拡大する。
これは、年金を受け取り開始は、今は60歳から70歳の間で選べますが、改正により60歳~75歳の間で選べるようになるということです。
年金開始年齢が引き上げられるのではありません。
年金開始年齢は65歳からで、今回の改正による引き上げはありません。(www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf  P7)

働き方が多様化する中、高齢者の就労も多様化しています。
60歳過ぎたら皆隠居、という時代ではありません。
長く働くことで健康寿命を延ばすことが出来るのは、今では周知の事実です。
繰り下げる場合、繰り下げた月数により年金が増額されます(1ヶ月あたり0.7%)が、今までは70歳以上繰り下げても70歳までの増加率42%が最大でした。しかし、今回の改正で75歳まで増額出来、84%の増加が可能になります。
国民年金満額でも月約6.5万円ですが、75歳~受給にすれば、6.5×1.84=11.96万円 です。
厚生年金は60歳過ぎても70歳まで加入が出来、加入期間を延ばすことで厚生年金部分を増やすことができますが、国民年金の場合は、60歳以上は加入期間が40年に満たない場合しか加入出来ません。繰り下げは増加した年金を一生涯受け取れるのですから、なるべく現役を頑張ることが、年金を増やすことに繋がります。

とは言っても、やむをえない事情で年金を繰り上げしないと生活出来ない場合もあります。
ただ、今回の改正で、繰上による減少率が0.4%になります。
国民年金を60歳に繰上受給する場合、これまでは月約6.5万円が約4.5万円に減少するところ、約4.9万円と少しだけ多くなります。

制度という線引きが、今回の改正で老後の生活に「やさしい」方向に引き直されたようです。

ファイナンシャルフィールド『年金改正で年金はどう変わるの?受取開始時期の選択肢が拡大するって本当?』

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