内田 英子

公務員・私学教職員の医療保険見直しマニュアル

こんにちは。
公務員ママがぐっすり眠れる家計の処方箋。
FP相談ねっと認定FPの内田英子です。

病気・ケガの万が一の際を考えると不安になりますね。
でも心配だからといって保険に入りすぎていませんか?

保険はみんなの万が一をみんなで支える
“相互扶助”のしくみをもつもの。
人生にリスクはつきものですから活かしたい大切なしくみです。
その一方で保険料は毎月決まった金額が出ていく“固定費”であり
生命保険に関しては構造的な“入りすぎ”リスクもあります。

特に公務員や私学教職員の方は
病気やケガによる万が一の際には、
共済から手厚い給付を受けられます。
だからこそ家計相談の現場では
生命保険の“入りすぎ事例”を多くお見受けします。

当たり前のようですが、保障を手厚くもつためには保険料の負担は大きくなります。
大きな保険料負担があっても家計が回り続けるのであれば問題ないのかもしれませんが、
保険料の負担が大きく保険に入りすぎているがゆえに
資産形成の機会が損なわれ、
家計の見通しが厳しい方を少なからずお見受けします。

でも、生命保険は万が一のことを思って加入したもの。
見直しをされたいと思っても、
どこから手を付けたらいいのか、
本当に大丈夫なのか。

思い浮かぶのは不安ばかりで
おひとりではなかなか手をつけることはできないものですね。

そこで今回のコラムでは医療保険について、
公務員・私学教職員の方が加入・見直しで失敗しないために押さえておきたいポイントについて触れながら、
そのステップについて家計の総合医の視点で解説します。

万が一の収入を確認しよう

医療保険は、平たく言えば病気やケガによる万が一に備える保険です。
病気やケガになってしまった場合、療養のためには医療費の負担が発生しますが、
療養が長期に渉ったり高額な費用が発生すると大きな医療費負担となる場合もあります。
加えて長期で療養が必要になる場合、思うように働けなくなることもあります。
そのため民間の医療保険は医療費の負担増と収入減の結果、
引き起こされる家計破綻リスクや機会損失リスクに備えることが加入のねらいと言えるでしょう。

医療保険への加入を検討する時、忘れてはいけないのは、
すでに共済で保障を備えているということです。
共済は、名称は異なりますが保険と同じく相互扶助の仕組みをもつものです。
その内容は短期給付と長期給付、福祉に分けられますが、
病気やケガによる万が一の際には短期給付により家計の負担を軽減することができます。

例えば万が一病気やケガで仕事をお休みしなければならず、
お給料が受け取れない場合には、所得補償が設けられています。
どの程度の所得が補償されているかというと、月給のおよそ9割程度です。
(※4日以上の連続した休業のとき、欠勤日数に応じて最大1年半支給されます。
税金はかかりませんが、16%程度の社会保険料負担は発生します。)

例えば月給36万円の方なら
休業4日目から1日あたり手取り9,200円程度の支給を受けることができるでしょう。

加えて共済組合によっては傷病手当金附加金といって
さらに半年程度、所得補償期間が長く設けられているところもあります。
受け取ることができる金額は少し減りますが、
およそ6割程度の収入を維持することができます。
※ 休職期間が通算して3年を経過したときは、傷病手当金附加金は支給されません。

(参考)地方職員共済組合「勤務を休み報酬が支給されないとき」www.chikyosai.or.jp/division/short/scene/works/01.html

もちろん、病気休暇を取得できれば、
その期間中はお給料を満額受け取ることもできますよね。

有給休暇も残っていませんか?

あなたがもしもの時、受け取れる傷病手当金と傷病手当金附加金はいくらですか?
病気休暇は取れそうですか?
有給休暇は毎年何日もらえていますか?

まずはおよその金額で構いません。
ご自身の加入する組合の給付内容や福利厚生を確認してみましょう。

万が一の支出を確認しよう

次に、万が一の時の支出を確認していきましょう。
万が一の時にも必要になるお金はどんなものがあるでしょうか。
病気やケガによる万が一の時、まず気になるのは医療費ですよね。
医療費については確かに医療費の負担は増えますが、
こちらについても共済から給付を受けることができるようになっています。
具体的に申し上げれば高額療養費一部負担払戻金といった給付が利用できます。
詳細な内容はこちらのコラムでは割愛しますが、
これらの給付を活用することにより
最終的にご自身で負担する金額は月25,000円に抑えられるようになっています。

(参考)地方職員共済組合「医療費が高額になったとき」
医療費が高額になったとき|地方職員共済組合 (chikyosai.or.jp)

一方、反対に減るお金だってあるはずです。
特にレジャー費やたばこやお酒などのゆとり費、
趣味のお金や外食費を含む食費などは、どうでしょうか。

確かに万が一のことを想定すると、
傷病手当金を受給することにより多少手取り金額は減ってしまいますし、
新たな医療費の負担も発生するでしょう。
でも、さらなる手厚い保障を用意する必要性は本当にあるのでしょうか?
貯蓄はありませんか?
パートナーは収入を得ることはできませんか?
見直せる支出はありませんか?
万が一の生活を助けてくれる人はいませんか?

もしも保障が不足していても用意する手段は必ずしも保険だけではありません。
幸い最近は働きながら受けられる治療も増えてきています。
あらためて家計について振り返ってみましょう。

保険商品を選ぼう

万が一の収入と支出を確認したら最後に保険商品を選んでいきましょう。
保険は前述のとおり、万が一の際必要な保障を用意する手段です。
万が一の時に必要なお金は組合などの公的保障や家計の資産や収入によっても
一部まかなうことができます。
それでもなお不足する保障額を、保険商品の活用により用意するようにしましょう。

保険商品を選ぶ際には保険料の家計への影響を
加入期間中トータルで見ていくことが大切です。
毎月支払う保険料は単体では大きくない場合も、
複数の保険料を組み合わせて、長い年数を掛け合わせることによって
思いもよらない大きな金額となる場合もあります。
保険料の家計への影響は、長期そして総合的な視点でみて適正具合を判断することが大切です。

ちなみに、職場で団体加入できる保険は保険料が割安になる場合が多いため、
積極的に活用していきたいところですが、
残念ながら組合のラインナップによってはいい保険商品がないという場合もあります。
せっかくなら“万が一の時に救われて、暮らしのQOLが上がる”と期待できる保険商品に感謝を込めて保険料を支払いたいものです。
保険料が割安でもじっくりと内容を読みましょう。
そして入ってよかったと思える保険を契約するようにしましょう。

まとめ

公務員・私学教職員の方が保険の見直しをする際に
知っておきたいポイントとステップについて解説しました。

お金の使い方が大事だと思いつつも、
日頃の暮らしの中でお金のことを考える時間はなかなかとれないものですね。
だからこそ、保険のお勧めをされた時くらいにしかお金のことを考える場がない、
といった方も多いことでしょう。
しかしお金には限りがありますし、保険契約は多くの場合長期に渉ります。
万が一のことを考えると怖いと思うことも多いですが、
保険を除いても万が一のために今からできることは案外多くあります。
限りあるお金、ご自身とご家族にとってよりよい使い方をじっくりと迷いたいと言う方、
ぜひお声かけください。

あなたとご家族が一日も長く健やかに安心して暮らせるよう、
総合的で長期的な視点に基づくファイナンシャルプラニングと
心を耕す生活設計で応援しています。

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