こんにちは。
FP相談ねっと認定FP 寺田紀代子です。
青森県弘前市で保険にまつわるお悩みを中心に相談承ってます。
先日こんなお問合せをいただきました。
「県外にいる妹が子宮がんで入院・手術をした。退院したが通院で抗がん剤治療中。点滴治療の後はぐったりして、とても書類なんかみる余裕がない位具合が悪いらしい。入院や手術の保険金を請求したいのだが、代わりに手続してあげることはできないんですか?」
妹さんは独身で一人暮らしをされています。医療保険ご加入の内容を確認すると、指定代理請求人に問い合わせいただいたお姉さまの名前があり、きちんと指定されていました。
こんな時の為の指定代理請求人!早速どんな手続きをすればいいか確認してみると、今回の場合、せっかくつけていた指定代理請求制度が使えないようです。
そもそも指定代理請求特約とはなにか、このお問合せの場合どうすれば保険金を請求できるのか、お話しします。
代理請求制度とは
入院手術給付金受取人が給付金等を請求できない『特別な事情』があるときに、その代理人(代理請求人、あらかじめ指定した場合は指定代理請求人)により請求することができる。
と保険を契約する時のしおりに書かれています。
『特別な事情』って何でしょう?
例として挙げられているのが
保険がかかっている被保険者本人が病名や病状等を知らされていないため(ガンなどの場合)給付金を請求できない時。障害または病気で被保険者本人が給付金等を請求する意思表示ができない状態であるとき。こんな時が『特別な事情』。
現在では長く付き合っていく病気となってきた「がん」の告知は、ほとんどの場合本人にされていますから、病名を知らされないというのはごくまれなケースです。また、本人が意思表示できないという場合はかなり重篤な状態です。本当に特別な場合以外は代理請求制度はあまり使われないことがわかります。
代理請求人はどんな人がなれる?
頻度は少ないかもしれませんが、契約の際に代理人を指定しておけば、万一重篤な状況になっても、保険金の請求がスムーズにできますので、指定代理請求人を契約時に設定しておくことをお勧めします。
指定代理請求人の範囲は以下の通り
*被保険者の戸籍上の配偶者
*被保険者の直系血族(実の親、祖父母、子、孫などです)
*被保険者の兄弟姉妹、甥姪
*被保険者と同居、または被保険者と生計を一にしている3親等以内の親族
以上のような親族以外で、被保険者と同居したり生計を一にしている人。被保険者の療養看護に努めたり財産管理をしている人なども、保険会社が所定の書類で認めた人は代理請求人として指定することができます。独身で個々に生活されている方は、一度保険会社に問合せ、万一の時、手続きをお願いする人が決まっていたら、申請してみましょう。
『特別な事情』でなければ、本人以外は請求できない?
本人に保険金を請求する意思はあって、頑張れば少しは字が書ける状態。こんな時は、具合が悪いけれど、本人が頑張って書類を書くしかないのかと思い調べてみましたら、
『代筆』で請求する方法があることがわかりました。
保険金請求のQ&Aに
という記載がありました。今回のお問合せの方にぴったりの回答です。代筆という方法があったんですね。
念のため、請求書類の書き方をヘルプデスクにも問合せてみました。
代筆の際注意する点は、保険金の振込先は代筆した人ではなく、被保険者本人の口座でなければならないという点。もう一つは、特に書式はありませんが、代筆した名前の近くに、代筆に至った事情を書き、代筆した方のお名前と認印を押すという点の2点でした。
入院が短期間になっている昨今、退院後も通院が続いたり、通院で抗がん剤や放射線治療を行うなど、交通費がかさんだり、お仕事を休んで収入が減ってしまうことも。
この時の為の保険なのに、体調が思わしくなく、細かい書類に立ち向かえないで先送りにしてしまうなんて残念です。保険会社により、手続きは若干違うかもしれませんが、代理で手続をすることは可能なはずです。早目に保険金を受取れれば安心ですね。