野原 亮

個人事業主から法人成りしました。iDeCoの手続きを教えてください

こんにちは、品川(高輪)の確定拠出年金相談ねっとFP、野原です。

 

今月、元個人事業主の1人社長さん(以下、A社長)が、企業型確定拠出型年金制度を導入されるということで、その申請手続きをサポートさせていただきました。

 

ここ数年僕の周辺では、起業されるかたがますます多くなってる気がしますが、みなさんの周りではどうですか?

 

税理士や社労士、生保営業パーソン、FPのかたから、一人社長さんをご紹介いただくことがあるのですが、
一人社長でも企業型確定拠出型ができることをご存知ないかたもまだまだ多いです。

 

あるいは、個人型確定拠出型年金iDeCoと企業型確定拠出年金が、同じ制度だと勘違いされてるかたも多いです。

 

今回のケースはまさに、将来法人化予定の自分自身にとって良いお手本となりましたので、もしかしたら似たような境遇にいらっしゃるかたもいるかもしれないと思い、ご紹介したいと思います。

 

個人事業主で加入していたiDeCoを、1人社長法人設立により、企業型へ移換するまでの流れ

<A社長のキャリア>

イベント 社会保険 確定拠出型年金 消費税
大手企業退職 厚生年金 企業型

 

個人事業主
として開業

国民年金

健康保険
(任意継続)

個人型iDeCo

毎月掛金
68,000円(上限)

 

非課税期間
(2年)

 

2年後に
法人設立

 

厚生年金
適用事業所

iDeCo

毎月掛金
23,000円(上限)

企業型導入にあわせて
移換予定

 

非課税期間
(2年)

前職の企業を退職される前から、法人設立までは順調に計画通りうまくいったそうです。
素晴らしいですよね。

 

唯一、計画通りでなかったのはたったひとつ。

僕と出会い、企業型確定拠出型年金を導入することになってしまったことです(笑)

 

A社長は法人設立とともに、厚生年金適用事業所の申請を出されています。

 

その承認がおりて、厚生年金適用事業所となったことにより、iDeCoの「被保険者種別」の変更手続きと、事業所登録第2号加入者であることの事業主証明が必要となります。

※詳細はiDeCo加入先の運営管理機関にお問い合わせください

 

被保険者種別変更届

 

事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書

 

このお手続きを忘れてしまうと後日、国民年金基金連合会より「個人型年金の記録について」のお知らせが届き、iDeCoの掛金拠出が一時的に停止されてしまいますのでご注意ください。

 

厚生年金適用事業所になると、iDeCo掛金の上限が下がる

個人事業主は「第2号ではない」ので「第1号」となり、掛金の上限は68,000円です。

 

ところが、法人成りし厚生年金適用事業所となり、他に特に企業年金等の加入がなければ、掛金の上限は23,000円となります。

 

掛金が一気に1/3となりますが、半年ほど我慢していただくことになります。

 

個人型iDeCoから企業型への移換手続き

仮に企業型の導入開始が12月(初回拠出が12月26日)とすると、12月14日までに下記書類をご提出いただくことで、iDeCoから企業型へスムーズに移換ができます。

※運営管理機関により締切日が異なる可能性もあります。詳細は各運営管理機関へお問い合わせください

 

加入者被保険者種別変更届」(共済組合員以外の第2号被保険者)
第1号被保険者→第2号被保険者への切換手続き
事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
企業型加入者がその事業主に所属しているかの確認書類

 

企業型の導入申請に必要な公的書類

就業規則賃金規程育児介護休業規程
※何はともあれ、これがないと始まりません。確定拠出型年金を導入するしないに関わらず、今後の経営にも関わる大切なことですので、就業規則はあらかじめ作成しておきましょう
履歴事項全部証明書
直近の社会保険料納入告知額・領収済通知書のコピー
毎月20日くらいに送付されます。法人設立間もないかたは下記があれば大丈夫です
厚生年金適用事業所の承認をうけると、「適用通知書」が届きます。
※後日「社会保険料納入告知額・領収済通知書」のコピーとの差し替えで、企業型の導入申請が可能。
継続雇用規程(雇用継続制度が再雇用で、資格喪失年齢を60歳超にする場合)
企業型の掛金拠出は65歳まで可能なので、フル活用されたい場合には必要。定年が65歳以上であれば不要です

 

まとめ

企業型確定拠出型年金を導入するには、一般的には書類申請開始から約半年かかります。

場合によっては、株主総会の関係上、1年以上かかるケースもありえます。

すぐ導入したいと思っても、いますぐに導入できる制度ではありませんので、経営戦略上、ご利用は計画的にすることをオススメいたします。

 

以下、おまけでご参考です。

 

個人事業主2年、法人2年といわれる優遇って?

消費税の納税義務の免除です。

 

僕らは商品・サービスを購入すると、その商品・サービス代金に消費税分を加算して支払っています。

消費税はまとめて国に納税する義務があります。

「課税売上で預かった消費税 ― 支払った消費税」を納税します。

 

ただ、売上が少ない個人事業主や法人は、消費税免除が可能となります。

これは、2期前の課税売上高が1,000万円以下が対象です。

 

開業から2年間は消費税を払わなくていいというのは、消費税の課税は2年前の売上高で判定されるため、原則として設立1期目と2期目は、2期前の売上がないからです。

 

健康保険の任意継続のメリットは?

ここでは簡単にお伝えしますが、A社長には専業主婦の奥さまとお子さんがいらっしゃいます。

 

健康保険料は在職時の「標準報酬月額(月収)」から決められますが、任意継続の場合、標準報酬月額は28万円が上限なので、それ以上の収入があったA社長の任意継続保険料は、国民健康保険料であったと比べて大きく減らせるため、任意継続を選択されたようです。

 

前職を退職する前から、ここまで計画的にはなかなかいかないかもしれませんが、前職→個人事業主→法人とこれからますます楽しみです。

 

 

 

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