野原 亮

【SDGsの闇2】人権問題と脱炭素の矛盾!「投資は社会貢献」「その企業への応援が投資」とは限らない不条理

こんにちは。中小企業の企業型確定拠出年金(企業型DC)制度について、制度の設計から導入サポート、研修まで担当させていただいております、FP相談ねっと認定FP・野原(のはら)です。

先日、株式投資を通じてご縁をいただいた中小企業経営者と、マーケットや経済、世の中のしくみや巨大なお金の流れ、共産主義誕生時の資金源など、なぜか壮大な話になりました(笑)

たたき上げの経営者って、私のイメージですけど、ある程度余裕がでてくると、そうゆう話に凄く興味をもたれるかたが少なくないような気がします。

近年では、1600年イギリスの東インド会社(※)設立くらいから現代、米オバマ元大統領くらいにいたるまで、特に20世紀の近現代史の研究が盛んになってきているようで、次から次へと、かつて陰謀論と言われていたことの中から、徐々に真実だったのではないかということがより多く世間に知れ渡るようになってきました。

※実はこの400年前からある東インド会社がいまだに存在していて、2005年にインド人によって買収されたことが話題になったようです

また、アメリカを筆頭に一部先進国のなかで、対中国共産党(CCP)への強硬派というか人権派が力をつけてきています。

米、人権軸に対中規制強化 新疆産品を全面禁輸

米、ウイグル産禁輸法成立

米インテル、ウイグル製禁止で中国に謝罪

人権デューデリジェンス

最近では、生産から消費までの過程に問題がないかを追跡する「トレーサビリティ」がより特化・強化された「人権デューデリジェンス」という言葉を良く聞くようになっています。

人権侵害より強い意味の人権弾圧・民族浄化(ジェノサイド)が行われていないか、それに間接的にでも加担していないか、「適当かつ相当な調査」をするということです。

企業買収(M&A)の世界でよくでてくる、資産のデューデリジェンスの人権版です。

あるいは国家の盛衰に関わるような重要な技術や機密情報が盗まれていないか、などもよく話題になっています。

以前より、これらテーマに関するブログを書いてきましたが、あなたはどう思いますか?

私の周辺にはSDGs(持続可能な開発目標)を直接的なテーマにしている知人はたくさんいますが、現実的には色々考えさせられることがあります。

そもそも、「Development」には「成長」という意味もあるようですので、持続可能な「開発」目標ではなく、「持続可能な成長目標」のほうが良いんじゃないかと思うくらいです(笑)

金融市場を通じて、世の中のために活きたお金の使い方をするという発想であれば、地球という人類が生きる環境基盤があることで、我々の社会や経済が成り立っているということがイメージとしてわかりやすく説明されているのが、ストックホルム・レジリエンスセンター所長ヨハン・ロックストローム博士が考案した「ウェディングケーキモデル」です。

個人的にはこちらの図のほうが好きなのですが、最終的にはNo.17「パートナーシップ」、みんなで一丸となって達成しよう、というモチベーションが全ての目標において共通の重要な要素となっています。

少額投資による積立てだけに限定したとても、インデックスファンドへの投資だけでなく、アクティブファンドについても、その投資対象の個別株式は本当にESG投資対象として許容される事業を行っているのか、問題のありそうな債券や通貨を組入れてしまっても良いものなのか、リサーチするには政治的・物理的・金銭的な限界もあり、悩ましいところかと思います。

例えば人権問題をどう解決していくのか、人権弾圧を行っていると思われる国家とどう付き合っていけば良いのか、人権弾圧している地域から多く産出される資源によってつくられる次世代エネルギー関連商材をどうとらえれば良いのか、理想と現実の狭間で、常に不条理や葛藤と戦っているかたも少なくないのかもしれません。

また、欧州から入ってきたSDGsというのは、極端な話では、お風呂に毎日入るのはやめようとか、食器を洗うときは水を使ってはダメとか、あまりにいきすぎとなってしまい、とても窮屈で生活できなくなるようなアプローチも見受けられます。

わが国は従来より、世界の中では相対的にSDGs的な価値観や生活観をもっていました。

身近なところでは、こまめに電気を消すとか、「贅沢は敵だ」というような感覚を、元々持っています。

あなたは善意の悪人?あるいは偽善者?

実は、本当の意味でこのSDGsを考えると、我々は意識するとしないに関わらず、どちらかというと「善意の悪人」か、「偽善者」または「確信犯」か、このどちらかに近くなるようなケースが多い気がします。

善意の悪人というのは、その人自身はとてもピュアで崇高な理念をもっており、真剣に地球や人類のことを考えているものの、よくよく考えてみると知らず知らずのうちに反SDGs的なことをしているにも関わらず、それには気づかない、あるいは気づこうともしない人たちです。

あまり刺激しすぎてしまうと、「私がこんな素晴らしいことを言っているのに、なんであなたは理解・協力できないの?」と、純粋に反発してくるのでやっかいです。

本人に悪気があるわけではありませんので、ほんとに純粋なのだと思います。

ただ、純粋すぎるがゆえに現実を理解できないのです。

そして偽善者・確信犯というのは、まさに私のようなタイプです。

金融業界もそうですし、世界史や歴史を学んできたかたなら当然かもしれませんが、世の中は綺麗ごとだけでは生きていけません。

崇高な理想があったとしても、現実的にまずはどれから解決していくか、どれをとりあえず放置しておくか、取捨選択して生きていかなければなりません。

なので、もうこの時点で偽善なのです。

あるいは偽善というよりは、現実的に全ての諸問題を同時に解決することなど到底不可能です。

まずはとっかかりが必要ですし、場合によっては最初に攻撃対象を設定するということもあり得ます。

これが政治、いわゆる大人の対応ということです。

また、どちらかというと善意ある悪人でも偽善者でもないかたは、もう少し世の中に関心をもってもらいたいとは思います。

我々は事の大小によらず、誰しもこのような問題に直面します。

身近な生活のなかでも、組織や企業内でも、マクロ経済でも、政治的解決が図られます。

例えばその好例が、冒頭の中国共産党の人権問題なのでしょう。

私自身はどちらかというと親米スタンスをとっていますが、とはいえ、我々日本人からしたら、ほんとにそれで良いのでしょうか?

原爆を落とし、食生活を欧米化し、好都合な政策を日本に押しつけているともいえなくないアメリカに対し、全面的に賛同するというわけにもいかないのが本音でしょう。

議論の積み重ねこそが大事

このように、SDGsについてちょっと考えただけでも、あーでもない、こーでもないと色々とでてきます。

私はそれでも構わないと思っています。

大事なのは、このような課題に対して、解決に向けて議論を重ね、少しずつ優先順位が高いものから対応していくしかないのだろうと思います。

できることなら全て同時にやっていけたら良いのに、とはもちろん思います。

とはいえ、そもそも現代の我々が優先順位が高いと思っていたことが、50年後の現役世代にとっても優先順位が高いかなんて、いまは誰にもわかりません。

地球温暖化にしても、本当に温暖化へ向かっているという科学的根拠はないと言われていますし、逆に長期的には地球は寒冷化していくなかで、たまたまいまはその反動で温暖化しているという説もあります。

また、文系の私には理解できないのですが、二酸化炭素が多く排出されるから温暖化するのではなく、温暖化することで植物の光合成が活発になり、二酸化炭素が多く吸収され、むしろ大気中に酸素が増えるという説もあります。

要は、科学的根拠があいまいなままで突き進んでいるのです。

あいまいなままなのにも関わらず、日本の経団連のように、唐突感ある流れでSDGsをビジネス化していると言えなくもないのです。

だからこそ、日本の経済界や政治家は、なかなか中国共産党に対して、強硬手段にでることができず、アメリカの規制にひっかかっている日本の代表的企業もあります。

残念ながら我々にはいまのところ、そんな企業群にも投資しまう以外に、消去法的に資産形成する方法がないのです。

ジャーナリズム

SDGsを成功させるのに最も大切なのは、ジャーナリズム(私見では「可能な限り真実に近づこうとする欲求」)であるという方がいらっしゃいました。

私もこのご意見に賛同しています。

それでも真実は、我々には到底わからないかもしれません。

とはいえ、明らかに何言ってるかわからない、おかしい論理が何なのかはわかるような気がします。

さて、我々が長期にわたって国際分散による積立投資をし続けるなかで、SDGsをどうとらえるか、社会の公器として、ESG投資の対象となる資格をもつ企業をどう発掘し、見守っていく・育てていくかは、今後さらに大きなテーマになっていきます。

また、このSDGsという概念は、自国内の問題と、対外国との問題をどう並列させていくかというのがまた難しいのです。

自国を犠牲にして外国を優先させれば自国は崩壊しますし、自国を優先しすぎると、外国との関係性が悪くなる。

つまり、我々日本国としては、日本という国家観をまずはしっかり持っておかないと、外国との付き合いかたも結論が出せないのです。

国家観をしっかり持つということは、日本の歴史や文化などを通じて、日本人としての在り方を問うことになりますし、それを維持するためには正しい貨幣観をしっかり持っておかないと、国家としてのお金の活かし方を決めることもできません。

そして金融教育でまず始めに大切なのは、「学び方を学ぶ」ことです。

これは、日常的に情報収集のやり方を学び、その情報をどう活かすか、どうやって表現していくかを学ぶことです。

特にいまの日本の金融教育は、このうち「情報のとり方」の教え方・学び方が圧倒的に弱い。

新聞や書籍など、活字を読まない人が増えているうえに、ラクだし楽しいから動画で情報収集すれば良いんじゃない?という感じです。

実はこれ、脳ミソを退化させる教育なんです。

動画は音声・映像・字幕など、一度に入ってくる情報が多くなりすぎて、我々の脳は集中力を伴う力の使い方ができなくなります。

集中力が熟練していかず、熟考する能力も伸びないのです。

特に映像の処理は、脳ミソの処理能力に負担がかかりやすくなります。

一方、活字や音声などは、情報量がそれほど多くないため、その文字を見たり、音を聞いた時に、同時に脳ミソの中で「想像する」という力が働きます。

「外は雨でした」と書かれていたり、声のテンションが低いと、伝え手の気持ちがなんとなくわかる気がしますよね。

動画になれすぎてしまうと、この想像力が大きく育ちにくくなります。

つまり我々の脳ミソは、この10年間くらいで、だいぶバカになっているのではないかということが推測されてしまうのです。

さて、私の文章そのものがもはやとっちらかっていて、まさにバカという感じになってしまってますね。

これから経済や金融のことを学び、将来の人生やビジネスにも活かそうとされるかたにはぜひ、世の中の流れに安易に流されず、自分の頭である程度考えられるように、そんな気づきを与えてくれるかたと出会えるように、切に願っております。

「人は、見たいと思う現実しか見ない」 ― ユリウス・カエサル

「やっかいなのは何も知らないことではない。実際は知らないのに知っていると思いこむことだ」 ― マーク・トウェイン

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