ご覧の皆さま、こんにちは。
公的年金、若年層の金銭教育を得意分野とする、横浜のCFP®・社労士・1級DCプランナーの井内(いのうち)です。
さて、今日もお届けします公的年金についてのQ&A。
今回はこちら、老齢年金を受けられるようになってから働く場合のお話です。
Q.年金を受け取るようになってから厚生年金に加入すると受給額はどうなる?
60歳台前半で特別支給の老齢厚生年金、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金が受けられるようになる中、引き続き働き続けて厚生年金に加入すると厚生年金の保険料が給与から引かれます。もう年金が受けられる年齢を過ぎている場合は、この掛けた保険料は掛け捨てになってしまうのでしょうか。
A.再計算によって受給額は増える
生年月日により60歳台前半で特別支給の老齢厚生年金が受けられ、また、現行制度上全ての世代について、65歳から老齢厚生年金や老齢基礎年金が受けられるようになります。
しかし、今は年金が受けられる60歳以降も引き続き働くことが多い時代です。
会社に勤め続ける場合、厚生年金は最大で70歳まで加入することになり、厚生年金の保険料が発生します。70歳までの在職中、給与や賞与から控除されることになるでしょう。
特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半)や老齢厚生年金(65歳以降)は受給する権利の発生する前月までの厚生年金加入記録で計算されていますが、では、その年金を受給できるようになってから働き続けて掛けた厚生年金保険料はどうなるかというと、これは掛け捨てにはなりません。
その後の退職した時や厚生年金が加入できる70歳になった時にそれまでに掛けた分を含めて再計算され、再計算後の年金の受給額が増えることになります。
65歳当時480か月の厚生年金加入期間で老齢厚生年金が計算されていたところ、引き続き70歳まで5年間加入した場合、70歳以降は5年分(60月分)足されて540か月で受給額が計算されることになります。
また、今年から改正によって、65歳以降の厚生年金加入期間中も毎年再計算が行われることになります(在職定時改定制度。同制度については以前執筆しましたfinaseeの記事をご覧いただければと思います。)。
年金を受給できるようになってから掛け、その分が受け取り額に反映され、その増えた額が生涯続くことになります。
在職中、高い給与を受け取ると在職老齢年金制度で年金がカットされることになり、また、高い厚生年金保険料を掛け続けることにもなりますが、その分、再計算の際に多く増えることになります。
70歳で退職して90歳まで生きたとしても20年もあります。
厚生年金を掛け続けて年金を増やすことで、退職後の生活がより安心できるのではないでしょうか。
【これまでの実績】——————-●個別相談、金融機関の相談会等含め年金相談は合計4500件以上経験、●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会保険労務士向け、FP向け、社会人1年生向けなど。㈱服部年金企画講師。●執筆は通算300本以上!『週刊社会保障』の「スキルアップ年金相談」(法研様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「MONEY PLUS」(マネーフォワード様)、「finasee(フィナシー)」(想研様)、「ファイナンシャルフィールド」(ブレイクメディア様)、月刊『企業年金』の「知って得!公的年金&マネープラン」(企業年金連合会様)。その他、FUSOSHA MOOK「定年前後に得するお金の手続き」(扶桑社様・共同監修)。●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。●取材協力先として扶桑社様、光文社様、日本経済新聞社様。●その他、動画「人生とお金の悩みを解決!たった5分のお金の学校」、Clubhouseルーム「【FP井内】いのっち公的年金語り部屋」に出演。
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