五十嵐 義典

【公的年金Q&A】「ねんきん定期便」に記載されている経過的加算部分って何?

ご覧の皆さま、こんにちは。

公的年金、若年層の金銭教育を得意分野とする、横浜のCFP®・社労士・1級DCプランナーの井内(いのうち)です。

さて、今日もお届けします公的年金についてのQ&A。

今回はこちら、「ねんきん定期便」の中身についてのお話です。

Q.「ねんきん定期便」に記載されている経過的加算部分って何?

現在50代。大学を卒業してからずっと厚生年金に加入しているのですが、「ねんきん定期便」に将来の年金見込額が表示されています。その中の老齢厚生年金にわずかな金額で表示されている「経過的加算部分」、これは一体何でしょうか?

A.20歳前・60歳以降に厚生年金に加入した場合の基礎年金相当

老齢厚生年金は報酬比例制を採っています。

厚生年金加入中に負担する厚生年金保険料は報酬に応じて変わることになり、将来受け取る年金も在職中の報酬に応じて負担した保険料に応じて変わることになります。

厚生年金に加入すると、老齢厚生年金の報酬比例部分が増えるわけですが、同時に国民年金の老齢基礎年金も増えることになり、2階建てで将来の年金を増やすことができます。

ただし、厚生年金加入によって老齢基礎年金が増えるのは20歳以上60歳未満の期間です。

20歳前や60歳以降の厚生年金加入では老齢基礎年金は増えないわけですが、代わりに老齢基礎年金に相当する、老齢厚生年金からの経過的加算部分が増えます。

その結果、報酬比例部分と併せて経過的加算部分が増えることになります。

経過的加算部分は、20歳前・60歳以降、1月の厚生年金加入につき1,621円(2022年度の場合)増えることになります(※厚生年金加入期間・最大480月を上限)。

大学を卒業してから厚生年金に加入した人であれば、20歳を過ぎてからの厚生年金加入ですので、50代でのねんきん定期便では経過的加算部分はわずかな金額しか表示されていません。

そして、50歳になった人の「ねんきん定期便」の見込額は今の加入条件が60歳まで続いた場合の見込額ですので、60歳以降の加入条件は含まれません。

もし、60歳以降も勤務して厚生年金に加入することになると、1,621円ずつの経過的加算部分が増額していくことになるでしょう。

【これまでの実績】——————-●個別相談、金融機関の相談会等含め年金相談は合計4500件以上経験、●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会保険労務士向け、FP向け、社会人1年生向けなど。㈱服部年金企画講師。●執筆は通算300本以上!『週刊社会保障』の「スキルアップ年金相談」(法研様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「MONEY PLUS」(マネーフォワード様)、「finasee(フィナシー)」(想研様)、「ファイナンシャルフィールド」(ブレイクメディア様)、月刊『企業年金』の「知って得!公的年金&マネープラン」(企業年金連合会様)。その他、FUSOSHA MOOK「定年前後に得するお金の手続き」(扶桑社様・共同監修)。●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。●取材協力先として扶桑社様、光文社様、日本経済新聞社様。●その他、動画「人生とお金の悩みを解決!たった5分のお金の学校」、Clubhouseルーム「【FP井内】いのっち公的年金語り部屋」に出演。

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