FP相談ねっと認定FPのプレ定年専門FP三原由紀です。
子供のいる世帯へ公的な経済支援制度があるのはご存じかと思います。
児童手当は最大11万円 支給額に差が
例えば、「児童手当」は0歳から中学3年生までの子ども(15歳に到達後、最初の3月31日まで)
を養育している人に支給される手当です。
手当のスタートは0歳からですが、手当の終了は中学3年生まで。
つまり4月生まれと同学年の3月・早生まれでは11ヶ月分の差がつきます。
中学生の手当は所得制限がない場合は月額10,000円、つまり11万円の差になります。
扶養控除でも差がつく
児童手当が終了した後にも公的な経済支援は「扶養控除」として行われます。
扶養控除は所得控除の一つです。扶養親族の要件を満たす16歳以上23歳未満の子がいれば受けることができます。
控除額は、16歳〜18歳が38万円、19歳〜22歳は特定扶養親族として63万円と大きくなります。
ところで16歳〜18歳は高校生、19歳〜22歳は大学生と思われるかもしれませんが、
必ずしもそうとは言えないのです。というのも「扶養親族」の年齢は学校の学年ではなくて
12月末時点での年齢で判断することになるのです。
つまり、早生まれの高校1年生は、12月31日時点では15歳ですから扶養控除の対象外です。
大学1年生の時には、18歳ですから38万円の控除を受けることになります。
では、具体的に早生まれと遅生まれで比べてみましょう。
早生まれ(1月〜3月生まれ) | 遅生まれ(4月〜12月生まれ) |
16歳(高校2年)→ 38万円 | 16歳(高校1年)→ 38万円 |
17歳(高校3年)→ 38万円 | 17歳(高校2年)→ 38万円 |
18歳(大学1年)→38万円 | 18歳(高校3年)→38万円 |
19歳(大学2年)→63万円 | 19歳(大学1年)→63万円 |
20歳(大学3年)→63万円 | 20歳(大学2年)→63万円 |
21歳(大学4年)→63万円 | 21歳(大学3年)→63万円 |
22歳(社会人)→63万円? | 22歳(大学4年)→63万円 |
上の表を参照すると、早生まれのケースでは22歳の時には大学を卒業して社会人になっている可能性が高いと言えます。
その場合、給与収入が103万円を超えるため、扶養親族の対象外となります。
つまり現役で大学に入学したケースでは特定扶養控除を受けられなく可能性が極めて高いと言えます。
22歳の特定扶養控除がなくなった場合の税金の差を見てみましょう。
仮に親の年収が600万円の場合、所得税の税率は10%になるので6万3,000円(63万円×10%)の損になると言えます。
また、住民税の特定扶養控除は45万円、税率は一律10%ですから4万5,000円の損になります。
児童手当と合わせて21万8,000円の機会損失とも言えます。
とは言っても残念ながら制度を変えることはできません。
ですから、できることといえば、早生まれの家庭は支援が少ないことを知って、教育費の備えをしておきましょう。