【FP対談企画第20弾】相続と終活について
実はちゃんと考えておかなければならないのが、「人生をどう終えるか」。お金の話、家族の話、友人やこれまで歩んできた自分自身の歴史など。大切なことを大切に家族に託すためのサポート「相続と終活」について頼れるFPが対談しました。
※当コンテンツは各FPの個人的な感想です。あくまで参考として楽しんで読んで頂けますと幸いです。
【Youtube】FPが本音で語る!【第20弾】相続と終活について
参加者
山中 伸枝
(やまなか のぶえ)
山中 伸枝のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ
三藤 桂子
(みふじ けいこ)
三藤 桂子のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ
伊藤 由美子
(いとう ゆみこ)
寺門 美和子
(てらかど みわこ)
寺門 美和子のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ
- では、始めていきたいと思います。皆さん、よろしくお願いします。
- よろしくお願いします。
- 今回は、相続と終活の研究会の皆さんにおいでいただいているんですけれども、まず、研究会の趣旨などを三藤さんから教えてもらっていいですか。
- 私は相続と終活の研究会のリーダーをさせていただいております、三藤桂子と申します。この研究会では、みんなが相続診断士という資格を持っています。そして、FPの中でも相続というのが分野的にあると思いますけれども、そこにそれぞれの特化した専門性を発揮させていただいて、皆さんそれぞれに活動させていただいております。
- なるほど。今回は三藤さん、伊藤さん、寺門さん、それぞれ3名がおいでになっているんですが、メンバーはこの3名以外にもいらっしゃるんですね?
- はい、もちろんです。サブリーダーで三原由紀さん、それから林智慮さん、そして井上佳子さん、こちら6人でのメンバー構成になっております。
- 先ほど相続診断士とおっしゃっていましたけれども、具体的に相続診断士さんってどういうものに取り組んでいらっしゃるんですか。
- 相続というのは、人が亡くなってから発生することですけれども、発生する前から必要とされているんです。それはなぜかというと、最近では平成27年度に相続の税の改正もありまして、昔は資産家だけの問題だっていうふうにいわれていた相続が一般の方にも関係してくるようになったんです。そうすると、仲の良かった親子や兄弟なんかが、相続が発生したことによって争族、争う相続になってしまう。そういったところを相続診断士が仲に入って、争族を笑顔に変えていこう、笑顔相続にしていこうというところで活動しております。
- 伊藤さんは相続に関心を持たれた理由というのは何かあったんですか。
- そうですね、私自身は実は父を7年前に亡くしまして、そのときに私の父は保険の代理店、いわゆる中小企業の社長だったんですけれども、その社長が亡くなることによって持っている自社株の問題もありましたし、不動産なんかも持っていました。そこで私自身が一人っ子であれば何の問題もなかったんですけれども、もちろん兄弟もいて、母も存命ということですから、受けるということにいろいろな負荷が結構掛かるんだなということにそこで気付きまして。うちの父はその辺をよく考えて、亡くなるまで半年ぐらいあったので、自分でエンディングノートを書いたりとか、「通夜振る舞い」って皆さんご存じですか。そのときに、助六は駄目だって書いてあったんです。お通夜に来られる方は、ちゃんとしたお刺身とかのお寿司を出してほしいとか、自分のコーディネーションを全部やっていたので、私、すごく助かったんです。ですから、私自身は逆にすごくいい経験をさせていただいたので、ちょっと早めだったんですけれども、来るだろう私の友人とか経営者の方に、しっかりとした相続で笑顔になれるって、こういうことがあるんだよっていうことを伝えたいなという思いから相続診断士を取らせていただいて、今はフリーペーパーとかにその体験の記事なんかも書かせていただいています。
- 確かになんか相続って聞くと、さっき裕福な方のってお話しになったし、いわゆるドラマなんかのイメージだと、どろどろの何か嫌なイメージですけど、今のお話しを聞くと、笑顔っていうのが頭に付くとだいぶ雰囲気が違いますね。
- 本当です。
- 寺門さんは何かきっかけがあって取られたんですか。
- はい、私は夫婦問題コンサルタントという仕事をやっておりますので、やはり相続も必ず入ってくるんです。最近多いのが、50代の奥様が受けた相続のお金をご主人が狙っているという。それで夫婦仲がこじれるというのがとても多いんです。それも大きなきっかけになりましたし、私自身、母を亡くしているんですが、母の兄弟で伯母がいるんですけれども、母の姉で今96歳になります。その伯母の介護を私が母の代わりにしておりました。そのときに認知症になってしまい、今はホームに入っているんですけれども、もう家を放置しております。そういうこともやはり大きく、この相続のことも一歩踏み込んで行いたいなと思ったきっかけです。
- 今お話を伺うと、笑顔相続ってお話しされていましたけれども、相続という手続きだけの話ではなくて、それに行きつくまでのプロセス、終活というところですかね、そういったものをとても大事にコンサルティングをしているというような理解でいいんでしょうか。笑顔相続という、そういう意味でよろしいですか。
- はい。
- なるほど。今は相続に関わる方たちって増えていらっしゃいますけれども、実際に課題として考えている方も増えていらっしゃるんですか。相続問題が出るんじゃないかなとか、前もって終活を考えていきたいという人たちも増えていますか。
- そうですね、やはり奥様たちが横のつながりで情報を結構得ているんです。パート先でとか、お友だちとのランチ会でとか、そういうところでいろんな方の問題を聞いていて、じゃあ、うちも何かやらなきゃっていう意識になっている方は多いと思います。
- ちょうど50代ぐらいの奥さんたちだと、親が高齢になって介護だったりそういう相続って目に見えてきますもんね。確かにそうですね。
- そうですね。
- それぞれの活動というのがまたあると思うんですけれども、またちょっと教えてもらってもいいですか。
- 私は主に相続というよりも、争続にならないようにということで、エンディングノートのセミナーをさせていただいております。
これは相続診断士会が出しているエンディングノートなんですけれども、これは法的な効力はないんですが、法的な効力というと遺言書とかになりますけれども、そこまで考えなくても、まず自分の思いを家族とか大切な人に伝えてほしいっていう、そういうためのノートなんです。ですから、こういった誰々に何々を相続させたいっていう遺言書だけのお話ではなくて、自分史、自分がここまで生きてきた証しとしてのものを、中を開いていただくと書く欄があります。そして、今はITの時代になっておりますから、パソコンにしてもスマートフォンにしても全部暗証、ロックが掛かってしまいますので、実際に亡くなってしまってからだと、そこら辺が開けられない。そうすると、誰に連絡していいか分からない。だからこの方は何をどう思っていたのかが分からないといったのが実際の問題としてありますので、事前にこういったところに思いを書いていただいて伝えていただくと、実際にその方が亡くなったときに周りの方がこれを読んでいただいたら、この人の思いはこういうふうに考えていたんだというふうに伝わるので、それが争族ではなく笑顔相続につながっていくということになりますので、私はセミナーとかでこれを実際に書いていただいて広める活動をさせていただいております。
- 確かに昔は黒電話の所に電話帳とか手書きのがあったりとか住所録ってありましたよね。それを書き換えたりしていたから、誰がどういうコンタクトを取っている人か分かりやすかったかもしれないけれども、今はそういえば誰の電話番号も覚えていませんもんね。
- そうです。
- 連絡先が分からないというのはその一つですよね。
- はい。
- 確かに。またちょっとエンディングノートの書き方とか中身を後でお伺いしたいと思うんですけれども、その前に寺門さんはどんなご活動をされていますか。
- 私もセミナーをやらせていただいているんですけれども、やはり個別コンサルティングでだんだんお話しが移行することがございまして、まず夫婦問題のお話しをして、夫婦問題が一つ解決すると、その後は老後のお金のお話しになってくるんです。老後のお金のお話しになると家族のお話しになって、そこで相続が出てくる。やはりつながっているんだなっていうのが大きな実感です。特に私は2千万円の金融レポートの。
- いろいろ先日から問題になっている2千万円。
- そうですね、その話からなんですけれども、山中塾の塾生として、やはりそこら辺の老後のお金の問題というのはおかげさまでいろいろと勉強させていただいていたんですが、私が一番ショッキングだったのは認知症率のお話なんです。
- 数字を見たら驚きますよね。
- 驚きました。まさかここまでというふうには思わなかったんですが、85歳以上で男性で35%、女性では43.9%の方が認知症を発症しているんです。今90代以上生きる方が男性では4人に1人、女性では2人に1人といわれていますが、女性の場合は65%の方が認知症、それから95歳を超える人生100年時代ですからね。
- ここはもちろん100歳までいくので、ここは8割が認知症になってくると。
- そうです、なるんですね。
- ここに座ることも難しいかもしれない。
- もう分からない。銀座って言われているのに。
- 本当にそうですね。でも間違いなくそれは迎えるべき未来ですよね。
- 未来です。もう当たり前ですよね、認知症が。そういうふうになったときに、プラスアルファここの報告書にも書いてありますけれども、離婚をする方も増えていますから、もちろん単身者も増えてくるわけです。この認知症率と単身者の関係というのがやはり対策がとても大切になってくるんですけれども、認知症になりますと金融資産が動かせなくなります。
- そうですね。それは本当に問題ですね。
- 問題ですね。あと、不動産も動かせなくなりまして、家族信託のご相談に来た4割の方がすでに手遅れという数字も出ているんです。
- 信託するにも判断する人がまずいなきゃいけないから、そうなんですよね、あれは。
- そういうことはとても今は私の方では問題視をして、この経験を基に皆さんにPRさせていただきたいなと思っています。
- なるほど。またちょっと後でお伺いしますね。伊藤さんはどういう活動をなさっていますか。
- 私は地元のエフエム豊橋というラジオ局で17年間ラジオのパーソナリティーをやらせていただいているんですけれども、ここ3年ぐらいは税理士の方と司法書士の方と弁護士さんと私と4人、FPとして毎週、相続をテーマにお話をさせていただいています。相続ミューズQ&Aというコーナーなんですけれども、そのコーナーでお話をさせていただいているのと、あとは地元の東愛知新聞という新聞で相続のコラムを、またこの同じメンバーでずっと毎週書き続けてもう3年ぐらいになるんですけれども、そこまで書いてくるといろんな方からのご相談がありますし、税の改正なんかもありましたし、今回、大きな改正もありましたので。
- 7月からですよね。
- そうですね。大きく本当に、遺留分のこととかが執行されましたので、いろんな方がそのラジオを聴いたりフリーペーパーを見て、ちょっと相談したいということと、あともう一つ、私自身は保険のお仕事もしていますので、そうすると医療保険とか死亡保障にたくさん入っているお客様が実際にがんになったときとか病気になったときに、急に自分の相続が不安になるんです。そうするとついでに相続のことも聞きたいというお話がすごく増えてきていまして、私が実は心掛けているのは、亡くなったときだけじゃなくて、その前後も含めて相続ですよっていうことを父のときの経験ですとか、あと、実はまだおばあちゃんが生きていまして、おばあちゃんが101歳でございます。もれなく認知症なんですけれども、どうなるかということも自身が手続きもできなくて。父はなくなっちゃっているので相続人が私なんです。そうなると、病院に行って私がいろんな手続きをおばあちゃんのことでしているんですよって言うと、そうなんですか、そういうのは相続人じゃないと入院の保証人になれないんですね、とか、皆さん、意外とその立場にならないと分からないことを、ここから情報を得ていっていただくんです。そうすると具体的には、うちは土地はあるけどお金がないんだ、とか、農家をやっていて土地はあるけど息子に全部あげたいんだけど、他の子にはあげるものがなくてね、とかになってきて。いろんな具体的なことが出てきたときに相談したいんだけどってなると、税理士の方とか司法書士の方、どこへ行けばいいですかねってお話になるそのコーディネーションを実際に私は今やっています。通訳です、簡単に言うと。お客様がどうしたいか。その土地は農家をやる長男にあげたい。他の子にはどうすればいいかは知恵が欲しい。手続きはどこに行ったらいいのか、税金はどれぐらいかかるのか、それは士業の関係になりますから私の方でコーディネートしますね、とか、通訳、橋渡しを半年間ぐらいかけてお話をさせていただくというコンサルティングを中心にさせていただいています。
- なるほど。私はこういった相続とか終活みたいな話でも、結果、ファイナンシャルプランナーが一番のキーになるんだろうなって思っているんです。なぜかというと、いずれ起こる話だけれども、若いときにはそれを考えていないから、そのファイナンシャルプランニングとかライフプランを考える。若い時期からずっとお付き合いしていれば、その人の時間軸によって問題意識も変わるし、家族関係も変わるし、そのときに何でも相談していただける相手、アドバイザーとしてFPがそこにいれば、いろんなところで解決方法ができると思うので、相続を切り離すんじゃなくて、ファイナンシャルプランニングとしてまずはFPとずっと仲良くしていただくのが一番いいんじゃないかなと実はすごく思っていて。
- そうですよね。必ずお金がつながってきます。税金もそうですし。
- 全てそうだから、窓口として考えてほしいなと思っていて、その三藤さんのエンディングノートなんだけれども、意外と薄いなと思ったんです。どんなことを書くんですか、それって。
- 先ほども少しお話をさせていただきましたけれども、遺言書とは違うので、自分の生きてきた証しですので、例えば自分の出生についてとか、なぜ自分の名前がこうなったのかとか。あとは自分の小学生時代、中学生時代、高校時代とか、時代背景、思い出を書いていただく。こういうことがあったとか、結婚生活とか。こちらにはないんですけれども、例えば自分が余命を宣告されたときに何をしたいかとか、そういったところも自分の好きなものを書いてもらったりですとか、自分は実はこういうことが好きだったんだ、趣味はこういうことがあったんだっていう、もしかしたら家族の方も知らないことが多々あると思うんです。そういったものを、子育てについてとか大事な家族への思いといったところを書くところがありますので、フリーで書いていただいて。先ほども言ったように今はいろいろなロックが掛かってしまいますので、例えば誰をお葬式に呼んでほしいか、逆に誰を呼んでほしくないか、ほしくない人も書くと、なるほどというところも。あと、遺影をどういうように自分はこの遺影を使ってほしいとか、そういったものも全部こういうふうに書くところがあります。
- 大切ですよね。
- 最後まで嫌な思いをしちゃうとね。えっ、あの人がお葬式に来てる、なんて、ショックですよね(笑)。
- 最後にはいろいろな必要な書類とか、相続ではこういったことがチェックされますよっていうところを、書類のそろえるものとかも。
- しかし、気が遠くなるような数ですね。
- はい。ですので今は相続というのは、FPがまず窓口になったとしても、一人では絶対できないんです。
- 専門家がいりますね。
- はい。そうすると、私たち相続診断士というのは、いろんな方が相続診断士として登録されていますので、もし私にご相談をいただいたら、困っていれば税理士さん、司法書士さん、行政書士さんとか、そういったつながりもありますので、たらい回しにならないで、私一人にご相談いただければ全てチームで解決させていただくというのが相続診断士というチームになっております。
- 確かに、実際に相続は亡くなるっていうことだから、家族の心の負担も大きいし、とてもそういうことまでやれないですもんね。窓口が一人っていうのはありがたいでしょうね。それって書きにくい部分とかってあるんですか。例えば高齢の方が実際に書くのは大変なので、ご家族がサポートしなきゃいけないとかってありますよね。
- 一人で書いてもいいですし、家族のコミュニケーションを取りながら書いていくと、さらに笑顔相続へとつながっていくということにもなります。私なんかもエンディングノートのセミナーをさせていただきますが、それを3回、5回、セミナーでさせていただきますので、書きづらい方は最初から最後まで出ていただけると一冊の本が出来上がったりとかもします。
- そういうきっかけは大事ですね。でも、子どものときにどこに住んでいたとかって、私も父が亡くなったときに戸籍をずっとたどるじゃないですか。へー、こんな所に住んでいたんだ、とかって家族で話したりとかしました。意外と知らないことがいっぱいありますよね。あと、寺門さん、認知症の話が出ましたけど、認知症って大体緩やかに何となく変わっていく様子になっていくと思うんだけど、家族としてはいつどういうタイミングでそのお金の問題とかに手を打っていくべきなんですか。
- 認知症は確かに緩やかなんですけれども、私の感覚では経験上、暑い夏の後にガクッと悪くなります。
- 今日みたいな暑い日が続くと。
- 続くと。ご年配の方はクーラーが。
- 苦手な方が多いですよね。
- 多いですね。あと、もったいない病で、そうするとクーラーを使っていなくてこの暑さですと、やはりちょっと認知症が進むのではないかと。私の伯母の場合も3年かけてガン、ガン、ガンと悪くなっていたんです。夏が終わると。9月になるとおかしくなってくるんです。
- ちょっとしたけがとか、ちょっとした病気で一気にっていうことはありますよね。
- はい。ですので一つは先ほどもお話ししましたけれども、対策の部分で基準値になるのが、自分の名前が言えること、生年月日が言えること、住所が言えること、この3つのポイントが大切なんです。ですから、帰省したときとかお電話のときなんかでもゲーム感覚で「お母さん言える?」とか「お父さん言えるの?」みたいなふうに言っていただいて確認をして、ちょっと間違えたりとかしたらもう準備を早めた方がいいと思います。
- 明るく言うって大事ですね。
- 大切です。
- 本人も気にしているから、なんか悲しくなっちゃうもんね。それを悲しく言っちゃうとつらいけど、ゲーム感覚で「うちの長男の名前は何?」とか、そういうのもいいかもね。
- 実際に私、五十肩でリハビリに通っているんですけど、そのリハビリのベッドのお隣で施術しながらそういう会話をしていますよ。奥さんの名前は何だった? 何々さん、とか。
- なるほど。やっぱり認知症も家族の体の状態、心の状態を注意深く見るっていうことなんでしょうね、きっと。
- エンディングノートと別に一冊、何かそういうカルテではないですけどノートを準備しておいて、その経過を追っていくのもいいかもしれませんね。
- なるほど。今って技術が進んでいるので、センサーでそこの前を通らないとアラームが鳴るとかってあるけれども、それプラス時々お電話とか、人と人として合うことも大事ですよね。
- 大事ですね。あともう一つのポイントが、お菓子をたくさん食べるようになったり、お菓子をたくさん送ってくれって言うようになると危ないと思います。
- 食生活の変化?
- 食生活の変化なんですけど、それは食生活というよりも料理が作れなくなってくるんです。お菓子ですと何もしなくても満たされるんです。
- なるほど。それはキーワードかもしれませんね。
- ですので、今まではあまりお菓子を食べなかったりした親が、カステラとかマドレーヌ系みたいなのを送ってくれ、みたいなことを言うと、あれ、何かおかしいぞ、そうするともう料理を作るのが嫌になってきた。でも言えないんですよね。うちの伯母も変な話ですけど、冷蔵庫の中の私が送った牛肉が腐っていました。
- 管理ができなくなっちゃったりとかで。
- 管理ができなくて。食べているって本人は言うんです。「おいしかったわ」って。食べたふうに話して、それが食べた気になっているのかうそをついているのかは分からないんですけど。
- あと、今日は女性が来ているので、割と女性はコミュニケーションという意味では親と会ったりとか電話をするのは苦ではないと思うんですけど、私は最近は男性、一人息子さんとか独身の男性とか、お嫁さんはいらっしゃるけどそこまでしてくださらないような男の人が一人残っちゃって、母親とどうコミュニケーションを取っていいか分からないとか、父親とどうコミュニケーションを取っていいか分からないって聞きます。男性はまた難しいのかな、とか思うけど。
- 難しいと思います。
- でもやっぱり愛情だと思ってもう少し進んでやってもらいたいな、とか思うけど。でも、さっきみたいなクイズだったら男性でも言いやすいかもね。
- そうですね。今、先生とお話ししていて思ったんですけど、そういう老後のご両親と話す教室みたいなものも必要かもしれませんね。
- コミュニケーション教室みたいなね。
- セミナーみたいなものも必要かもしれませんね。
- あとは弱った親をどう触っていいのか、体を触ったりとかやらなきゃいけないところが、すごく戸惑うのは男性が多いように思います。体を触るって、やっぱり、ちょっと難しいじゃないですか、大人になって何十年もたっていると、親の体を触れないとか。
- そうですよね。あと、親の変化にもこちらが付いて行けないときもありますよね。
- 受け止められなかったりとかね。
- そうです。うちのおばあちゃんなんてもう、コンビニエンスストアに唐揚げのお弁当をいくつも買いに行っちゃって、食べてないからおなかが空いてるって言うんですよ。何で私にご飯をくれないんだっていうのに最初は気付かなくて、お金をあげると全部買ってきちゃって、こういう乳母車の中にいっぱいお弁当が入っている事件とか。あと、お洋服が逆でズボンを上に着ちゃったりとか、暑い寒いが感じられなくなってくるみたいですね。なので、そういうのに私も最初は一々驚いていたんですけれども、だんだん「おばあちゃん、こうじゃないよ」とか言って一緒にやってあげたりとかしながら整えて。
- 一緒にって言うのが良いですね。
- 一緒にっていうのはキーポイントかもしれません。
- 伊藤さんはラジオでいろんな情報を提供されるっておっしゃったけど、やっぱり難しいじゃないですか、法律の言葉とか。
- 難しいです。
- キーマンはどういう方になると思いますか、家族の中で。やっぱり若い年代の方ですか。例えば90代の親がいると息子娘さんがキーマンですか。
- そうですね。90歳とかになってくると、ちょっとまとまらなくなっちゃうんです。ですから、半年間お会いしましょうと言うと本当に毎回同じことを繰り返される傾向があるので、そこを議事録的に取って、私の場合はその息子さんとご両親ご本人の両方、議事録みたいに送って、前回こういうことをお話ししてここまで決めましたけど、今日はどうしましょうかっていうところから振り返りながらお話をしていったりとか、あとは相続に関することで思い込みっていうのが意外とあって、昔は税金がこのぐらいあると税金はかからなかったよね、とか。
- アップデートができていないんですね。
- そうなんです。アップデートができていないので、そこを皆さんが勝手な妄想で走っちゃっているケースがあるので、一回整えるのが私たちの仕事かなと思うことがよくあります。
- 確かに、一般生活者の中に専門家って入っていないので、お友だち同士の世間話だから余計に変な話ばっかり入ってきますよね。
- そうなんです。だから、孫も相続人だと本当に思ってる方とかもいらっしゃったりとか、あと、弁護士さんが一人いればみんな解決すると思っている人もいらっしゃいます。弁護士さんってお一人にしかつかないんですよって言うと、えって言う。
- みんなまとめてじゃないですからね。
- なので、士業が何をしているか、例えば司法書士さんって何をする人なのかっていうのをピンときていない方とかもいらっしゃいます。あと、税理士さんが全部やってくれると思っている人もいるんですけど、税理士さんは税金がかからないと行くところじゃないですよって言うと、そうなの? みたいな方もいらっしゃったりとかしますので、私たちはキーワードを分かりやすく分解して、遺留分って言われても「えっ、それ何ですか」っていうのを「遺留分ていうのはね」って、分割の割合の話があってね、とかいうことを分かりやすく一回お伝えしてから税理士の先生と会ってもらうとかっていうふうに、ちょっとマインドセットしてからやるのは大事かなと思います。
- 言葉をまず覚えてからいかないといけないところがありますよね。じゃあ三藤さん、今後の展開というのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
- 皆さんそれぞれ特化している部分が違いますので、私は今、先ほどもお話ししたエンディングノートを中心にさせていただきましたけど、実はFPというか自分の仕事としてはファイナンシャルプランナーと社会保険労務士の二刀流ということで活動させていただいております。普段は相続というと社会保険労務士というのはあまり携わるところが少ないのかなと思われて、いっても士業の中に入れていただけないのがあるんです。自分でちょっとそこを考えまして、FPとしてご相談を受けていろんな士業の先生なんかとチームで解決するっていうのもあるんですけど、自分が今度、士業としては何に携わっていけるのかなというところも少し考えてみたんです。そうしましたら、例えば障害を負った方、あとは先ほども出ましたけど認知の方の介護の方法、そういったところで自分が士業としても携わっていけるんじゃないかというふうに考えていますので、今はそちらで自分がFPでも年金からやっておりますから、年金から相続、終活までをトータルでサポートできる専門家ということで、FPと士業とでタイアップして、この先、相続の方を取り組んでいきたいと考えております。
- やっぱり行政とのつながりは大きくなりますからね。そこの橋渡しは必要ですよね。伊藤さんは?
- 私は相続といってもその亡くなったときだけじゃなくてその前後も大事ですよってお話しさせていただいたんですけれども、ちょっとお金の管理ができなくなったときの財産の管理と、任意後見といってフォローをしてくれる人は誰かと指名をしておくこと、あとは遺言をちゃんと書いていただくことによって指示書があれば家族はもめませんから、その後のフォローも長男の方が東京に住んでいて、豊橋の父が亡くなったときにできるかというと、それも無理だっていう人もいらっしゃるんで、そうすると死後の委任もしていただくということを。
そこを最初から一気通過で何が必要かということをお伝えして、それをちゃんと書面にしておくことによって全員が守られるというサポートをしっかりしていきたいなと思っているんですけれども、自分自身としてはやっぱり愛知県の豊橋市を中心にやっていきたいと思うんです。地元の方なりの悩み、土地の多さとかがあって、相続って本当にいろんなパターンがあるんですけれども、やっぱり地元の方なりのものというのがあると思うんです。それに寄り添いながらあとは法に照らし合わせ、士業の方との通訳というコーディネーションというところに軸をぶらさないように活動を今後もしていきたいなと思っています。
- なるほど。寺門さんはどうですか。
- いま伊藤さんがおっしゃったところと一緒なんですけれども、私、終活カウンセラーという資格も取らせていただいたんです。終活カウンセラーから頂く情報というのは、亡くなる前のお葬式のコーディネートですとか、お墓のコーディネートということも全てやらせていただけるコーディネートで、あくまでもつながらせていただけるということを目指しているんですけれども、今年の10月から3回コースのセミナーをやろうと思っているんです。せっかく山中塾で老後のお金問題、資産形成のことを学んでおりますから、そちらも含めて老後のお金の問題、それから終活の問題、そしてエンディングノートを含めた相続の問題、それを全部丸っと考えていただくということをこれからは展開したいなと思っています。
- せっかく積み重ねてきたお金をうまく使って守って残して、みたいなところですね。
- そうですね。
- ちなみにこの相続とか終活とかって、恐らくお金をどのぐらいお願いするのに用意しておいたらいいんだろうって思っている人がいると思うんですけど、大体このぐらいのお金を専門家の方たちに払うイメージですよってありますか。ケースバイケースを百も承知で言うんだけど、例えば一回目のご相談で大体見積もり的にどの程度のお金を別途用意したらいいかってあります?
- それはなかなか難しいと思う。
- 例えば一回目に軽く全体像とかを教えてもらうような一回目の相談って、イメージはどのぐらいですか。1時間とか2時間で。
- 人それぞれだと思うんですけれども、FP料金で大体皆さん2時間で1万円ぐらいのものと大きくぶれないのと、たぶん士業の先生を頼むときのことをいろいろご心配になっていると思うんです。士業の先生もお値段はいろいろです。ちなみに司法書士さんなんかですと家族信託をやる場合は大体税込みですとか細かいものを全て込みますと40万円からぐらいになると思います。
- すると、一回目の段階としてFP相談として2時間1万円程度のご予算をいただいて、全体像とか、およそこのぐらいかかることもありますっていう心づもりをしてからお願いしてっていうのがいいかもしれませんね。
- そうですね。相続の場合はものすごく長くなりますし。
- そのお金のことが心配で動きが取れないということを考えれば、まずは1回1万円程度で話を聞いていただいて、その後どうするか考えた方がいいかもしれませんね。
- 財産の大きさで結構ばらついてくるんです。
- 最終的にはね。その前段階で1回目の相談はじゃあ1万円程度で。
- そうですね、大体。
- そこで考えていただく方がいいですかね。
- そうですね。
- ちょっと遅い方が多いですよね。もう、だいぶお話ができないぐらいになってから娘さんが慌ててご相談に来られたりとかすることが多いので。もう一年前が良かったな、みたいな。
- だから、みんなが余裕を持って笑顔でいられるときに一旦はご相談を、というところですね。
- そうですね。
- ぜひ、手遅れにならないように来ていただければなと思います。以上で終了です。ありがとうございました。
- ありがとうございました。
対談動画
今回の対談に参加された皆さん
山中 伸枝
(やまなか のぶえ)
山中 伸枝のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ
三藤 桂子
(みふじ けいこ)
三藤 桂子のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ
伊藤 由美子
(いとう ゆみこ)
寺門 美和子
(てらかど みわこ)
寺門 美和子のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ