【FP対談企画第7弾】リバランスについて

FP対談企画 確定拠出年金相談ねっとFPが本音で語る VOL.007

資産運用に「リバランス」は必要とお金の教科書には書いてありますが、実際リバランスってとっても難しい・・・いつやったらいいの?どんな風にやったらいいの?そもそもやった方がいいの?
気になるリバランスについて、経験豊富なファイナンシャルプランナーが本音トーク実は、教科書とは違うんです!
※当コンテンツは各FPの個人的な感想です。あくまで参考として楽しんで読んで頂けますと幸いです。

【Youtube】FPが本音で語る!【第7弾】リバランスについて

参加者

山中 伸枝山中 伸枝
(やまなか のぶえ)

山中 伸枝のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

向藤原 寛向藤原 寛
(むこうふじわら ひろし)

向藤原 寛のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

村松 繁村松 繁
(むらまつ しげる)

村松 繁のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

水野 和人水野 和人
(みずの かずひと)

水野 和人のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

資産の再分配とは言われるリバランスは行った方がいいのか?

山中 伸枝
では、よろしくお願いします。今日はですね、お金のメンテナンス、リバランスについてお話をしていきたいと思っています。投資を始めるとね、みんなそうなんですけれども最初はいろんな、どの投資信託買おうかなとか、いろいろ考えてお勉強もしてポートフォリオを組みましょうみたいなところは多いんですけど、その後ってね、なかなかメンテナンスってしてないんじゃないのかなと思っていて、でもやっぱりリバランスは大事、なので今日はリバランスっていうところにフォーカスをあててお話をしていきたいと思います。まずはリバランスって何かってあたりから、ちょっと向藤原さんから紹介してもらっていいですか。
向藤原 寛
そうですね。投資信託、ポートフォリオというと例えば国内株が3割、外国株が3割、あと2割ずつ国内債券、外国債券というふうにバランスを考えて一定のポートフォリオをつくると思うんですね。それってその人その人に合った比率で、リスクの許容度に応じて配分するっていうのが基本的な考え方になってるかと思うんですが、それがマーケットの変動、基本的に株式にしても債券にしてもかなり値動きがあるものなので、例えば株式が上がって債券の比率が下がっていくというようなことがあるわけですね。そうすると、株の比率が高くなりすぎると、今度はリスクがより高くなってしまうので、ある一定の時点で株式の比率を下げて、債券の比率を元に戻す。それで、全体的には一定のバランスを維持する。そのためにリバランスをする。株を売って債券を買うみたいな感じですよね。
山中 伸枝
最初に取るべきリスクに応じてポートフォリオを決めると、動いちゃうからバランスが崩れちゃいますよということですもんね。確かに株のほうはね、ハイリスクハイリターンだし、債券はローリスクローリターンの代表選手なのでその割合をキープするっていう意味ですよね。
向藤原 寛
そうですね。
山中 伸枝
村松さん、このリバランスの効果ってどういうふうにいつもお話しされてますか。
村松 繁
リスクをいつも一定に保つということ。やはりマーケットが極端な動きをするときがあります。そのときに、当初予想していた自分が許容できる範囲から大きくぶれてしまう、それを防ぐために、精神的な意味ですよね。精神的な意味で防ぐためにリバランスというのはあるのかなというふうに思います。
山中 伸枝
精神的な意味ね。
村松 繁
はい。
山中 伸枝
なるほどね。村松さん自身はどのぐらいの頻度でリバランスってかけてますか。
村松 繁
私は精神的な意味でしかリバランスはないと思っているので、リバランスはしないというのが自分の考え方です。
山中 伸枝
なるほど。じゃあ成長に合わせて仮に株の比率が増えたとしても、それはそれでよしとしているっていうのが村松さんの方法ですか。
村松 繁
そうですね。強いチームと弱いチームがあり、5年、10年かけるとその比率って明らかに変わってきます。その明らかに変わってきたときに、強いチームを一旦現金化して弱いチームにその力を注ぐというのが、長期投資という意味で本当にお客様のためになってるのかなというふうに思うので。
山中 伸枝
なるほどなるほど。わかりました。それ問題提起として、すごくいいですね。要は教科書通りに、株が増えたらその分を売却して割安な債券にっていうのが、常にそれは教科書通り正しいのかっていうところの問題提起ですよね。水野さんご自身はどうですか。リバランスはどのように考えてやってますか。
水野 和人
リバランスについてはお客さんがすごく心配される部分の一つで、メンテナンスの意味で「今後どういう対応をしたほうがいいですか」と不安の声が聞かれるんですけれども「そんなに気にしなくてもいいですよ」と安心してもらえるように答えるようにしてます。教科書とかにはよく1年に1回リバランスしたほうがいいですよとか書いてあるんですけれども、そのお客様がどのような目的を持ってポートフォリオを組んだのかっていうのがまず大前提であると思いますので、まずはお客様にポートフォリオの考えをお聞きします。その他にお客様の総資産の中がどの様なかたちで資産を持っているのかなというのがやっぱりいちばん大事だと思うんですよ。実際に公務員さんとかiDeCoをやられるようになりまして、12,000円という枠でiDeCoをやるとなるとそんなに細分化しないでやりたいと思うんです。

水野 和人

山中 伸枝
12,000円だもんね。
水野 和人
そうなんです。
山中 伸枝
確かに確かに。
水野 和人
そういうお客様がいらっしゃると、1つにやっぱり複利効果を出したいので商品を絞って投資したい、その他にお客様宅では定期預金と何々というかたちになると金融商品を総合して見たほうがいいと思うので、そんなにそんなに1年に1回見直しをかけるとか、いじらなくちゃいけないとかっていうのはありませんよと。今実際にこの5年ぐらいは、日本というのは好景気でずっと上向きになっているというかたちなので。
山中 伸枝
気がついたら利回り超えてキープしてますもんね。
水野 和人
そうですよね。今は「戦後最大の好景気」っていうかたちで言われています。いろいろなデータで見てみるとこの5年間はリバランスしたほうが良くなる、悪くなったと検証データもありますが、まずは長期投資のドルコスト平均法で地道にコツコツ貯めていく、iDeCoの本来の目的である『高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援する』だから3つの税制優遇が用意されている。所得控除・運用非課税・受取時の控除の優遇制度あることを思い出していただきたいですね。もし本当にリバランスで、リスク回避という意味で精神的に安心したいんだということであれば、機械的なかたちでやり続けていくのはリーマンショックのように、何か起きたときにリスクを回避できる一つの手段になるので、本当は、リバランスを儲けるためじゃなくてリスクを回避して精神的に落ち着く安定剤みたいなかたちに思ってますんで、そんなにそんなに神経質にならなくてもいいのではないかということですね。
山中 伸枝
なるほどね。強いチームとか、株の動きがいいから高景気なんだから、持ち続けたほうがいいじゃないっていう考え方と、それがあまりにも高騰しすぎて、いわゆる危険信号を見逃してしまうのではないかとかってありますよね。向藤原さんこのあたりどうですか。
向藤原 寛
そうですね、やっぱりある程度上がり下がりがあるので、チャンスがあればあまりにも買われるところは回避したり。
山中 伸枝
買われすぎの警戒ですよね、やっぱりね。
向藤原 寛
そうですね。それは常に頭にはありますね。
山中 伸枝
成長途中なのか、買われすぎの途中なのかっていうのが結構判断が分かれるかもしれませんね。なので、株債券の比率っていうのがいわゆる教科書的な基本の4資産、あるいは新興国を入れた6資産、あるいは不動産入れたみたいなところで考えると、そんなに簡単に教科書的なリバランスはあり得ないよっていうところなんですかね。
村松 繁
そうですね。特に教科書を日本人が書いているのか、欧米人が書いているのか、それはすごく大事だと思います。
山中 伸枝
それ大事ですね。
村松 繁
なぜなら、日本の株式はあるボックスの中で上下をしている。それを突き抜けたことがバブルのときはあったけど、それ以降上がったり下がったりを繰り返しています。こういう場合、もしかしたらリバランスは有効かもしれません。
山中 伸枝
上がれば下がる、下がれば上がるだからね。
村松 繁
ただ欧米の株、特にアメリカの株を今見ていると明らかに右肩上がりで、一時的にはリーマンショックだとかありますが、基本的に下落を知らない。そういうマーケットでリバランスをすると、これは成長を取り逃すっていうことになるんじゃないかなと思っています。
山中 伸枝
なるほどね。そういう意味では先進国っていうのは、特にアメリカの経済見ていると基本的にはずっと右肩上がりで。ただ新興国はそうは言いつつも変動は大きいから、やっぱりマーケットによって持ち続けるものと、適度に売ったり買ったりするものってあるんですかね。水野さんじゃあピントはお客さんに合わせて、お客さまの財布全体を考えながらってことですね。
水野 和人
そうですね。相談に乗るときはお客様のiDeCo、確定拠出だけではないと思いますので、まず何をやっているかというところと、そんなにそんなにiDeCoのウェイトが大きいのかどうかっていうところ。
山中 伸枝
確かにね。1年やっても10万ちょっとですからね。それをどういじるかっていうのはね。
水野 和人
そうですね。やはりリバランスすると、動きのある中でのいじりしかないと思うんですよ。ですから、いじらないでリバランスなしのものとリバランスしたものというのは、その許容範囲の中でしかどうしても動かせないと思いますので、まずは確定拠出始めました、じゃあリバランスしなかったものが運用どうなったんですかっていきますと、プラスに転じているところがたぶん多いと思うんですよ。
村松 繁
おそらく、うまくポートフォリオを組んでいたらリバランスしないほうが良かったってことになる可能性が大きいですよね。長期で見たら。

リバランスのタイミングの見極め方は?

水野 和人
そうですよね。それが、データの抽出がどこの銘柄を抜くかで、リバランスしたほうがいいとか、リバランスをしないほうがいいとかっていうのもあると思うんですけれども、それで1年でやったほうがいい、3年でやったほうがいいっていうのはあると思うんですが、ご家庭ご家庭でやはり考えを聞いて、どういうふうにしたほうがいいのかっていうのをアドバイスしてあげると、これからっていうのはいろいろなお客様がいらっしゃるなかで、毎回機械的にリバランスして安心を精神的に衛生面を整えていくのかっていうかたちと、実際に今この5年間は上向きに上がっていく、国内経済は上がってきてますんで、それがリバランスなしとリバランスありだとするともちろんリバランスなしのほうが上回ってるっていう点で、お客さまに関して今後も上がり続けていく経済っていうのはありませんので、いつか下がってくる局面を迎えたときにどう対処するかというところを、まずそこのときに対処方法を共有しておくっていうのが大事なのかなと思っています。
山中 伸枝
向藤原さん自身はお客さまとはどのぐらいのタイミングでいわゆるリバランスを含んだお話しをされてますか。
向藤原 寛
基本的にほったらかしでもいいんですよ。やはり自分の資産なんで、3カ月に1回チェックしましょうと。
山中 伸枝
残高チェックみたいな感じですね。
向藤原 寛
残高チェックですね。現実にリバランスを行うタイミングっていうのはべつにそこじゃなくてよくて、マーケットのいきすぎ、買われすぎ、売られすぎに対応するリバランスはやったほうがいいでしょうという考え方で話をしてますね。
山中 伸枝
俗にほったらかしでいいというようなお話しって結構あるじゃないですか。でも、ほったらかしで無関心になっちゃうのも良くないですよね。やっぱりこれも言葉のマジックで「ほったらかしでいいんだ」って言うのと「保有し続けてもいいんだ」って言うのは違いますもんね。そのへんのお客さまへの案内っていうのはどういうふうにされてるんですか。
村松 繁
おそらくですね、自分の場合20年間長期投資っていうことと向き合ってきたので、お客さまには「リバランスはいらないですよ」と言っているんですが、それは何かというとですね、この20年の間で私自身がお客さまに提供する情報自体がリバランスされてるだろうということです。
山中 伸枝
なるほど。
村松 繁
何かというと、リーマンショック前、私はお客さまに「新興国こそこれからの投資だ」ということで大量にお客さまに新興国をご案内しました。その前、「ディフェンシブ株をよりも、マーケットを引っ張っているようなITだとか、そういうもののほうが面白いですよ」と言った時期もありました。私がお客さまにご案内してたものが、自分自身が修正をかけてやはり最終的にいちばん真っ当なポートフォリオといいましょうかね、私自身が勝ち取ったポートフォリオといいましょうかね、私自身が勝ち取ったポートフォリオ、それをお客さまにご案内するようになったので、もう私は「リバランスはいりません」と。今のところ自分はお客さまにそう言えるぐらいの経験値を持っているつもりでいます。

村松 繁

山中 伸枝
なんかそれすごく私わかります。私もリーマンの前から当時はIFAやってたのでね、投資信託の販売してましたけども、おっしゃる通りのことはすごく感じていて、リーマンのちょうど前の頃って新興国に確かに大量にお金が流れて、最後にバラバラになっちゃって、その後アメリカにお金が戻ってきてそこからまた成長したってことを考えると、確かにおっしゃる通り今のお話私もすごく腑に落ちましたね。私自身がリバランスされてるなっていうのは思いましたね。水野さんは時間的な軸の中でね、やっぱりここ10年、20年やってた人なのか、5年、10年なのかによって経験値も違うから、水野さん自身はどういうふうに感じてますか。ご自身のポートフォリオも含めてね。
水野 和人
そうですね、今僕自身が実際には分けて買うタイプではないんです。ですから、株と債券と50、50とかっていうタイプではないので、実際に僕が買ってるものは先進国株と国内株と外国株っていうふうに株でしか今まとめていないんですけれども、実際にそれではいけないので僕自身の経験のためにも8つぐらいに分けて様子を見ているところで、しかも8等分も全部株式とコモディティとかで配分させて様子をみてるような状態です。それを本当は1つか2つに実は指定してまとめておきたいぐらいなかたちで、確定拠出はいいんじゃないのかなって思ってるんですね、今のところは。それを今度、始めたばかりの僕でもすごく配分が変わってるわけですよね、配分が変わってるわけなんで、なるほどなと。これで実はスイッチングももう試していまして、なるほどなと。株の配分比率も変えてみたりして、実際にどの手続きが必要なのかということをやってみたときに、実際に働いてる人がリバランスをするとなるとそれなりに情報が必要で、それなりに関心を持って見続けていないとなかなかこれは難しいことだなと。それが、例えばやろうと決めたときに休みの日に本当にパソコンにかじりついて1日かかってしまうような。
山中 伸枝
結構わからないと難しいしね。
水野 和人
難しいと思うんですよ。最初にやるときにも、まずどういうふうにやっていいのか。
山中 伸枝
口数計算しないといけないしね。
水野 和人
そうですよね。それを自分で計算していろいろやりながら、配分はこうなのかっていうふうにやっていこうとすると、リスク回避はそれでできると思うんですけれども、長期投資という意味で同じ銘柄を買い続けて複利で運用し続けれるのにやはりちょっともったいないのかなというところはあるんですね。
山中 伸枝
実際にたぶん教科書に書いてあるリバランス、よくお勉強してらっしゃる方たちってやっぱり定期的に株が増えたら20%売却して割安の債券を買いましょう、50%50%に戻しましょうみたいなのが教科書によく書いてあるし、ただ、今のお話を聞いてると私も実はそう思っているんだけれども、結果リバランスはテキスト通りではないよっていうのが、たぶん私たちの共通の認識じゃないかなと思ってるし、だからこそFPのアドバイスが必要になってくると思うんですよね。向藤原さん自身も結構長く経験されてるじゃないですか。こういったマーケットって。
向藤原 寛
そうですね。
山中 伸枝
ご自身の哲学的なところってあると思うんですけど、ちょっと教えてもらっていいですか。
向藤原 寛
基本はどういうふうにキャッシュポジションをつくるかということを重視しますね。ここまで債券の金利が下がってくると、今債券投資する必要はないと思うので、債券の代わりに現金のポジション。
山中 伸枝
そういえば現金ポジション多いって言ってましたよね。
向藤原 寛
直近はないんですけど。また状況変わればいつでも現金にというのは思ってますね。マーケットの動向と水準、センチメントも含めて流れを見てリスクを自分でコントロールしていくことができると精神的にも落ち着いていきますし、実利のところもある程度上がりやすいので。当然買いそこなったとか、そういうこともあるんですけれどもそれを前提にコントロールしていくっていう考え方でいます。

初心者の方に伝えていきたい事、「iDeCo」「つみたてNISA」の運用について

山中 伸枝
なるほどね。リバランスってやっぱり資産全体を見ながら考えていくことがすごく大事で、それはそれで1つ置かせてもらって、今度はiDeCoとかつみたてNISAとか箱の中で投資を考えたときに、初心者の人って「iDeCoから始めます」とか「つみたてNISAから始めます」と言ったときに、リバランスがどうのって習ってくるはずなんですよ。その人たちが、じゃあiDeCo、つみたてNISAその中で動きが違うでしょ。iDeCoは組み換えできるけども、つみたてNISAは枠の再利用はできないとか。ああいった方には何を伝えるべきだと思いますか、村松さん。初心者の方に、これからっていう方にね。

山中 伸枝

村松 繁
そうですね。今までやったことのないこと、債券投資すらやったことのない人には債券も非常に怖いものかもしれませんが、私はせっかく与えられた枠、これ以上はできない枠だとしたらフルに結果を求められるものをそこで買う、ということが大事だと思います。ただそれは、短期的に結果を求められる、例えば新興国が今いいよっていったら新興国に飛びつくのではなく、伝統的な意味の投資対象に安心感を持ってフルに投資していくという流れを、私はその箱の中ではしてもいいんじゃないかなと思って。
山中 伸枝
箱の中にわざわざ債券を入れることはないっていうことですかね。
村松 繁
はい。なぜならみなさんの気がつかないところで、今後老後にもらえるお金、これはGPIFが運営していますが、GPIFの中身を見たら債券が結構な割合で入ってるわけです。4割ぐらいですかね。それはみなさんの財産だと思うんです。それと同じポートフォリオを組む必要なんかまるっきりないと思うし、みなさんが持ってないものをやっぱり持つべきだと思います。それが与えられた箱。
山中 伸枝
お財布の他にもいっぱい入ってますしね。
村松 繁
銀行に行けば預貯金にいくらかあるはずなんです。わざわざiDeCoやつみたてNISAの箱に、つみたてNISAには現金はないと思うんですけれども、iDeCoもそうですが元本保証タイプをわざわざ選択する必要はないと思います。預貯金があるんですから。
山中 伸枝
GPIFは国内債券35%ですね。国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%というのが一応基本のポートフォリオみたいですね。
村松 繁
そうすると債券全体としては50あるわけですよね。それは多少許容範囲の中で最大値と最小値があると思うんです。
山中 伸枝
半分半分っていう感じですかね。イメージはね。それから考えていくと、かえってつみたてNISAって使いにくいですよね。
向藤原 寛
使いにくいですね。
山中 伸枝
つみたてNISA仮に何を買おうかなって思ってますか。使うとすれば。
向藤原 寛
使うとすればインデックスかな。結局、見直しをしてしまうとその枠は使えなくなるということが大前提なので、割り切って積み立てを続ける。あるとすれば積み立てる金額の配分変更。
山中 伸枝
買いつけするときの。
向藤原 寛
商品を買いつけするときに切り替えていくということを考える必要があるのかもしれない。
山中 伸枝
スイッチングができないですからね。
向藤原 寛
スイッチングができないですから。だから、基本的に世界株のインデックスを積むというのが、つみたてNISAを使うんであれば私はベストなんじゃないかなっていうふうに思ってますね。
山中 伸枝
20年の成長を考えると債券じゃもったいないし。新興国に対しては結構買ってるんですか、水野さん。
水野 和人
新興国に関しては現状手をつけてない状態なんですよ。確かに流行ったのを見てお客様が一時に一喜一憂している時はありまして、僕が提案したものでは話にならないと。ですよねっていう話では一時あったんですけれども。
山中 伸枝
もっと動きがあって「オリンピックだなんだ」って言ってた時期ね。
水野 和人
そのときその数年後にドカッといきまして、いきなりバーンっといったので。そのことを考えて、じゃあ今どういうふうに動こうかなといったときには、今先進国を見てるんですけども。僕の場合には。先ほどのお話のなかに、リバランスっていうのは本当に働いてる方にしてみると実際にずっと頭にあるわけじゃないので、1年なんか結構あっという間に過ぎ去ってしまうかなと思うので、お弁当箱のような勝手にリバランスしてくれるものも1つ、そういう方にとってはいいのかなと。
村松 繁
そうなんですね。インデックス自体が中でリバランスしてるわけです。投資対象はインデックス自体も変えてるわけですから。
山中 伸枝
そうですね。
村松 繁
まるっきり預けっぱなしでも、そのなかでプロがリバランスをしているということはあると思いますね。ただ同じカテゴリーの中ですよ、株だったら株の中でリバランスしてるわけです。
山中 伸枝
株式を入れたり出したりしてますからね。確かにそれはそうですね。特にアメリカの株なんて上場してるところは入れ替えが結構ありますからね。持ってるだけでも一流企業ばかり買うから、駄目なところは落ちるしね。

プロでも苦い経験をする新興国株について

村松 繁
私は新興国の話なんですけど、新興国では相当痛い経験をしています。そこで自分が考え出した哲学は、新興国はやはり長期投資の対象にしてはいけないと思っています。特につみたてNISAは買ったらもう動かせないものだとしたら、新興国を入れてはいけないと思います。
山中 伸枝
持ってるだけならね。
村松 繁
はい。金融庁は新興国も入れてきましたね、今回。
山中 伸枝
ちょっと入れましたね。
村松 繁
あれが、金融庁間違いなんではないかなって私は思います。やはり新興国の株は新興国から逃げられないです。もし自分がチャイナ、中国に対するファンドマネージャーだったら、中国まずいぞと思っていながら逃げられないんですよね、中国から。だってお客さまは中国目当てに私にお金を預けてくれてるわけです。ただ、先進国のファンドマネージャーとしたら、例えばフォルクスワーゲンは中国で相当なシェアを持っています。ですから、フォルクスワーゲンを買っていれば新興国の利益も間接的ではありますがワーゲンの株価に反映されるわけです。グローバルに展開している先進国の一流企業は、必ず新興国にも手を出してるはずです。そこで肌身に感じてこの国良いぞ、この国まずいぞ、撤退も考えなきゃいけないっていうのは、その現地にいる人たちはいつもアンテナを張り巡らせてるはずですので、先進国の一歩譲ってインデックスでも、新興国の株価のメリットは間接的に享受できるんではないかなというふうに思っています。
山中 伸枝
私1つだけちょっと提案したいのは、新興国が今の時代、今のこのタイミングで新興国の話をするのか、あるいは長い時間軸の中で日本と例えば中国といったときに、10年経ったら中国のほうが先進国で、こっちが新興国かもしれないっていう事実を考えるとやっぱり成長ってあるし、あえて今新興国だ、先進国だって分ける必要はないのかなとは思っています。例えば20年前の新興国株ってインフラ株だったわけですよ。道路造った水道を造った、そこはそこの土地に国に落ちるお金なので成長が安定するわけでしょ。でもそこのインフラがある程度整ってくると、今度は本当にマーケットの話になってくるわけですよ。生活用品、衛生面用品とか、あとは通信とか。そういったところになってくると、今村松さんがおっしゃったように、ほとんどの資本は先進国の資本が新興国にいっているから、ヤバイなと思ったら引き揚げちゃうわけじゃないですか。だからリーマンのときに新興国がベタベタだったわけでしょ。インフラの整備してる状態も、その時期の新興国なのか、そこが出来あがっちゃっていて、もっと次の段階に通信や衛生だとか、教育だとか金融だとか、そこの成長に過渡期の新興国かによって判断は分かれますよね。
村松 繁
それとやはり新興国は情報開示、それからマーケット自体が健全かどうか。特に中国株と私は長く付き合ったんですけど、中国株は一物二価だったりするわけです。
山中 伸枝
何だっけ、A株B株ってありましたね。昔ね。ひっかかりました私もあれは。
村松 繁
A株B株。中国人しか買えないマーケットと、外国人が買えるマーケットがあり、これがいつ統合されるかっていうことで、統合の噂があると株価がガーッと動く。これは多分に政治的です。そういうなかにみなさん日本人のお金を誘導するというか、われわれが「新興国もいいかもしれないですよ」なんて言ったら、そこに入っていくわけです。非常に怖い。僕は本当に苦い思いをしてるので、新興国は止めたほうがいいっていうのは自分のなかにはある。
山中 伸枝
固定観念はよくないとは思いますけどね。
村松 繁
そうですね。
山中 伸枝
でも結構新興国好きですよね。
向藤原 寛
そうですね。
山中 伸枝
成長という意味で。
向藤原 寛
基本的にインドにいちばん注目をして、インドに関しては前向きにある程度比率は持ってはいます。中国も私自身は政治的な問題とかいろいろあるんですけれども、実際におすすめはしてませんけれどもチャンスがあれば投資の対象にしてもいいなっていう思いはあります。例えば日本の企業の中でも中国にうまくビジネスを売ってちゃんと利益を国内に還元してる会社もあって、そういう会社への投資でももちろんいいんですけども、やっぱり巨大な市場なのでそこで本当に利益をあげていく会社っていうのはやはり現地にどうしても偏っていくというか、現地にしか求められるものがないっていうか、そういうのがあるので、リスクもとれる範囲内でウェイトを考えてポジションをとるということに関しては特に反対しないですね。

向藤原 寛

山中 伸枝
私はこの間上海行ってきたんですけど、やっぱり面白いですね。すごい動きを感じるし、もはや外資はいないですね。銀行なんかも中国の資本の銀行なので、いわゆる先進国がマーケットを動かしてるっていう感じではちょっと違ってきてるなとは思いましたね。だから、逃げてしまうお金が中国に停滞しているかというとそうではないなというのはこの間思いました。ガイドをお願いしたんですけどね、日本語のわかるガイドさん。20代の若いお姉さんでしたけども。上海タワーに登ったんですよ。いちばん上まで行く数秒間に株価を見てるお兄さんがいたんですね。そのお兄さんに声をかけるんですよ「なんか面白そうなチャートね」って。それで銘柄を決めてるんですよ。すごく投資に対するマインドが多い人たちがいっぱいいるということは、それだけマーケットに参加するっていうことでしょ。だったらマーケットは成長するから、日本人みたいに株を買ったことがない人がいまだに多い日本市場よりは、期待値は高いんじゃないかなとは思いましたね。
村松 繁
当時私も中国に1年に何度も行って、お客さまに本当にご案内していいマーケットなんだっていうのを確認し続けたんですけれども、中国人の株式市場に対する興味は強烈なものがあります。
山中 伸枝
半端ないですね。
村松 繁
はい。これは言っちゃいけないけど、ギャンブル性を持ってマーケットを見ています。ですから、引き揚げるときのスピードも極めて速いんですよね。関心を持ってそれを見ていますので。日本人のようにお任せみたいなところと違いますので、それはダイナミックです。
山中 伸枝
本当にバブルの頃の日本人みたいなマインドのような気もしますよね。みんながみんなお金を借りてまでも不動産買いたいみたいなね。そういうのもありましたね。バブルの失敗はギャンブルですからね。水野さんはちょっと年代が若いから、どうですか。
水野 和人
僕は高校生時代です。
山中 伸枝
高校生時代ね。
水野 和人
はい。夢見て東京出てきたらジュリアナがなくなってて(笑)。
山中 伸枝
やっぱり経済に興味を持つことってすごく大事で、iDeCoにしろつみたてNISAにしろ、金融庁が狙ってるのは金融のリテラシーを高めて市場に参加して欲しいというところなんじゃないかなとは思いますけれどね。
村松 繁
そうですね。金融リテラシーという意味では、ちょっと前に中国で利材商品っていうのがあったのをご存知ですかね。
山中 伸枝
昔の財テクみたいなね。
村松 繁
そう財テク。ああいうふうにパーッと集まってくるっていう、あのパワーですね。あのパワーが本当に健全なマーケットのために動き始めれば、中国も投資対象としてはいけるかもしれません。基本的に共産主義の国の株式市場って何なんだろうっていうのを最終的には私は考えて今の結論になりました。
山中 伸枝
私思うんですけれど、リバランスとか語るときにある程度距離、時間がないと結論って出なくないですか。
向藤原 寛
そうですね。
山中 伸枝
東西のベルリンの壁っていうのは、私はついこの間のように思ってるし、やってきて結果として自分が培ってくるものってあるので、教科書も大事だけど実践も大事。
村松 繁
同じ間違いをみなさんにしてもらいたくないっていう気持ちもあるんです。ただ、経験しないとわからないんで、始め教科書通りのポートフォリオでやってもいいんじゃないかなという気持ちも半分ぐらいあります。

加入者から投資家へ、経験を積みながらリスク許容度が変化する

山中 伸枝
やってみるってことならね。そうですね。ずっと付きっきりじゃないしね、私たちだってね。確かに確かに。じゃあそろそろまとめていきたいと思うんですけれども、1つリバランスに対してのアドバイス、初心者ってかたちでね、これからiDeCo、つみたてNISA始めようって方について、水野さんだったらリバランスがどういうふうにアドバイスがありますか。
水野 和人
そんなに神経質にならずに、自分がどのぐらいの資産をどういうふうなバランスで持ってるかっていうのが大事だと思いますので、1年に1回とか、3年に1回とか決めずに経済状況が、世の中がニュースで見て動いたなと思ったときに、自分の確定拠出年金がどのような状態になってるかっていうのを見ていただければ、そのときでも遅くはないのかなという感じはしますね。ただ年齢層20代と50代で同じ運用をするのか?資産を守るのか、積極的に運用するのかで持っている資産を移さなくてはなりませんのでその時にはご相談いただきたいですね。
山中 伸枝
つみたてにしてもiDeCoにしても100万、200万貯まるまでは3~4年かかりますからね。
水野 和人
そうですね。
山中 伸枝
そこを1年生、2年生、3年生で勉強してもいいってことだよね。
水野 和人
そうですね。それでどうやって値動きが動いていって、これだけ積みあがってこれだけ利息がついたっていうのを見ていただくっていうのもまず1つ大事で、時間軸を味方につけて、ドルコストでこれだけ時間を味方につけて増えたんだってことを体感していただいてからでも遅くはないのかなと思います。
山中 伸枝
遅くはない、なるほどね。はい、ありがとうございました。村松さんは。
村松 繁
ドルコスト平均法、長期投資というなかでは、実は資産というのは当初暴れたほうがダイナミックに利益を出してくれます。そういう意味でもあんまりリバランスにこだわる必要はないと思うんです。ただ、最初教科書通りにスタートしてリバランスを1年に1回やり始めて、それをおそらく5年間ぐらい経験すると、リバランスって何の意味があるんだろうって考え始めると思うんです。なぜならリスクに対する許容度が確実にその人は上がってるから。
山中 伸枝
上がりますしね。間違いなく。
村松 繁
それで「リバランスって馬鹿らしいぞ、今まで買っていた債券って何なんだろう」と言って、大きく自分が変わるタイミングがあるはずです。それがどのぐらいのタイミングでそうなるかわかりませんが、それが投資家としての第一歩になると思います。
山中 伸枝
加入者から投資家ですね。
村松 繁
はい。
山中 伸枝
向藤原さんは。
向藤原 寛
自分の資産の全体の中にあるつみたてNISAなりiDeCoなりっていうものがあって、そのバランスを考えて調整していくっていうことはすると思うんですが、基本的にはつみたてNISAのところは動かさなくていい、見直ししなくてもいいインデックスタイプの運用を基本にしていって、確定拠出、iDeCoのところはアクティブを使って見直していくということができるということで、使い分けをうまくやっていく、資産の中のバランスを定期的に考えていく。私は定期的に見るという癖をまずつけて、そのなかで自分が、マーケットが買われすぎているのか、上がりすぎているのかっていう判断をできる、判断基準を持つというところまでいっていただきたいと思います。
山中 伸枝
そう思うとやっぱり早くから始めないといけないね。投資ってね。だから本当に若いときに始めて、やっぱり積み立てでいわゆる複利効果を狙っていけば、出口がすごく難しいんですよね。出口に向かって、それこそそのときがリバランスかけていかないと、受取の5年ぐらいかしら、真剣にリバランスだと思うんですよね。なので若いうちから、私たちはお客さんに寄り添って少しずつお勉強のお手伝いをしてさしあげて、20年、30年後に一緒に笑いたいねって感じですかね。
村松 繁
そうですね。
山中 伸枝
そういったアドバイスを続けていくということで。以上で終わりにしたいと思います。今日はありがとうございました。

対談動画

今回の対談に参加された皆さん

山中 伸枝山中 伸枝
(やまなか のぶえ)

山中 伸枝のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

向藤原 寛向藤原 寛
(むこうふじわら ひろし)

向藤原 寛のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

村松 繁村松 繁
(むらまつ しげる)

村松 繁のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

水野 和人水野 和人
(みずの かずひと)

水野 和人のiDeCo(イデコ)ポートフォリオ

2018年2月2日