事業者情報
事業者名 | グリーンモンスター株式会社 |
導入制度 | iDeCo+(イデコプラス) |
社歴 | 10年未満 |
加入時期 | 2021年 |
従業員数 | 32名 |
業種 | インターネット通信業 |
所在地 | 東京都 |
Webサイト | greenmonster.co.jp |
インタビュー
どうしたらiDeCo+が社員たちにとってのメリットになるかを考えました
御社のことを教えてください
グリーンモンスターの事業は3つ!体験型投資学習アプリ配信事業、インターネットマーケティング事業、あったらいいなアプリ配信事業です。
創業は2013年の7月29日です。ついこの間で丸8年が経ち、9年目に入りました。グリーンモンスターに私が入社したのは2020年の6月です。基本的には人事や総務、労務まわりを担当しています。法務などにも携わっていて、情報システムや社内インフラ、広報系もやっています。
従業員さんは何名でしょう? みなさん厚生年金に加入されていますか?
従業員数は社外役員も含めて32名です。厚生年金にはそのうちの29名が加入しています。
企業年金や退職金制度はありますか
ありません。
iDeCo+はどこでお知りになりましたか
私が入社したときにはすでに、iDeCo+を検討しようかみたいな話がありました。グリーンモンスターの場合、iDeCo+には入社から半年後から加入できますし、対象は正社員と常勤役員としています。加入対象が広いので、入社当初はどうしたらiDeCo+が社員たちにとってのメリットになるかを考えました。会社としては離職防止などの背景がありますが、どうやってみんなが腹落ちできる、説得力のある制度にしてあげられるだろうと一生懸命考えました。
運用をサポートしながら会社で支援できることがないかと考えたときに、やはりiDeCo+を導入しようとなった
iDeCo+を導入したきっかけを教えてください
2020年の12月くらいから、リモートワークが主流になり往復の交通時間が浮きました。その時間は自己学習に充ててほしいよね、という話が多かったんです。でもそれって、何も支援しなかったら個人任せになってしまいます。やる人とやらない人が出てきますよね。
それなら先行して書籍1冊分の手当を6カ月の期間限定で支給してみようかという話が挙がりました。それで実際に半年間運用した結果、しっかり運用している人は40%くらいでした。書籍1冊分のお小遣いみたいになって終わってしまったんです。
体験型投資アプリを運営している会社としては、投資の知見を深めてもらいたいから勉強もしてほしい。そこで運用をサポートしながら会社で支援できることがないかと考えたときに、やはりiDeCo+を導入しようとなったんです。
会社から支援を受けて、自分で運用して、それをプロダクト(業務)に活かせる方向にしていこうとなりました。
業務のリサーチの部分を、会社が資金を支援するから自分で実験してみて、というイメージでしょうか
はい。私もそうでしたが、投資って自分でやってみないとわからないところもあります。社員の平均年齢は32.8歳なんですが、20代前半~中頃の人は、ほぼ投資未経験で入社してきます。
だからこそ自分が運用してみて「こういう仕組みなんだ」ということを、しっかり理解したうえで日々のコンテンツ制作や施策に落とし込んでいってもらいたいと思いました。グリーンモンスターは体験型投資アプリを配信しており、初心者向けのコンテンツ提供をしているので、そういう意味でも導入にメリットがあると思いました。
社員の中には投資の経験者もいますが、やはりしっかり学習している印象です。「これからFP(ファイナンシャル・プランナー)を取りたいです」など、資格取得を目指しているメンバーもいます。
今後は半年に1回、iDeCo+の運用報告を上げてもらう予定です。自由発表みたいなかたちを想定しています。
経済を知っていくうえで、投資はすごく大事なことですね。この知識を武器として持っておくと、これからはプラスになると思います
実はグリーンモンスターには、私の前職の部下が2名います。その子たちが独り立ちするのを見たいという、親のような目線というか、そういう気持ちも出てきています。前職で新卒採用したメンバーなので、分野が違いますが成長が楽しみです。
今まで投資や資産運用の知識をつけて、成長し続けてくれると本当に嬉しく思います。
iDeCo+は掛け金や運用商品を決めるのは、すべて自己責任です。自己責任が負えるようになるということは、社会人として一人前になるのと同義かも知れませんね。
私が20代のときは「あぶないから投資はやめたほうがいいよ」と言われる時代でした。
でも、いまは投資が注目される時代です。そんな中で、私がグリーンモンスターにご縁があり入社し、前職で採用した2名もjoinしてくれました。これをきっかけに、お金というものに対する価値観が、少しずつ変わってこないと意味がないと思っています。
テストに合格した人だけが、iDeCo+に加入できるという仕組みにしました
ご自身も20代、30代での経験は大きかったですか
大きかったですね。30歳から34歳の4年間は、20代の4年間よりも密度が濃い時間を過ごしました。
今まで数人の部下を持っていたけれど、会社の経営に関わるようになったことで、ゆくゆくは自分の力で経営したいという気持ちが少しずつ出てきたんです。コロナウィルスの影響や環境の変化もあり、良い意味ですごく刺激をもらった4年間でした。
自分の力でどこまでやれるか試したい気持ちもあります。だから私もグリーンモンスターに60歳までいるとは思っておらず、いつかグリーンモンスターを巣立つときに何かの仕組みなどを残して卒業したいという気持ちが強いです。そのひとつにiDeCo+があるのかなと思います。
iDeCo+を導入した際の手続きについて教えてください
今回、iDeCo+の導入では、三井住友銀行さんにご支援いただきました。みずほ銀行さんからもお話をいただいたんですが、管理や口座開設なども含めて検討した結果、一番手続きしやすい、運用しやすいと感じたところに決めました。
三井住友銀行さんには、社内で説明会もしていただいて、メンバーがしっかり腹落ちするように努めました。事前に何回も話をして、「それだと社員が理解できないかもしれない」など指摘もさせていただきながら、一言一言かみ砕き初心者でもわかるようにとお願いしました。
難しいことは一切入れていませんが勉強会が終わったらテストを実施しました。そのテストに合格した人だけが、iDeCo+に加入できるという仕組みにしました。
会社として「しっかり聞いてくださいね」という圧力にもなりました(笑)
申し込みについては、三井住友銀行さんが書類をワンセットにしてきてくださいました。掛け金の記入など、すべてひとつのファイルにしていただいて、それを事前に社員に配る。記入した内容も、三井住友銀行さんのほうですべてチェックしてくださいました。
会社としての手続きは、そこまでボリュームもなかった印象です。記入欄は法人番号などで、そこまで重くはなかったですね。あとは、退職金規定といったものが設置されていなかったので、そちらも三井住友銀行さんにご支援いただきながら制定しました。
手続きや運用が大変とは聞いており「大変になるんだ。でも社員のためにやらなきゃなあ」と覚悟していました。でも、銀行からのご支援があったので、そんなに苦労せず進められたかなと。
タスクは私と経理のスタッフとで進めていったのですが、そんなに大変だったという感じはありません。
会社として国基連(国民年金基金連合会)に書類を提出しますが、このあたりの手続きもスムーズでしたか
はい。書類の差し戻しもなく、スムーズでした。国基連のサイトから資料をダウンロードして提出するんですが、本当にスムーズで早かったです。書類は2部ずつ必要ですが、書き方も案内されていました。
就業規則の提出はありましたか
なかったです。iDeCo+を導入するにあたり、会社としてやりやすい設計をしたのがよかったんだと思います。今月末から給与の天引きが開始されますが、すでにある程度の準備をしています。グリーンモンスターは「人事労務freee」というソフトを使っていますが、アップデートもされているので、そこまでの混乱はないと思っています。
iDeCo+は投資学習の支援を目的にしている
掛け金は全社員、一律ですか
会社の掛け金は一律4,000円で設定しました。社員が出す掛け金が最少額で始められる金額ということで4,000円にしました。社員の掛け金は1,000円以上となっています。
社内での評判はいかがですか
iDeCo+をやりたくないという人もいるかなと想定していたんですが、全員がやりたいと言ってくれました。メリットとしては大きかったと思っています。
グリーンモンスターはiDeCo+の加入を、入社後半年経過した方が加入できる要件としています。この半年というのは試用期間明けから加入できるという設計です。金額は個人で変更できますが、会社の確認作業や工数を減らすために、基本的には12月と6月の賞与のタイミングでそろえさせてもらいました。
説明会を実施するにあたり、iDeCo+を運用するメリットはかなり説明しています。掛け金は一律4,000円で、1,000円から始められる、掛け金は全額所得から控除される、運用益は非課税だとか、そういう話を伝えました。だから、納得した状態で進められたと思っています。
では、みなさんiDeCo+の加入には積極的でしたか
はい。積極的でしたね。説明会は、私が作った資料で1部を、三井住友銀行さんからの説明で2部という構成でした。
みんな加入に積極的とはいえ、掛けるだけで何も見ていない人もいるかと思います。しかし、iDeCo+を通じて投資に興味を持ち、運用で知識を付けるだけでも、理解度は全然違うと思います。これらについて、説明会でもしっかり伝えましたし、わからないところはガンガン質問してくださいとも話しました。
あとは、「グリーンモンスターが設計する制度とは何か」「これに入る目的は」という点を明確にしました。「そもそもiDeCoとは何か」「iDeCo+との違いとは」みたいなところも説明して、三井住友銀行さんに補足していただくというかたちをとりました。
自社にiDeCo+を導入してから気づいたことはありますか
社内に説明するとき、企業目線のことを伝えてもピンと来ないでしょうね。iDeCo+の導入が離職防止になるといっても、それは会社目線の話です。三井住友銀行さんから、一般的にiDeCo+は福利厚生の一環として導入する会社が多いと言われました。
でも、社員たちにはiDeCo+は投資学習の支援を目的にしていることを伝えました。20代の人に60歳過ぎのことや退職金のことを説明しても、想像しづらいですよね。
ですから、iDeCo+を利用して会社が本気でメンバーを支援するよ、だからみんなも本気で勉強してねと伝えたほうが、お互いにメリットを感じられると思ったんです。三井住友銀行さんからは、グリーンモンスターさんは前提が体験型投資学習アプリを運営しているので、設計が特別かもしれない!と言われました。
ひとつだけ、てこずったところがあります。もともとiDeCoをやっていた社員がいて、ご本人の切り替えが遅れてしまうみたいなことはありました。でも、今のところ違和感はないです。半年後にみんなのレポートを受け取ったタイミングで、どう運用されているのかが見えてくると思います。
三井住友銀行さんから、継続的なサポートはありますか
まだです。今は全員の加入手続きが一通り完了して、これから給与天引きをします。三井住友銀行さんからは、一周まわったタイミングぐらいで運用を確認させてくださいみたいな話はあります。コースを変更したり、コースの内容を確認したりといった運用に対することは、すべてWeb上でサポートが受けられるようになっています。
お知り合いの会社にも薦めやすいですか?
投資学習という点にフォーカスして、薦めたいと思っています。退職金制度を設けるという訴求ではなく、社員自身の投資に関する学習として運用していってもらいたいです。
貯金が絶対に悪いとは言いませんが、視野を広く持ってほしいと思います。投資への向き合い方などは2022年から高校教育にて学べますが、高校を卒業したら誰が教えてくれるの?と。そうなったら自分で学ばなくてはいけません。iDeCo+は株式投資よりはハードルは低いはずなので、まずは知ることから始めてほしいと思います。
私もそうですが、このタイミングで加入できたのは、すごくありがたかったですね。
部下や環境を育てることを考えると、資産運用は非常に大事なことだと思います
日本は投資に対して遅れています。私が20代の頃は、こういうデータや会社、サービスがありませんでした。もちろん、iDeCo+は個人の選択肢なので個人の責任になります。だから、働いたお金をプライベートに使ったり、全部貯金したりする選択もあるでしょう。
でも、私は投資を悪いことだとは思いません。私も投資1年生として、みんなと同じ目線で投資に対して向き合いたいと思います。そしてメンバーが投資の知見をつけ、ユーザーと共に成長してくれることを人事として願っています。
このたびはお時間をいただき、本当にありがとうございました
iDeCo+(イデコプラス)導入をサポートしたFPについて
山中伸枝(やまなかのぶえ)
www.nobueyamanaka.com
心とお財布を幸せにする専門家 ファイナンシャルプランナー(CFP®)
米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。「楽しい・分かりやすい・やる気になる」講演、ライフプラン相談、執筆など多数。