2015年10月27日付日経記事 「企業年金 掛け金ゼロ増 セコムなど26基金、運用改善」
確定給付企業年金の積立金が膨らんで掛け金が不要になった基金が26基金あるとの報道です
確かに、運用成績の上昇により年金資産が潤沢となることは好ましいことですが、気になる点が二つ
それはこの積立金不要の理由に、従業員に支払う企業年金の給付の減額と従業員の大量退職などによる年金債務の減少が挙げられているという点です
確かに企業年金全体として考えると、運用成績の改善はプラスであり、掛け金の拠出が不要になるということは、経営的にもプラスなわけで大いに喜ばしいことではありますが、「従業員」の生活設計から考えるとそう簡単に喜んでもいられない状況があります
会社を辞めると当然ながら企業年金を受け取る権利を逸してしまいます(多分上乗せ退職金はあったのでしょうが)
企業年金の減額が行われると老後の生活設計が変わってきます
確定給付というと、「給付額が確定」と解釈されますが、それは単に会社側として計算方法が決まっているということであり、受給者ひとりひとりの「生活」という観点で考えるとおおよそ違うものだったりします
企業年金についてのより詳しい状況を社員はしるべきですし、それにともない自助努力もしっかりとしておく必要があるでしょう
また企業側としても、景気が良い時は企業年金の運用もうまくいくのですが、逆に景気が悪い時は企業年金の財政も悪化し、企業負担も増える、経営が厳しくなるという循環に陥ることを「今」だからこそ考え直すタイミングではないかと思います
正直、財政状況が良く痛みが少ない状況で、確定給付企業年金から確定拠出への切り替えなどを検討することも、次の時代へのための選択肢ではないかと思います