公務員 年払い退職給付ができたから安泰なのか?

職域部分がなくなったけれど、代わりに年払い退職給付という制度があるから、結果あまり変わりがないのでは?と思っている方もいらっしゃるかもしれません

しかし、本当にそうなんでしょうか?

 

総務省のこちらのデータをもとに解説していきますね

図解がいちばんわかりやすいと思うので、まずはこちら

公務員

まず大きな変化として退職手当が一気に400万円引き下げられました

これは大きいですね

次に職域部分がなくなり、年払い退職給付が創されました

公務員2

確かに図で見ると職域はモデルケースで月2万円相当だったものが年払い退職給付は同じモデルケースで月1.8万円なのだから大した違いはないだろうと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この二つは似て非なるものなのです

まず職域加算は公的保険です

しかもその加算分について特により多くの保険料を払う必要もなく、受給額を決定するための「係数」が異なるため自動的に保証された金額と思っていいでしょう

しかも終身保障ですから、やはり価値は大きいわけです

また死亡時は遺族年金として遺族がその金額の4分の3終身で受け取ることが可能です(条件により異なります)

一方で年払い退職給付は、私的年金のイメージです

保険料は労使併せて1.5%を負担し、運営は経営者側(というと具体的には共済年金なのでしょうか?資料からは読み切れませんでしたが・・・)が責任を持つという企業年金でいうところのキャッシュバランス型のDBというものです

保険料は1.5%を上限ですから運用利回りが良くなれば、その分引き下げるか給付額を上げるかをするのでしょう

一方運用利回りが悪ければ、保険料を上げられないので、きゅふがくを下げて調整をするのでしょう

ということは、将来の受け取り額は「決まらない」というのがポイントです

DBというのは「確定給付年金」といわれ、給付額が確定していると理解されていますが、実際は給付額を決定するための計算方法が決まっているという意味で給付額が決まっているわけではないのです

また受け取り方も一部有期で一部終身年金です

遺族が受け取る部分は有期年金の部分で、受取りできずに受給者が亡くなった場合の残った部分のみです

 

ぜひみなさんには、モデルケースの数字だけで判断せずに、その裏になにが隠されているのか理解しこれから何をすべきかよく考えていただきたいと思います

 

予定通りに運用がうまくいけば退職給付もあてにはなるのでしょうが、その運用についてはどこかの誰かにお任せです

 

だからこそ、2017年1月から公務員自身が自分で管理運用できる確定拠出年金が導入されると思っていただいた方が良いでしょう

 

関連記事

公務員に必要なのは、まずは意識改革
公務員の共済年金が厚生年金に一体化したことにより、職域加算分(モデルケースで月2万円の上乗せ年金)がなくなり、年払い退職給付金(モデルケースで月1.8万円の上乗せ年金)が新設されました これは一見良いことに見えますが、退職給付金はこれまでの職域加算のように終身年金ではなく一部のみ終身ですし、遺族年金として遺族が終身でその権利の一部を受け取るという仕……
公務員こそ確定拠出年金(イデコ)を!
先日日経の記事でこんな残念な記事がありました「公務員向けDC普及策、職場説明会で組合が壁に」確かにこれまでの習いでいけば、組合や職場主導で説明会が行われたり情報発信がされたりするのを待っていればよかったのでしょうけれど、これからはご自身で行動をおこされるべきだと思いますよ なぜならば、昨年の被用者年金一体化において、公務員の老後の生活設計は大きく様……
公務員はねんきん定期便のチェックを
今後の生活設計をするにあたり「数字」はとても大事です 特に老後の資産形成にはある程度の目標額を持ちながら計画をする必要がありますこの場合の目標額は、老後に必要なお金を試算し、そこからすでに準備されているお金(公的年金、退職金、その他)を差し引いてもまだ足りない分ということです 昨年12月より公務員にもねんきん定期便を送付されるようになりま……
ずっと働かない専業主婦ならiDeCoより積立NISAかも!?
こんにちは、確定拠出年金相談ねっと代表の山中伸枝です。金融庁は2018年をめどに積立NISAを始めるようです。関連記事:積立型NISA、20年非課税に 18年新設 これはいいことですね。既存のNISAの120万円枠と比べると40万円と少々額は少ないですが、非課税期間が20年と長いですから、非課税の恩恵を得られる可能性が高くなります。この積立NISA……