iDeCoは近所の金融機関の方が、相談するのに便利でしょうか?

ご相談者様 DATA

【年齢】 40代前半
【職業】 会社員
【性別】 男性
【家族構成】 配偶者、子供2名、父母

 

相談しようと思ったきっかけ(アンケート抜粋)

最近iDeCoが話題になっていますよね。老後のために何かを考えなければと思っていたので、きっと良いものなのだろうということは分かりましたが具体的な始め方になると、本やセミナーなどでの情報収集では足りず、どうしていいかいまいち良くわかっていません。

やはり対面で相談したいと思い、そこで自宅から一番近い品川のFPである野原さんにご相談しました。

 

ご相談内容

iDeCoの相談をしたいのですが、最寄り駅に両親も懇意にしている金融機関があるので、そういうところで相談すると便利でしょうか?

両親は長いつきあいだと言いますが、私は特につきあいがあるわけでもなく、金融機関はかえって敷居が高いようにも感じています。

また、そこに相談するとその金融機関で決めてしまわなければならなくなるのではと不安もあります。

 

ご相談でお話しした内容

たしかに、最寄り駅に縁のある金融機関があれば、ご自宅から近いので相談するに便利なのは間違いありません。

ただ、近所の金融機関といっても、対応は様々なものになることが想定されます。

特にiDeCoは「金融商品」ではなく、厚労省と金融庁が共に管轄している法律に守られた「仕組み」です。
その仕組みを利用するための、窓口が各金融機関(運営管理機関)なのです。

同じ仕組みではありますが、窓口毎にサービスが異なるため、みなさんなんとなく分かりづらいと思われるところなのかもしれません。

この原因には三者三様のスタンスと思惑があることが想像されるからです。

 

厚労省

iDeCoはあくまで年金の一種であり、僕らが自助努力で対応する社会保障の上乗せというスタンスでしょう。

国民年金や厚生年金だけでは、国民全体の社会保障をカバーするには力不足でしょうから、iDeCoの加入者を増やしたいが、資産運用については特に推奨できない立場。

 

金融庁

貯蓄から投資」へイデコ普及を通じて金融市場へお金を流したいという思惑があるのでしょう。

資産運用については初心者から経験者まで幅広いものの、できれば定期預金などの元本確保型ではなく、元本変動型の投資信託の購入者を増やし、金融市場の活性化にもつなげたい。

 

窓口の金融機関(運営管理機関)

確定拠出年金法上、「運営管理機関による特定の運用商品の推奨はしてはいけない」とされているため、運営管理機関は具体的にどの商品を選ぶべきかという提案をおこなうことができません。

そのため、金融機関が運営管理機関を兼ねている場合は、通常の窓口とは別部署としてのiDeCo専用窓口を設置していますが、運用商品に関する内容や過去の運用実績等、お役立情報については、ネット上で情報提供しているパターンが多いです。

しかし、ここに難しい矛盾が生じます。

金融機関全体としては、たとえiDeCoがビジネスにならなくとも(iDeCoは国の制度の窓口代行をしているので、金融機関にとっては利益にならない)、これをきっかけにバックエンドの自社サービス購入へつなげたいという狙いもありますし、一方で窓口にきていただいたお客様に親切に他社サービスの比較や推奨をすることは考えにくいです。

(ご相談者様が危惧されているように、iDeCoは金融機関により運用商品、サービス、手数料などが異なり、複数の金融機関を比較して選定すべきなのですが、相談窓口では自社サービスしかご案内しません)

結果、となりのブースで運用商品の相談も受付けていますというような、少し他人事のようなオチにならざるをえません。

実際、iDeCoの相談に行ったのに、iDeCoでは運用商品のアドバイスができないので、知らず知らずに通常の投資信託の説明を受けてよく分からずに購入を勧められたというお客様も過去いらっしゃいました。

というように、各関係者の思惑などが複雑に絡み合っています。

そのため、窓口の金融機関で相談に乗ってもらうということは、その会社の取扱い商品を前提とした制度説明がされる可能性が高くなりやすいので、どの金融機関がいいかという判断を現場では行えず、後で自分で選ぶことになります。

つまり、iDeCoの制度理解、老後の生活設計・金融の勉強、資産運用の実行など、一貫性のある勉強や行動ができない可能性が高まります。

さらに、iDeCoをただ始めたからといって、老後の不安が一気になくなるわけではありません。

なぜならば、ご相談者様にとってのお金の課題は老後資金だけではなく、お子さんの教育資金や、ご両親様の相続など多岐にわたり、iDeCoがわかったところで、今不安に感じていらっしゃる将来に関することは何一つ解決しないということです。

やはりここは、ファイナンシャルプランナーが包括的にお客様の資産形成アドバイスをさせていただくのが得策ではないかと考えます。

 

iDeCoの金融機関を比較しやすいサイト

iDeCoナビ(個人型確定拠出年金ナビ)

こちらのサイトの中段くらいに、手数料や取扱商品、サポート内容で比較できる「取扱金融機関比較」がございます。

 

まとめ

相談者様はいろいろ迷われていましたが、結局はまずは自分で判断できる力を身につけてから、将来的には近所の金融機関の営業マンにうまく転がされるのではなく、利用してやるくらいの気概をもたれたようです。

私とのおつきあいとしては、勉強過程における金融アドバイスとセカンドオピニオンを定期的に求めたいとのお話をいただきました。

これからの成果が楽しみです。

この記事を書いた人
野原 亮

金融経済教育を通じて、中小企業の スタッフの家計の不安を減らして、 仕事に集中できる環境づくりをお手伝い

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