ご覧の皆さま、こんにちは。
年金というフィールドで、相談業務、教育研修、制作(執筆・編集等)、調査研究という4領域で活動中、年金のポリバレント・井内です(※ポリバレントとは、サッカーで複数のポジションをこなせる選手として使われている言葉です。)。
ファイナンシャルフィールド(ブレイクメディア株式会社様)で新規記事「65歳以降も働いた場合の老齢厚生年金額の再計算のルールが変わる?いつから?その内容とは」が掲載されました。
今回の記事も、前回の在老停止基準の変更(「60歳台前半の在職老齢年金制度が見直しへ。働きながら年金が全額受けられるかも?」)に続いて、年金制度改正法についてです。
今回はそのうちの年金再計算ルールの改正についてです。
老齢厚生年金を受けられる65歳以降に引き続き会社に勤務する場合も毎月の給与から厚生年金保険料が控除されます。厚生年金は最大で70歳まで加入することになり、70歳まで勤務すると70歳まで保険料が発生します。
65歳以降で、年金の受給者と保険料を払う被保険者、2つの立場にあるわけですが、この掛けた分の保険料はもちろん掛け捨てにはならず、受給する老齢厚生年金に反映されることになります。
その65歳以降に控除された保険料の分の老齢厚生年金については、現行制度上は
(1)退職した時
(2)70歳を迎えた時
に再計算され、受給額に加わることになっています。
在職中、年金記録上は時計が止まったままの状態となり、退職や70歳で初めて老齢厚生年金が増えることになります。
65歳から70歳まで5年間継続勤務した場合であれば、70歳になるまでは65歳の時のままで計算され、70歳になって初めて、5年分(60か月)の保険料が受け取る年金に反映され、70歳以降の受給する年金が増えることになります。
しかし、年金制度改正法によりこのルールは見直され、2022年より退職や70歳時点だけでなく、毎年、年金額の再計算が行われることになります。在職中、毎年9月を基準として、その翌月・10月分から年金額が変わります。
これは在職定時改定という新しい制度ですが、70歳まで勤務しても、5年待つことなく、毎年毎年、1年間掛けた保険料の分の年金が増えていくことになります。
年金額が変わった時は日本年金機構からお知らせが来ることになっています。ここで、今後起きることとして考えられるのは、在職定時改定によっての年金額の変更も加わることで、お知らせの頻度が増えるということです。
もちろん、在職定時改定による年金額の変更のお知らせ方法や通知書の書式などについては現時点では未定ですが、在職定時改定後にすぐに退職したような場合では、在職定時改定と退職による改定、連続で2回お知らせが来る可能性があります。
「この前通知が来て、また通知が来た・・・。」
「前回のお知らせと今回のお知らせ、何が違うの?」
「前回と今回、どっちが正しい年金額?」
「何故頻繁に年金額が変わるの?」
と迷われる方が出ることも予想されます。
しかし、もし立て続けに通知が届いても、年金額の改定の新しいルールを押さえ、届く通知書についても整理しておけば、その内容について迷わず、年金額が変更された理由にも納得ができるのではないかと考えられます。
2年後のお話にはなりますが、65歳以降もお勤め予定の方は、新しい制度も含めて年金再計算について頭の片隅に入れていただければと思います。
【これまでの実績】——————-●年金相談は3500件以上経験、●教育研修は地方自治体職員向け、年金事務担当者向け、社会人1年生向けなど、●執筆は通算200本以上!『週刊社会保障』の「スキルアップ年金相談」(法研様)、「東洋経済オンライン」(東洋経済新報社様)、「ファイナンシャル・フィールド」(ブレイクメディア様)、月刊『企業年金』の「知って得!公的年金&マネープラン」(企業年金連合会様)。●調査研究活動は研究論文「老齢年金の繰下げ受給の在り方-遺族厚生年金の受給権がある場合-」(日本年金学会編『日本年金学会誌第39号』)など。
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