選択制確定拠出年金の企業のメリットは「社会保険料の削減」です。ここは確かに魅力なのですが、確定拠出年金はやはり加入者様のための制度。加入者が大きなメリットを享受することができるのです。
仮に給与40万円の40代の社員さんが毎月2万円積立てた例で考えてみましょう。
Aさんは、2万円を毎月の手取りから積立をします。社会保険料、税金を差し引かれた後の手取りからの2万円貯蓄ですので、実際に手元に残るお金は、292,184円です。
Bさんは、2万円を確定拠出年金として給与天引きで積み立てをします。この2万円には、社会保険料も所得税も住民税もかかりません。よって、その分お得になります。
実際のお得額・・・ 6,592円です!!
つまり同じ2万円の積立なのに、普通の銀行預金などより確定拠出年金の方が手元に残るお金が6,592円、年間にしたら約8万円も節税、節約できるのです。8万円の余裕ができたら、ちょっとした旅行に行けますよね。さらにそれを貯蓄に回すこともできます。
確定拠出年金は、前述したとおり拠出額(積立金額)が全額所得控除という税金のメリットの他運用期間中の利益に税金がかからなかったり、受取時にも特別な節税ルールを利用できたりととにかく税金上のメリットがとても大きいのです。
メリットばかりで心配ですか?確かに話が出来すぎと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
確定拠出年金のデメリットをあえていえば、自分の口座に積立をしているのですが、自分の都合で自由に引出ができないという点です。老後資金に特化した積立なので、あえて60歳まで引き出しに制限が設けられているのです。でも今後公的年金の受給開始年齢が引き上げられる可能性を考えると、60歳から使える老後資金である確定拠出年金は価値があるのではないでしょうか?
また選択制確定拠出年金に限っていうと、社会保険料が削減されるので、その分将来の給付が削減されることがデメリットです。
先ほどのAさんとBさんで比較してみましょう。Aさんは一般の預金で毎月2万円を積立、確定拠出年金は利用しません。Bさんは確定拠出年金を利用します、積立期間は20年としましょう。二人とも積立の合計額は480万円です(2万円x20年)。
Aさんは65歳以降Bさんより老齢厚生年金を年間約2.6万円多く受け取ります。85歳まで年金を受け取れば合計52万円も多く年金がもらえます。一方Bさんは、同じ積立額でありながら毎年8万円もの余裕資金を得ることができるわけですから、この20年間の合計は160万円。公的年金で受け取る額より約3倍ものお金を自分のために作れるわけです。
そのほか遺族年金であったり傷病手当金、失業給付など若干の変化がありますので、実際に加入する場合はそれぞれのケースで試算する必要がありますが、そもそもブラックボックスのような公的年金にだけに老後の生活を頼るより、自分自身で管理コントロールできるお金を準備する方がリスクの分散にもなりよいのではないかと思います。