相続というものは誰もが経験することです
なにもサスペンスドラマのようなドロドロのお家騒動の問題ではなく、普通の家庭でもしっておくべきことがあります
今回は、普通の家庭でとりあえずここだけは押さえておきたい基礎知識をお伝えしたいと思います
まず、ご家族のだれかが亡くなり、その方が持っていた財産を継承することを「相続」と言います
亡くなった方を「被相続人」と呼び、亡くなった日を「相続の開始」と言います
豆知識ですが、ドラマではお決まりのように遺言書をめぐるトラブルが発生します
時に、たまたま遺言書を発見した人が、自身が得をするにように遺言を書き換えしたりします
でも、本当の相続においては「遺言書を勝手に開けると無効」になるので、知っておきましょう!
実際5万円以下の罰金が科せられることもあるそうですから、うかつに取り扱わないように
じゃぁ、みんながいるところで明けたら良いのかというとそれもNGで、家庭裁判所で検認してもらうのが正しい方法だそうです
またこの遺言書の書き方にもちゃんとルールがあるので、ご自身の相続にしっかり向き合いたい方はお勉強した方がいいですね
さあ、気になる相続税ですが、その納税期限は相続の開始から10か月と決まっています
納税は現金が基本ですので、まず相続で問題になるのは「納税資金があるのかないのか」となります
納税までの間、相続の放棄や限定承認といって、遺族が被相続人の財産を引き継ぐかどうかの判断ができる期間があり、それは3か月です
相続する財産は何もプラスの財産だけではなく、借金も含まれるのでこういう処置がとれるのです
でも3か月というとあっという間ですよね
その間にプラスの財産、マイナスの財産を精査しなければならないし、相続人の戸籍を取り寄せたりいろいろ作業が必要です
悲しみに暮れているひまはないくらいかもしれません
さて、財産の詳細をリストアップし評価がどの程度あるのかを確認したらいよいよ支払うべき税金があるのかどうかの計算になります
ステップ1
相続の基礎控除:3,000万円 + 600万円x法廷相続人の数 以上の財産があるかどうかの確認
例えば夫、妻、子2人の場合、夫が亡くなった時の法廷相続人は3人なので、資産が基礎控除4,800万円を超えると相続税の支払いが必要になるか可能性が出てきます
ステップ2
仮に財産が6,000万円であれば、基礎控除を引いた差額が1,200万円となりまます(A)
ステップ3
課税対象となる財産(A)を法廷相続分で分け、税率を掛けます (相続税率)
妻は2分の1、子はそれぞれ4分の1です
妻分 600万円 x10% = 60万円
子1の分 300万円 x 10% = 30万円
子2の分 300万円 x 10% =30万円 合計 120万円が「とりあえず」の納税額となります(B)
ステップ4
(B)を実際の相続配分で案分する
妻 120万円 x 50% = 60万円 ⇒ ただし妻が相続財産の2分の1または1億6000万円までを受け取る場合は非課税となる
子1の分 120万円 x30% = 36万円
子2の分 120万円 x20% = 24万円 合計60万円が「実際」の納税額となります
これが税金の計算方法です
つまり覚えておくべきことは「基礎控除」の計算方法と「法廷相続人」の定義です
次に知っておくべきことは、相続財産を「減らす」方法です
例えば、「死亡保険金」と「死亡退職金」には、それぞれ基礎控除とは別枠で控除が受けられます
500万円 x 法廷相続人の数 なので、法廷相続人が3人であれば、死亡保険金として1,500万円、死亡退職金として1,500万円それぞれ「課税の対象とならない財産」を作れるわけです
仮に相続財産が9000万円あり、内訳として現金6,000万円、保険金1,500万円、死亡退職金1,500万円であればまず保険金、死亡退職金は課税の対象とならず、現金6,000万円から基礎控除を引いた分が課税対象となります
退職金を自らの都合で作るというのは、あまり現実的ではありませんが、生命保険ならどんな方でも活用可能です(死亡保険金を使った相続対策)
銀行においてある1,500万円は課税対象ですが、これを保険料として自らの死亡保険として払い込むと非課税枠が作れるのでポピュラーな相続対策です
特に相続対策用として発売されている死亡保険は、健康状態に問題があっても加入可能なので検討するのも良いでしょう
もっと相続財産を「減らしたい」場合は、生前贈与という方法もあります
お金の形を変えることで相続対象の財産を減らしていきます
ただこれは、時間がかかること、受け取った相手も使い方をちゃんとしないとあとから面倒なこともありうること、生前贈与をしすぎるとこれからの生活費が足りなくなる可能性おあることなど、ちゃんと考えなければならないことがいっぱいあります
このあたりになると、相続の専門家に相談する方がやはりベターです
特にお子さんがいない場合や、離婚、再婚などを経験しているような場合や、相続財産が不動産中心であったりする場合など、余裕がある時に相続についてお勉強しておく必要があるかもしれません