退職一時金の引き当てはご存じのとおり損金計上ができません
昔は若かった従業員もだんだん歳をとってくると退職金の支払いが経営者側としては気になってきます
なにしろ、引き当ては決算上の処理だけで実際にお金を積んでいないという会社も多いからです
そうなると・・・借り入れか?ってことになり、今後のキャッシュフローを見ながら退職金制度を見直すべきかと検討される企業様も多くいらっしゃいます
見直しとしての選択肢は、多分以下3つに集約されるでしょう
1)養老保険
2)中退共
3)確定拠出年金
※確定給付年金も選択肢ではありますが、事業規模100名以上でないとコスト的にも合わないでしょうし、受け入れ金融機関も見つからないでしょう
前提条件として、上記3つの選択肢はどれも引き当て計上相当額(あるいは見直しも可能)の現金が必要です
これは退職金の分別管理および退職金の保全という意味でとても重要な点です
しかしこれまで実際に資金準備をしていなかった会社であれば新しく手当が必要ですので、キャッシュフローの確認をしてください
1)について
養老保険で退職資金を準備するということもできますが、こちらはハーフタックス
全く損金計上ができない引き当てよりはマシですし、資金がしっかり準備できる点もメリットです
2)について
中退共は掛金全額損金計上なので、そういう意味では良い方法です
しかし、短期間でやめた従業員にも退職金が支払われることや、支払い時期によっては掛け損である点、財務状況に不安がある点を考えると、あまりこれから積極的に検討する選択肢ではないと考えます
3)について
一方で確定拠出年金は、中退共と同様掛金全額損金ですし、退職一時金より養老保険より財務上のメリットは大きいです
しかし、確定拠出年金は60歳まで受け取りが制限されているので、「退職金」という言葉を使うと従業員に誤解を与えてしまう可能性があり、それが従業員が退職する際に人事トラブルになるリスクがあります
従業員にとって「退職金」とは退職時にもらえるまとまったお金です
そのため、60歳まで引き出し制限がある確定拠出年金は従業員にとっては「退職金」ではないのです
その場合人事リスクを避けるために、掛金を「前払い退職金」とすることをお勧めします
前払い退職金とは会社が拠出する金額を「前払い退職金」として給与として受け取るか、「確定拠出年金掛金」として老後資金の積立にまわすかを加入者本人に選択させる制度です
これであれば、退職時にお金をもらいたいという社員は前払いを選べばよいですし老後の資産形成を考えたい社員は確定拠出年金掛金を選べばよくなります
前払い退職金を選ばれては、会社としては社会保険料の増加になりますが、退職時に一時金で受け取れないことでトラブルより良いと思います
従業員が確定拠出年金を選ぶメリットについては、こちらのコラムをご参照ください(モーニングスター様のサイトに移動します)
入社時に確定拠出年金と前払い退職金を選択しろと言われたら、どっちを選ぶ?
ここまでの結論としては、やはり確定拠出年金退職金制度の見直しとして最も有効思いますし、制度設計次第で問題点については対策が可能です
もちろんこれから先の制度をどうするかという点だけでなく、過去分の取扱いをどうすのかなど決めなければなりません
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